2008.12.09
2008年版オープンソースハードウェア製品完全ガイド(Arduino編)
オープンソースハードウェアとは何だろう? もう一度確認しておこう。それは、開発者が、ソース、回路図、ファームウェア、ソフトウェア、素材の明細、パーツリスト、ハードウェア製造に必要な設計図や”ボード”のファイルなど、一切合切を公開しようと決めたプロジェクトのことだ。またこれは、商用を含めて使い方を限定しない。Linuxなどのオープンソースのソフトウェアのハードウェア版ってことだ。
この新しく活気に満ちた流れは、ここ数年の間に、現実のものとして目に見えるようになってきた。ボクたちは毎年、その年に登場したオープンソースハードウェア製品のガイドを作っているけど、今年はなんと、60種類もの製品やキットがある。すごいことだよね! Arduino はもう有名になったけど(現在の出荷数は6万ユニット)、ほかにもエキサイティングで活発なコミュニティーに支えられたプロジェクトがたくさんある。このリストにそのすべてを網羅したつもりだ。このうちの一部はMakeのショップでも販売している。開発者が直接売っているものもあるし、ハードウェアメーカーから販売されているものもある。ただし、これらはみなオープンソースハードウェアなので、自分で作っても構わない。材料はすべて手に入るからね。
このガイドは 『オープンソースハードウェア誕生3周年記念の世界でただひとつのオープンソースハードウェアギフトガイド』でもある。年末のプレゼント候補に、ぜひこれらの製品をどうぞ。そうすることで、この熱いハードウェアの開発を支援することにもなるからね。
それでは、心ゆくまでスクロールしてご堪能ください。はじまりはじまり。
訳者から:まずは、Arduino、Arduino互換ボードとシールド(Arduino用の機能拡張ボード)編。
Arduino Duemilanove – 新たなる伝統
Arduinoは、普通のデスクトップパソコンにはできない、物理世界のセンシングやコントロールを可能にするツールだ。シンプルなマイクロコントローラーボードからなるオープンソースのフィジカルコンピューティングプラットフォームと、このボードのためのソフトウェアを記述する開発環境がセットになっている。
“Duemilanove”とはイタリア語で2009という意味。これが発売される年にちなんで付けられた。Duemilanoveは、USB Arduinoの最新バージョンだ。
特徴:
- マイクロコントローラー ATmega168
- 動作電圧 5V
- 入力電圧(推奨) 7-12V
- 入力電圧(限界) 6-20V
- デジタルI/O ピン 14(うち6本はPWM出力用)
- アナログ入力ピン 6
- I/O ピンあたりの直流電流 40mA
- 3.3V ピンの直流電流 50mA
- フラッシュメモリー 16KB (うち2KBはブートローダーに割り当て)
- SRAM 1KB
- EEPROM 512bytes
- クロック 16MHz
価格:$34.99
キットや製品はまだまだあるよ、どんどん見てね!
Arduino – アーティスト、エンジニア、そして入門者のためのオープンソースの電子プロトタイピングプラットフォーム!
LilyPad Pro kit – 縫い合わせることと身につけることができるオープンソースハードウェア!
LilyPad Arduinoは、服飾品やEテキスタイルのために作られたマイクロコントローラーボード。布に縫いつけることができ、電源やセンサーやアクチュエーターなども導電性糸で縫い合わせることができる。LilyPad Pro Kitは、LilyPadシステムの柔軟性とパワーを最大限に利用できるキットだ。LilyPadのメインボードにプログラムをすれば、物理的な変化に応じて光らせたり、音を鳴らしたり、何かを動かしたり、またはLilyPadの周辺ボードを使って、周囲の物理的なフィードバックを得るといったことが可能になる。
特徴:
- LilyPadメインボード
- LilyPad電源
- LilyPad USBリンク
- ミニUSBケーブル
価格:$49.95
Arduino Nano – 食べちゃいたいほど小さい!
Arduino Nanoは、USBを内蔵したブレッドボードに表面実装するためのArduino。最小にして、機能は完全。そして、ブレッドボードにやさしい。Diecimilaが備えている機能をすべて(電子的に)備えた上に、アナログピンはさらに多く、+5V AREFジャンパーも装備している。物理的には、電源用のジャックと電源選択用のジャンパーがない。しかしNanoには、最適な電源を自動的に感知して切り替える機能があるため、電源選択ジャンパーは必要ないのだ。Nanoは、Boarduinoのブレッドボード対応機能と、ミニUSBポートを備え、サイズは最小なので、ブレッドボードをより広く使うことができる。
特徴:
- プログラムのダウンロード時に自動リセット
- 底面に電源確認用の青色LED
- 緑(TX)、赤(RX)、オレンジ(L)LED
- +5V AREFジャンパー
- 電源自動切り替え
- プログラミング及びシリアルモニター用のミニB USBポート
- プログラムを直接ダウンロードできるICSPヘッダー
- 電源確認用青色LEDを底面に配置
- ブレッドボードにやさしい標準0.1インチ幅のDIPピン
- 手動リセットスイッチ
価格:$49.99
Arduino Pro – 青くて小さい!
