2012.10.30
The Airship:DIYのグラフィックノベル
ミネアポリスの凸版印刷職人、Todd Thybergは、3色刷りのイラストノベルをJerome Book Artsから出版することに決まった。そこで彼は、自分のスタジオで、90年前に作られたバンダークック社製凸版印刷機でこれを刷ることにした。
『The Airship』は、時空を超えて別の次元や宇宙に自在に移動できる装置を搭載する飛行船を開発した科学者の物語です。
これを使って別の宇宙へ移動した彼は、父親に自分が無事であることを伝えようとしますが、そのメッセージは正しく伝わりません。そこで、読者はこれを解読するために未来のテクノロジーを必要とします。
この話のアイデアは、コンピューターの前に座って何かをデザインし、それを昔の技術で印刷してみたいと考えたときに生まれました。時代のギャップを埋めたかったのです。こうした印刷機を使っていた時代の人々は、今のテクノロジーを見て驚くでしょう。そこで私は、当時を舞台にした物語を作り、当時の技術で印刷するが、(当時からすれば未来の)現在のテクノロジーを採り入れることで、ただ読むよりもずっと深く関われる仕掛けを組み込むことにしたのです。本の中に現れるQRコードをスマートフォンで読み込むと、息子からのメッセージなどが見られるようになっています。
私はToddのスタジオを訪れる機会に恵まれた。そこには印刷された紙の山があり、バンダークック印刷機から印刷物を取り出す様子も見せてもらえた。彼は、400部分のページを印刷している。実際に目指しているのは250部だが、印刷ミスを見込んだ数だ。彼が直面した問題のひとつに、凸版印刷でQRコードを正しく刷るというものがあった。これまで誰もやったことがないだろうとToddは語る。 出来上がった本は、呼び売り本となるか、より高級なハードカバー本として販売される予定。
詳しくは、Toddのインタビュー(英語)をどうぞ。また、取材の際の写真もご覧いただけます。
– John Baichtal
訳者から:「呼び売り本」(chapbook)とは、19世紀にイギリスで行商人が売り歩いていた安価な通俗小説などの本のこと。
[原文]