シンガポールからアメリカ、そしてヨーロッパ全体に向けて、Edible Innovations(食べられるイノベーション)は、生産から流通から販売までのあらゆるステージで世界の食料システムを改善しようと考えるFood Makerたちを紹介しています。私たちといっしょに、この産業の大きな流れを、Makerの視点で探ってみませんか。優れた教育的な核を持ち、未来への偉大なる挑戦のための主要なツールとしてフードイノベーションを推進するFood Innovation ProgramのChiara Cecchiniが、世界のFood Makerたちの顔、話、体験を紹介します。
大好きな料理を作ろうとしたとき、季節外れの果物や、外国でパックされた肉や、他の州で加工された炭水化物を選んでしまうことがある。いつものショッピングカートの中を見て、疑問に思うことがある。これらは、いったいどこから来たのか。どうやって作られたのか? 大きな食料品チェーン店では、その答は見つけにくい。巨大農場が私たちの食材を、必要なあらゆる手段を使って生産しているからだ。
Rick CarlinoとRory Aronsonは、環境がますます劣化し、質の良い食材の入手が難しくなっているなかで、みんな考えないようにしているこの食料問題には、本質的な欠陥があると考えた。ほとんどの消費者にとって、購入する食品の出所は謎に包まれている。大手チェーン店で食品が買えない人、または買いたくない人は、食品の選択肢が狭まり、入手も不安定になる。
CarlinoとAronsonは、深刻化するこの問題と取り組むために、FarmBot.io(@farmbotio)という会社を立ち上げ、オープンソースで、簡単に使える技術を使った、誰にでも効率的に安全に食料が栽培できる小さな菜園を開発した。彼らは、食品の品質を落として最大の利益を得ようとする大企業から権力を奪い取ることを目指している。彼らの最初の製品、FarmBot Genesis(@FarmBotProject)は、地元地域に持続性を持たせるための小さな菜園を提供しようと作られた。
FarmBotは、テクノロジーと昔ながらの農業が合体したシステムだ。地元にいながら、持続可能で、食料が作れるという人々の単純な希望をかなえたいという考えから生まれた。食料生産を自分で管理するということは、彼らには、高速で、将来を見据えたテクノロジーで、みんなが自由に改良したり使ったりできるようにオープンソースにすることを意味していた。
早い話が、FarmBotは、小規模な食料生産を考えている人のための、農業マシンとソフトウェアのパッケージだ。3Dプリンターの親戚でもある。ハードウェアは、種の植え付け機、水やりノズル、植物と土を管理するためのセンサーで構成されている。これだけではない。これは、必要に応じて、ベストな形で菜園をデザインできるデザインツールでもあるのだ。
デザインができたら、それを保存でき、作物の生長の様子を記録して、今後の資料として役立てることができる。これらの情報はインターネットでシェアできる。FarmBotは協力によって成り立つテクノロジーなので、あらゆる情報はオープンソースとして扱われる。CarlinoとAronsonは、インターネット上にコミュニティを作り、改良のアイデア、フィードバック、質問などを待っている。
FarmBotの次のステップはなんだろう? 彼らは、ソフトウェアを家電品レベルにしようと考えている。もっとわかりやすくて、安くて、誰にでも手が出せるようにする。FarmBotには、電子レンジや食洗機のような、ごく当たり前のキッチン家電になる可能性がある。個人でも、家族や地域のための持続可能な菜園を作ることができるのだ。
野菜だろうがハーブだろうが、FarmBotは与えられた土地で確実に収穫できるように助言をくれる。地元に菜園や畑が、つまり個人的に安定した食料生産の手段が手に入ったことで、広大な農地を所有する巨大企業から権力を取り戻すことができる。FarmBotが育てたようなテクノロジーと熱心なコミュニティが増えることで、ショッピングカートの中は地元産の持続可能な食品でいっぱいになるだろう。
[原文]