Arduino ProはATmega168ベースのコントローラーボード。デジタルI/Oピン14本(うち6本はPWM出力用)、アナログ入力ピン6本、8MHz共振回路、電池用電源ジャック、電源スイッチ、リセットボタン、電源ジャック取り付け用の穴、ICSPヘッダー、ピンヘッダーを備えている。Arduino Proは、オブジェクトや展示物に半永久的に埋め込むことを目的としている。ヘッダーは付いていないから、ユーザーが好きなコネクターを接続したり、リード線を直接はんだ付けしたりできる。ピンの配置はArduino Shieldと同じ。電池を電源として使用でき、3.3Vで駆動する。(Arduino Pro Miniもよろしく)
特徴:
- ATmega168V(8MHz外部共振回路で動作)
- 一般的な3.3Vのデバイスやモジュール(GPS、加速度センサーをはじめとするセンサー類など)を、電源回路を通さなくても使える低電圧仕様
- USBコネクターはなし
- 3.3Vレギュレーター
- 誤極性保護機能
- 直流電源 3.3Vから12Vまで対応
- ショート時の損傷を防ぐリセット可能なフューズを装備
- 電源のオン/オフスイッチとしても使える電源選択スイッチ
価格:$19.95
Bare Bones Arduino – 粋で小さい
ベアボーンと言っても、これは完全なArduinoクローン。Arduino Diecimilaのほとんどの機能を備えている。さらに、最新のリビジョンでは、Arduino正式版にはないアナログノイズ低減機能を備えている。
価格:$19.99
Sanguino – Arduinoのモンスター!
SanguinoはArduino互換ボード。メモリーは4倍、RAMも4倍、ピンも12本多い。スルーホールの位置はArduinoと同じなので工作が楽なのに加えて、さらに多くのピンが使えるのでプロジェクトの幅が広がるというわけだ。
特徴:
- ATmega644Pコア
- 汎用I/Oピン 32本(一部は多用途対応)
- アナログピン 8本
- PWM ピン 6本
- 64K フラッシュメモリー
- 4K RAM
- 2K EEPROM
- 完全互換スルーホール
- ブレッドボード対応
- 100% オープンソース
- 最小限の改造でArduino 0012と互換に
価格:$25.00
Seeeduino
スタンダードなArduinoのバリエーション。しかし、ちょっとした違いがある。
- デジタルI/Oを100milグリッドに変更して、プロトタイピング用ボードと互換にした。
価格:$23.99
Boarduino – 一番安いArduino クローン!。
はんだ付けをしないブレッドボードでArduinoと格闘しているキミなら、あのイライラがわかるよね。これは、Arduinoとまったく同じに動作して、最新のArduinoのソフトウェアが使えるクローンだ。いろんなプロジェクトで、これは重宝するはずだ。キットには必要なパーツがすべて含まれている。組み立ては簡単で、説明書もしっかりしている。ただし、USBチップは含まれていないから、必要ならばFTDIのTTL-232Rと、USB-TTL接続ケーブルを使って増設しよう。ケーブルは、直接、Boarduinoに繋がるようになっているので、1本で複数のBoarduinoを繋ぐこともできる。
特徴:
- ブレッドボード対応なのでプロトタイピングが簡単にできる
- 75mm×20mmと非常に小さい
- すべての標準ピンを装備 – デジタルは0番から13番
アナログは0番から5番、ARef、5V、Ground、Vin、Reset - チップにはあらかじめ “no-wait” Arduinoブートローダーがプログラム済み
- LED 2個、Arduino Diecimilaと同じく電源が緑、赤が13ピン
- 標準パーツを使った低価格キットなので、売り切れなし
- スルーホールパーツははんだ付けが簡単
- リセットボタン
- ATmega168最新のArduino Diecimilaと同じく16.00MHzで作動
- 6ピン標準ICSPヘッダー
- 標準2.1mm交流電源ジャック(オリジナルと同じ)7V-17Vで作動する5Vレギュレーター付き
- 間違った電源アダプターを使用した際に回路を保護する1N4001ダイオード
- USB-TTLケーブル用6ピンヘッダー
- USB-TTLを使用したときに自動リセット
価格: $17.50
Freeduino
自分ではんだ付けして作るArduinoキット。標準の拡張シールドと互換性があり、USBポートも備えている(標準Arduinoと同じ)。アドオンシールドと完全互換。しかも、オレンジ色ですごくクール。
価格:$23.99
iDuino
