2012.12.25
フォックスコンとアメリカ製造業の未来
AppleのCEO、Tim Cook(左)が、中国河南省鄭州にあるフォックスコン・テクノロジーグループのiPhone生産ラインを訪れた。[Bloombergより]
フォックスコンが工場の一部をアメリカに移転させるという先週のニュースは、製造業をアメリカへ、いわゆる「再移転」をさせるという論議を再燃させた。アメリカの製造業は、この数年間、延びてきている。ボストン・コンサルティング・グループの新しい調査はこう伝えている。
工業製品輸出 – 近年のアメリカ経済の明るい点 – が急騰している。再移転の結果として生じた雇用と相まって、ヨーロッパの主要国と日本がより低コストなアメリカに製造拠点を移し、アメリカの輸出が伸び、10年代終わりには雇用が250万件から500万件に増えると見込まれる。
問題は、市場に参入しようとしているMakerにとって、再移転がどんな意味を持つかだ。iPhoneや他のApple製品を作っているフォックスコンは、大手プレイヤー向けの製造業者だ。ガレージから卒業しようとしている程度の小規模なMaker向けではない。規模の拡大を目指すMakerには、中国へ行って自分に合った規模で、アメリカで作るよりも安く作ってくれる工場を探すというのが順当な方法だ。
しかし、アメリカ国内での製造コストが下がることが、Makerだけでなく重工業にも恩恵をもたらすのだろうか。業界に詳しくMAKEの外部筆者でもあるTravis Goodは懐疑的だ。彼はこう話している。
本当の好機は、プロのMakerがアメリカの自動化された製造能力の待機サイクルを利用できるようになったときだ。小さな例では、Ted Hall(ShopBot)は、プロのMakerがその製造の需要をShopBotを使っている工場に、彼が主催する100,000 Garagesを通じて滑り込ませることで、それを実現しようとしている。彼はこれを、顧客の眠っている能力を好機に転換する手段として実行していのだが、この考え方は一般に応用できる。今でも我々は誰より多くのものを作り出しているが、それは自動化され、クラウドからはアクセスできない。
クラウドベースの製造は、CloudFabの創設者、Nick Pinkstonが提唱しているものだ。彼もまた、フォックスコンの移転には大きなインパクトはないと見ているが、長い目で見たとき、より多くの工場がアメリカに移転してきたときに変化が起きる可能性があると考えている。
長期的に推測されることは面白い。たとえば、サプライチェーンがアメリカに戻ってきたら、中国の優位性が減少する。深センに行けば、そこらじゅうに電子部品がある。それがここでも起こりうる。そして小さな会社のコストを大幅に削減してくれる。
アメリカ製の製品には付加価値がある。製造者とデザイナーが、製造過程でより密接に協調できて、品質が向上する可能性があるからだ。労働条件は言うに及ばずだ。Brooklyn Bakeryの創設者、Matthew Burnettは、彼のアパレル企業の製造をアメリカに切り替えたと語っている。
「私が今やりたいのは国内での生産だけです」と彼はMaker Rowのブログに書いている。「アイデアをより早く実現できるし、即座に製品を手にすることができるからです。海外の工場でやっていたときは時間がかかりました」
Fast Companyで好評を得た記事で、Bruce Nussbaumは、自らが育てた「インディ資本主義」の台頭と彼が見ていることについて詳しく書いている。
「インディ資本主義とは、グローバルではなくローカルで、コミュニティーや雇用を第一に大切にするものです。地元で顔の見える人たちが作るというところが利点です」
もしあなたが市場に打って出たいと考えているMakerだとしたら、どこに製造パートナーを探す?
– Stett Holbrook
[原文]