2012.05.18
Soapbox:私の好きなArduino互換「クローン」と派生品トップ10
先週、このコラムで偽Arduino(Arduinoの名前とロゴと商標を無断使用しているもの)について書いた。純正のArduinoだと騙って販売されているものは、以前から問題にされてきた。こうした意見記事というのは、いろいろなコメントが寄せられて面白い。当然、いろいろな意見が寄せられる。たとえば、商標は国際的に拘束力を持つものではないから、偽造品も問題はないと考える人たちがいる。コードや設計を共有するオープンソースの利点を喧伝するよりも、今はまだ商標や特許や著作権といった知的所有権を尊重すべきだとも訴えている。私には、これらは相反するものとは思えない。たとえば、オープンソースハードウェアは著作権の上に成り立っているからだ。商業的に成功することも、まったく矛盾しない。Red Hatがいい例だ。
自分の知的所有権が守れなければ「オープンソースハードウェア(OSHW)は成功しない」というコメントもいくつか見かけた。すべてのハードウェアにとって、実際のところそれは本当だ。しかし、本当に素晴らしいOSHWを作っている人たちのなかで、実体にプロテクトがかけられるなんてことを信じている人に会ったことはない。オープンソースハードウェアの世界では、イノベーションにブレーキをかけるものは存在しない。ファッションや食品など、基本的に「オープンソース」な産業はたくさんあり、商標や著作権以外のプロテクションがなくても繁盛しているではないか(特許もあるかもしれないが、それほど問題ではない)。私たちだって大丈夫だと思う。
ともかく、私がクローンを否定しているように思われるのもなんなので、トップ10リストを発表しようと思う。「クローン」は偽造品のことだと思っている人がいる。実際、この2つの言葉は同義語として扱われることが多いので、ハッキリさせるために、ここではクローンを「Arduino互換ボード」と呼ぶことにする。私は、Limor “Ladyada” FriedといっしょにArduino用アクセサリの開発、製造、販売、サポートを行っている関係上、自慢のコレクションがある。初代Arduinoもそのひとつだ。私はこれをコンピュータ歴史博物館で展示してもらいたいと考えている。
このリストにArduino互換ボードを含めた理由は、付加価値のあるArduino互換ボードが大好きだからだ。これは私の個人的な感想だが、ほとんどのOSHW製造業者はArduino互換ボードを作っている。私が言う「付加価値」とは、そっくり同じだったり、他人の商標を真似ているようなコピー品ではなく、改良を加えられていることだ。そして、開発者はその改良点を公開している。それは低価格化をはかったものだったり、新機能を追加したものだったりいろいろだが、どれも価値のある改良が加えられている。トップ10リストの最後に、MAKEで販売している互換ボードと、Adafruitや私自身が開発に関わったボードを載せている。これらをトップ10に加えるのはフェアじゃないかもしれないが、私が好きなボードであることに変わりはない。他意があって載せてるのだろうと勘ぐられる方は、どうぞ読み飛ばしてほしい。コメントもよろしく。
それでは行ってみよう。
Diavolino(Evil Mad Science):超ローコストなArduino互換ボード。たったの13ドルだ。
LilyPad Arduino(Leah Buechley):ウェアラブルとeテクスタイル用に開発されたマイクロコントローラ。布に縫い付けることができる。電源もセンサもアクチュエータも、すべて導電性糸で縫い付けて使う。すごく好きなボードなんだけど、ちょっと機能が弱い。そこで今、私はウェアラブル用の Arduino互換ボード Floraの開発に加わっている。
Freeduinoは、Arduino互換ハードウェアファイルの複製と出版のために集団で作られたオープンソースプロジェクトだ。Freeduino Eagle SCH、BRD、Gerberのファイルを使って、機能的にも電子的にも物理的にも100%互換のArduinoハードウェアが作れる。Arduino互換ボードとしてはごく初期のものだ。
Nanodeは、ウェブ接続機能が内蔵されたArduino的なボード。ウェブを使う創造的なデバイスを開発したいときに使えるローコストなプラットフォームだ。NanodeはイギリスのKen BoakがLondon Hackerspaceと一緒に開発した。
FreakLabs Freakduino-Chibiは、ワイヤレス機能を使うデバイスのプロトタイプ、実験、開発を、安価に素早く行うためのボードだ。無線通信機能を内蔵しているので、ワイヤレス・プロトタイプを安く作れる。
Seeeduino Filmは、スペースに制約のあるプロジェクトに適した、大変に薄くてフレキシブルなArduino互換の開発プラットフォーム。もしかしてこれがいちばん好きかも。
The Teensyは完全なUSBベースのマイクロコントローラ開発システムだ。非常に小さいので、いろいろなプロジェクトに組み込むことができる。メーカーのサポートも伝説になるほど素晴らしい。
ProtoSnapシリーズ(Sparkfun):「やられたー」って感じのデザインだ。どのデバイスも配線済みなので、プログラムするだけですぐに使える。
Sanguino:ATmega644Pベースの赤いマイクロコントローラボードだ。馬力が欲しいときに便利。
Illuminato::Genesis(Liquidware):Arduino互換で、42本のI/Oピンと64Kのコードスペースを備えているので、大きなDIYプロジェクトに向いている。私的には、Liquidwareは、もっとも美しい、黒くてゴスなボードだ。
これらは私が開発に加わっているので圏外とした。でも大好きなボードだ。Boarduino:ブレッドボードに挿せるArduino互換ボードの初期のもの。開発はLadyada。そして、新型Menta。Ladyadaと私とMAKEの共同開発。ミント缶に収まる形をしていて、大きなプロトタイプエリアがある。
みんなが好きなクローン、じゃなくてArduino互換ボードも教えてくれ!
– Phillip Torrone
[原文]