これまた、○○duinoキット。ブレッドボードで使うように作られている。USBから電源をとり、標準の5mmLEDをインジケーターに使っている。
価格:$17.82
Arduino 用シールド – Arduino に新しい機能を追加する機能拡張ボードたち
Protoshield – 最短最速の実験用シールド
Arduino対応のオープンソースのプロトタイピング用シールド。Arduinoでプロトタイピングするときに便利な機能が山ほどある。
特徴:
- NGまたはDiecimila互換
- 上面にリセットボタン
- ICSPヘッダー
- GNDと+5V のレールがたくさん
- DIPプロトタイピングエリアには、チップを追加できるスペースがたっぷり
- USBジャックの上のSOICプロトタイピングエリアは14ピンまでの、広幅、狭幅両方のSOICチップに対応
- ミニブレッドボード、標準ブレッドボードに対応
- 3mmLED 2本(電流制限抵抗付き)付属
- 予備の6mmボタン付属
価格:$15.00
Ethernet shield – Arduino をインターネットに繋ごう
Ethernetに繋ごう! Arduinoにメールチェックをさせてみない? Twitterで通信は?(SMSを通して電話へ転送も簡単)それとも、ウェブサイトからデータを取得する? インターネットに繋いでデータを取得できるようになれば、プロジェクトの幅はうんと広がる。それが、Arduinoで簡単にできるようになったのだ。このシールドキットは、4ピン仕様のXPortまたはXPort direct(+)Ethernetモジュールを追加することができる(別売)。面倒なTCP/IPスタックも、このモジュールが行ってくれるので、どのサーバーにもスーパー簡単に繋がる。
特徴:
- XPort、XPort Direct、XPort Direct+の追加が可能
- オンボードの3.3V 250mA電源でXPortを駆動
- Arduinoのリセットボタンと6ピンISPヘッダーを上面に配置し、開発の利便性を高めている
価格:$15.00
Arduino Ethernet Shield
Arduino開発チームが作ったオフィシャルなEthernetシールドだ。WizNet w5100チップを使用。
価格:$45.00
Danger Shield – デンジャーな目に遭うのは退屈さんだけ!
Danger ShieldはArduino用の拡張ボード。楽しくて便利な電子回路がいろいろ入っていて、楽しくて便利なことに使える。完全に自己完結型のシールドで、Arduinoに接続すれば、すぐに楽しむことができる。他に接続しなければならないものはない。外部コンポーネントも不要。いきなりガツンとくる強烈なボードだ。組み立てにははんだ付けが必要。
特徴:
- LED内蔵リニアスライダー 3個(PWMに個別に対応)
- 押しボタン3個
- インジケーターLED 2個(個別にPWMに対応)
- ピエゾブザー 1個(ノイズを出す)
- 温度センサー 1個
- 光センサー 1個
- ノックセンサー 1個
- 7セグメントLED 1個(シフトレジスター付き)
- 電源LEDとリセットボタン
価格:$44.95
Motor Shield – プロジェクトに動きを加えよう!
Arduinoを使ったシンプルなプロジェクトから中程度の複雑なものまで、動きを与える完全機能のモーターシールドだ。キットには必要なパーツがすべて含まれている。組み立てキット。モーターとArduinoは別売。
特徴:
- 5Vホビー用サーボモーター用コネクター2個。高解像度専用タイマー付き、だからジッターなし!
- Hブリッジ回路 4系統 。L293Dチップセットが各ブリッジに0.6Aを供給(ピークは 1.2A)。過熱遮断回路、内蔵キックバック保護ダイオード付き。直流4.5Vから36Vまでの間でモーターを駆動
- 双方向モーターを4台を個別の8ビット速度選択で制御(1台あたりの解像度は0.5%)
- ステッパーモーター(単極、双極、シングルコイル、ダブルコイル、インターリーブ)に2台まで対応。プルダウン抵抗により、起動時にモーターを無効にできる
- 大きな端子で、リード線(10-22AWG)や電源の接続が簡単
- Arduinoのリセットボタンを上面に配置(Diecimilaのみ対応)
- 2ピン端子ブロックとジャンパーで、外部ロジック回路やモーター用の外部電源を接続可能
- Diecimilaの互換性を検証済み(NGは次回!)
- 簡単に使えるArduinoソフトウェアライブラリをダウンロードできる。サンプルを使えばすぐにでも動かせるよ!
価格:$19.50
WaveShield – プロジェクトにサウンドや音楽を加えよう!
