2012.08.29
白頭鷲ビューティーちゃんのバイオニックくちばし
数年前、1頭のアラスカ白頭鷲が顔を撃たれ、くちばしの上半分を失った。レスキューチームは彼女を捕獲し、「ビューティー」と名付け、くちばしの再生を願ってリハビリを試みたが、それは叶わなかった。くちばしは、羽つくろいや食事に欠かせない器官だ。ビューティーの将来が悲観された。だが幸いなことにビューティーの面倒を見ていたのが、教育関係の講演でビューティーのケースを語っていたアイダホの猛禽類専門家、Jane Cantwellだった。彼女の講演を聴いていたひとり、工学エンジニアのNate Calvinは心を動かされ、協力を申し出た。最初の試みは、くちばしの義装具の製作だった。Calvinは失われた上くちばしの型を取り、レーザースキャンを行い、3Dプログラムで細かい修正を加えた後、ナイロンをベースとするポリマーでくちばしの義装具を作った。
くちばしの取り付けは、義歯のインプラントと似た工程となった。知り合いの歯科医がこの作業を手伝ってくれた。まずビューティーのくちばしの残っている部分に金属の留め具を取り付けた。歯科治療で言えば、歯冠を支えるためのポストにあたる。こうしてくちばしは取り付けられた。すると驚いたことに、その晩から、ビューティーは羽つくろいや水を飲むことができるようになったのだ。
大ニュースというわけではないが、工学が命を救った非常にユニークで刺激的な話だ。
この話を短くまとめたビデオをどうぞ。
CantwellのサイトとCalvinのサイトにもっと詳しいことが書かれています。
– Goli Mohammadi
[原文]