2011.09.04
デザイナーとパーソナルファブリケーションツールを結びつける実験的ワークショップ
ロフトワークとFabLab Japanが共同して企画し、8/27(土)、28(日)の二日間に渡って行われたワークショップを窪木 淳子さん、赤嶋 映子さんのお二人にレポートしていただきました。
「ほしいものを自分で作る」のは素敵だ。3次元プリンターやレーザーカッターのようなハイテク工作機器は、その手助けをしてくれる。では、プロのデザイナーが3次元プリンターやレーザーカッターに出会ったらどうなるか? そんな実験的なワークショップが、夏休みもおしまいに近づいた週末に催された。企画したのは、クリエイターコミュニティとのかかわりが深い制作代理店のロフトワークと、このblogでも登場したFabLab Japan。
会場となったloftwork Groundには、FabLab Kamakuraから3次元プリンターやレーザーカッターなどの工作機器や電動ミシンなどが運びこまれた。
集まったのは、デザイナー、建築士、大学の職員や大学院生、製品プランナー、アーティスト、編集者など十数名。多くの参加者は、用意された工作機器を使ったことがない。
冒頭、FabLab Kamakura主宰の田中浩也さんが、作品をオランダのFabLabが開催している「(UN)LIMITED Design Contest 2011」にエントリーすると爆弾宣言し、タイムリミットが翌日の正午に設定された。
1日目
くじ引きで分かれたチームごとに、制作物のブレスト、材料集めの買い出し、試行錯誤の制作が続く。出されたアイデアに、「それ、どうやって売るの?」というスルドイ突っ込みがはいるのはこの顔ぶれならでは。
しかし工作機器には、好奇心あふれる集団を相手に受難の24時間となった。3次元プリンターには、現実にはついに完成することのなかったというロシアの「第三インターナショナル記念塔」という難題が与えられた。けなげに耐える3次元プリンター。
レーザーカッターには、グラニュー糖やマーブルチョコレートまで投入されることとなった。しかし制作もたけな わになった夜遅く、レーザーカッターはまさかの故障……。
2日目
駆けつけたメーカーの手でレーザーカッターの修理が完了すると、停滞していた作品の制作がみるみる進みだす。
ちなみに故障の原因は、レーザー光を当てた砂糖がレーザーヘッドに飛んで付着したためだった。
では、作品をどうぞ!
ふみふみスリッパ
「最少の裁断で履き物を作る」に挑戦。試行錯誤の素材探しのあと、クッション性のいい白いウレタンからレーザーカッターでスリッパ底を切り出した。定形封筒大で郵送可能。鼻緒用のスリットに赤いファスナーを付ければ足の甲厚にアジャストできる。金銀水引の鼻緒を付けた様子も何やら目出度く、アート性の高いスリッパに仕上がった。(FabLab Tsukuba+山本 詠美さん+渡辺 ゆうかさん)
布バッグ
「簡素で拡張性のあるウェラブルなもの」をテーマに、1人でも、2人でも持ち歩ける布バックを制作した4人。木製フレーム、フェルトフレームをレーザーカッターで切り出し、風呂敷のような四角い布をバッグに変形させる。フレームの形、幅、持ちやすさや切り出しに工夫あり。ジッパーを縫い合わせた布のバッグは、同じ布をつなぎ合わせて変形させられる。(岩岡 孝太郎さん+尾田 和実さん+成瀬 友梨さん+林 千晶さん)
FabLab Lunch Box
「包む」をコンセプトにした、厚さ13mmのうすーいフードアート。白いアクリル板の蓋には、FabLabのロゴが彫刻されている。中味の1段目には、折りたたみ紙コップと箸、料理にのせる海苔をセット。2段目には、ライスペーパーをまとった赤・緑・黄の料理が9コマ分美しく並ぶ。海苔とライスペーパーにはナンバーが切り抜かれ、なんと食べる順番が指定される。(土谷 貞雄さん+野口 尚子さん+平本 知樹さん、写真は野口尚子さん[印刷の 余白Lab.]提供)
アクリル文字彫刻
アクリル板から切り抜いた「Love」の文字組みピース。これをもう1つのピースと組み合わせると、新たな文字が浮かびあがる。見えるかな? これはまだ試作品(部分)で、作品は目下成長中。(大日本タイポ組合さん)
カラメル絵
砂糖という名の砂原に、レーザーカッターで絵を描いたらどうなるか? そう、砂糖は融解して、カラメルの地上 絵ができる。というわけで、FabLabのロゴマーク。でも、そのあとがたいへんでした。(井上 健さん+田中浩也さん)
—-レポート:窪木 淳子、赤嶋 映子