高音質のサウンドを電子プロジェクトに加えるのは、けっこう大変。その難問を解決してくれるのが、このArduino用のシールドだ。22KHz、16ビットの非圧縮音声ファイルを再生可能。長さに制限はない。低コストですごく簡単に組み立てられるキットだ。
特徴:
- 22KHz、16ビットのモノラルWave(.wav)ファイルを再生可能。サイズの制限はなし。CD音質ではないが、音楽や声やサウンド効果を再生するには十分
- 出力は左右チャンネルにモノラル。3.5mm標準ヘッドフォンジャックとスピーカー用端子を装備。ヘッドフォン接続で切り替わる
- 音声ファイルはFAT16フォーマットのSD/MMCカードから読み込む
- 簡単に音声を出すためのライブラリが付属
価格:$21.95
Arduino AVR Scope Clock Shield – オシロスコープに時計を表示!
XY入力可能なアナログオシロスコープをもっと便利に!
価格: $34.95
XBee Adapter Kit – プロジェクトにワイヤレス機能を追加しよう!
このアダプターボードは、ワイヤレスの二地点間接続または網型ネットワーク接続機能を簡単に追加できるようにするもの。Adafruitでは、入手可能なあらゆる種類のXBeeアダプターボードを調査して、もっとも優れた設計を生み出した。
特徴:
- XBeeにクリーンな電源を送るオンボード3.3Vレギュレーター。上限250mA
- レベルシフト回路により、Arduinoなどの5V動作の回路へ安全に接続が可能
- LED 2個。ひとつは動作確認用(RSSI)、ひとつは電源確認用(アソシエート)
- 10ピン 2mmソケット付き。モデムの保護、交換、アップグレード、リサイクルが可能
- よく使うピンは外側に配置。ブレッドボードでの使用や配線がしやすい
- USBでコンピュータと接続できるようにFTDIケーブルに対応。コンピュータに接続しての使用やアップグレードが簡単にできる
- XBee/Proピン互換モジュールでの使用を想定
価格: $10.00
GPS Shield(データロガー)キット
Arduino用のGPS シールド。データロギング機能付き。この簡単なキットを組み立てれば、自分だけの位置情報関連プロジェクトが作れる。
特徴:
- このシールドは GPSプロジェクトを簡単に作れるようにするもの。対応するGPSモジュールを接続してGPSデータ(NMEA)解読用のサンプルスケッチを走らせれば、FAT16形式のSDフラッシュメモリーに正確な位置情報と日時がCSV形式で記録される。
- このシールドはEM-406aモジュールと使用するように設計されており、表面実装用のGPSコネクターはあらかじめ装着済み(EM-406aは高品質なエンジンで、位置情報取得の時間も短く、感度も高く、ニューヨークの街中でも使える)。これはまた、Tyco A1035D、EB-85A、そのほかのちょっと質の劣るモジュールでも使用可能。GPSモジュール、Arduino、SDメモリーは別売。
- サンプルスケッチはATmega168ベースのArduino(または互換ボード)で問題なく動作する。9V電池で約3時間、MintyBoostを使えば12時間連続使用が可能(省電力機能を有効にした場合)。
価格:$19.50
Pocket Piano – Arduino でポケットシンセを作ろう
Arduinoをポータブルなスタンドアローンのシンセサイザーにするボードだ。Arduinoに直接接続すると、25鍵のキーボード(2オクターブ)、4つのポート、状態確認用LED、リセットスイッチ、D/AコンバーターIC、RCAオーディオジャックが使えるようになる。Arduinoと、この強力なAVRプロセッサーの組み合わせによって、じつに幅広い音響合成技術の使用が可能になる。加算合成、Wavetable合成、周波数変調、リングモジュレーション、サンプリング、ポリフォニー、各種アルペジエーターで実験済み。ArduinoのUSBポートを使えば、実験は簡単に行える。Arduinoは別売。このボードは、1/8インチパネル素材に簡単にマウントでき、丸い鍵盤は木でもプラスティックでも製作可能。
価格:$44.95
Open Heart kit – 心を開こう!
Open Heartは、個別にLEDを制御できるLEDマトリックス。ブローチやバッグを、カスタマイズ自由なアニメーションで光らせることができる。布地にヘッダー部分をピン止めてもよいし、導電性糸でしっかりとプロジェクトに縫いつけてもよい。これを使うには、Arduinoが必要。また、はんだと基本的な工具が必要。
特徴:
- ハート型プリント基板
- 赤色LED 27個
- 抵抗 6本
- 直角ヘッダー
- 金属製留め具と留め具用ケース付き
- ワイヤーケーブル 6本
価格: $18.00
Sanguino Breakout Shield
これはSanguino Breakout Shieldボードのキット。もともとはSanguinoボード用のシールドとして作られたが、基盤上にSanguinoを搭載できるようにもしてある。Sanguinoを内蔵して1枚のボードにするか、ヘッダーを付けて外部にSanguinoを接続するか、どんな形にするかは作り手であるあなた次第。
価格:$15.00
日本語版編集から:日本国内でArduinoを扱っているのはメカロボショップ、スイッチサイエンス、共立電子産業、ストロベリーリナックスなどです(2008年12月9日現在)。
[原文]