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2010.04.01

インタビュー:ポケットツール職人、Peter Atwood

Text by kanai

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マサチューセッツ州ターナーズフォールズに住むPeter Atwoodは、ナイフ職人として、またツールメーカーとして生計を立てている。彼は数日かけて、限られた数のユニークな製品を作り出し、それを自身のブログ、Planet Pocket Toolで発表している。このブログの名前は、彼が今凝っている小型のレンチ状のツールを指している。とは言え、Atwoodは、定規、鉄のショットグラス、ホイッスル、釘抜き、指輪型ツールなど、幅広い金属製品を作っている。

2000年に私はカスタムナイフの世界と出会い、すぐに虜になってしまった。そして、ナイフや道具を自分でも作れるとわかったとき、私はさらに引き込まれた。そして今に至っている。これは、私が本当にやりたかったことであり、これからもこの地上で生きている限り、ずっとやっていきたいと考えている。
何年もの間、折りたたみ式ナイフや大型の固定刃のナイフも作ってきたが、私の専門は小さなポケットツールやキーリングナイフだ。とくに、私が好きなのは小さなものだ。ガジェットや釘抜きや刃付きツールやユニークなハンドツールといった新しいデザインのものを常に作り続けている。私のモットーは「持ち歩いていなければ必要なときに使えない」というものだ。だから、大きなパンチ力のある小さなツールを作るという誘惑にかられているのだ。どうか見てほしい。これらは、車のトランクはガレージの工具箱に置き去りにされることがない。いつもポケットに入れたりキーホルダーに付けたりして持ち歩けるものばかりだ。

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先日、私はAtwoodに電子メールでのインタビューを行った。
John Baichtal:あなたの作品は、本当に文字通り一瞬で売れてしまいますね。これがあなたの本業だと思うのですが、自分で作りたいものだけを作っているのですか、それとも売れると確信したものを作っているのですか?
Peter Atwood:本当に作りたいものを作っています。同じ物をいくつも作るのではなく、デザインをいじくるのが好きなんですよ。だから、いつもデザインを変えて、新しいものを作っているんです。このツールでどこまでできるのかを、突き詰めたいんですよ。いつも、最高の機能を持つ理想のツールを発明しようと自分に圧力をかけています(笑)。まだそれは発明できていません。だからこうやって作り続けているんですけどね。
JB:いろいろな地金や仕上がったものがたくさんあるようですが、どれくらい自分で作業して、どれくらい外注に出していますか?
PA:切断、熱処理、研磨や表面加工は外に出しています。丸める処理が必要なものは近くのCNCショップで作るんだけど、あとは、ほとんどここにある基本的な工具ででやっています。従業員はいません。理由のひとつには、生産数が少ないので、ひとりの人間にできる作業が限られていることがあげられます。なので、デザインを考えて作るほかに、写真を撮って、パッケージングして、営業して、メールに答えて、発送して、材料を注文して、帳簿を付けて、といった仕事をすべて一人でやってます。24時間態勢です。こういう商売をやろうとすれば、生活がまるごと仕事にとられてしまうのです。
JB:自分の工房で作業しているとき、いちばんよく使う金属加工用の工具は何ですか?
PA:私がいちばん好きなのはベルトグラインダーです。2×72 KMGは素晴らしいマシンですよ。この工房のいちばんの働き者です。縦と横の両方のユニットを持っています。
JB:いちばん加工が難しい金属は何ですか?
PA:どの金属もそれなりに難しいけど、一般にチタンは鉄よりも難しい。ダマスカス鋼はしばらく使ってないけど、あれもなかなか複雑です。とくに仕上げが難しい。
JB:一般人にとって、チタンは神秘の金属ですが、チタンを加工するのって、どんな感じですか?
PA:私に言わせれば、一般に思われているチタンの神秘性は、少々大げさだと思う。普通の金属ですよ。金属用のバンドソーにバイメタルブレードを付ければ簡単に切れます。しかし、グラインドは厳しい。うんとスピードを落としても、その火の粉や削りかすが非常に燃えやすいんです。ミルでは粘りけのある複雑な性質を見せる。まったく変な材料ですが、その強度もさることながら、いろいろな仕上げができるところが気に入ってます。
JB:あなたの最近のブログで、グラフ用紙でデザインすると書かれていましたが、どのデザインも最初は紙の上で行うのですか? どんな機能を加えるかを、いつ決めるのですか?
PA:はい、すべてのデザインは、まずグラフ用紙上で行います。形やサイズをいろいろいじってみて、「見た目のいい」デザインを作ります。かなりの時間をかけて、細かいところを調整したり、置き換えたりします。そして、納得のいく形ができあがったら、それをCADに移し、必要ならばそこでまた変更を加えます。頭の中で売れ筋を想定して作ることもあれば、まったく新しいものを目指して作ることもあります。
JB:「atwoodknives.com」 を運営なさってますが、あまりナイフは作ってないみたいですね。ポケットツールのどこがそんなに魅力的ですか?
PA:最初は折りたたみ式ナイフを作っていたんだけど、だんだんツールに興味が移ってきました。固定刃でも折りたたみでも、ナイフのどこが好きかと言えば、D2鋼材で同じようなものをいくつも作ることではなく、その革新性です。機械工学に特別な才能があるわけでもなく、教育を受けた工学家でもないので、最新式のロック機構や開閉機構の考案は、私のやりたいこととは違います。
JB:いろいなツールを作ってこられましたが、あなた自身がいつもキーホルダーにぶら下げているツールは何ですか?
PA:私はいつも、いちばん新しいツールを持ち歩くようにしています。現在は、ロウバー仕上げのGhostをキーホルダーに付けています。それから、Mr. Chubbsと仮に呼んでいる固定刃式ナイフを首から下げて使用感をテストしています。
Atwoodのツールが欲しくなった? それなら彼のブログを RSSフィードで購読するといい。ほんとうに、発表から数分で売り切れてしまうからね。
– John Baichtal
原文