●書籍紹介
狭小建築プロジェクトは、材料も少なくて済み、捨てられた材料の再利用も可能で、しかも失敗にも寛容という特徴を持っています。本書は、これまで机上の作品を作ってきた読者を「自分の居場所を自分で作る」という、まったく新しい世界へと導く書籍です。実際に生活できる小さな家（タイニーハウス）、世の中のわずらわしいことから逃れるための隠れ家、ツリーハウス、どこへでも移動できる家（トレーラーハウス）など、狭いスペースを有効に使う驚くようなアイデアでいっぱいの50を超えるプロジェクトをカラーで紹介し、読者の想像力と独立心を刺激します。狭小建築に最適な工具の選び方や低コストの部屋の飾り方など、実践的な情報も紹介しています。
●書籍概要
Derek Diedricksen 著、金井 哲夫 訳
A5版／260ページ
ISBN978-4-87311-803-1
定価2,808円
小さな家の建設には、クリエイティブな思考、アウトドア活動、問題解決が含まれる。これは、多くの人が切望しつつも、忙しい現代の（ときに繰り返しの厳格に統制された）生活のために疎遠になっているものだ。小さな家の建設は予算的に手の届くものというだけでなく、「豪邸」を建てる場合と異なり、時間もあまりかからず、忍耐力もそれほど必要としない。それが狭小プロジェクトの醍醐味だ。財布にも心にもやさしい。小さいので、ご近所にもやさしい。
……
建築の初心者なら、この狭小プロジェクトは、たとえ大型のものでも、失敗に寛容であることを知ってほしい。つまり、どんなに悪くしても、たかが知れているということだ。もし、ひどく滅茶苦茶になって取り返しが付かないような状態になったとしても、そんなことはまず起こりえないが、また少ない予算で最初からやり直せる。とは言え、設計は重要だ。じっくり考えよう。
そして、多くの場合、小さなスペースは気持ちがいい。たとえ、命を削る通勤地獄やオフィスのレンタル料から自分を救うために小さなオフィスを作りたいというだけの理由であってもだ。
小さなスペースは、パーソナルで親密で、自分の居場所を自分で支配している感覚を与えてくれる。それは、自分が設計して建築して、敷地や収納のことや全体的な動線など、細かい部分にまで気を遣ったという事実によって、さらに強化される。
この本は、クリエイティブな簡素さのアイデアを集めたものと思ってほしい。選りすぐりのアイデアだ。アメリカやその他の地域の多くの協力者から寄せられた作品集だ。デザインのスタイル、趣向、機能の幅が非常に広い。トーストみたいに退屈で、大量生産の工場から吐き出されたような全部同じの、ぜんぜん冒険心のない狭小建築の寄せ集めなんて、誰が見たがるものか。私はごめんだ。
創意に満ちた特別な楽しみの世界へようこそ。本当に基本的なものから脳みそがひっくり返るようなものまで、すべてシェルター（必要最低限の住まい）の中にある。小さなキャビン、小さな家、「ショフィス」（シェッド・オフィス）、子どもの要塞、プレイハウス、移動式の家、ツリーハウス、客用離れ、裏庭の休憩所、庭園の奇抜な家、シンプルな小屋など、ここにはすべてが揃っている。私の狙いは、できるだけ多くの新しいコンセプトと設計手法をお届けして、新鮮なアイデア、将来のプロジェクトのための燃料、これまで思いもよらなかった技術や手法を伝えることにある。言い換えれば、この本があなたのお尻に火を点けることだ。
さあ、外へ出て作ろう！（「イントロダクション」より）
