Science

2012.12.27

建築家は3Dプリンターをどう使うか

Text by kanai

3D_printed_things
Marcele Godoyは、ニューヨーク大学インタラクティブ・テレコミュニケーション・プログラム修士課程を卒業したばかりのチリ人建築科だ。彼女はチリの3つの学校で建築科の次席教授または准教授として、建築学、物理、構造学を教えてきた。
Marceleは、あらゆる学問分野と、建築の新しい考え方の開発に役立つ技術をデザインと結びつけることに興味を持っている。彼女の意見によれば、私たちは建物を静的なものとしてではなく、有機的で動的なものと考え始めるべきであり、技術を使うことで、建築、環境、利用者との間に物理的なインタラクティブ性を作り出すことができるという。
私はMarceleに、建築家の立場で3Dプリンターをどう使うかについて聞くことができた。
3Dモデルの製作にはどのソフトを使っていますか?
私はRhinoを使っています。簡単で、AutoCADに似ていて、Mac版が無料だからです(ベータ版)。それに、コードを使ったデザインをしたければPythonも使えます。Windows ならGrasshopperも使えます。
好きな3Dプリンターはどれですか? その理由は?
それほど多くを使ったわけではありませんが、Makerbotが好きです。家で使えるし、プロトタイプを比較的速く作れるからです。学校では業務用のプリンターを使っていましたが、自分では使えませんでした。ファイルを持って行くと、係の人がそれをチェックしてプリントしてくれるのです。試行錯誤したいときにはとても不便です。
あなたがとくに気に入っている3Dプリントのプロジェクトはなんですか?
夏に、オリンピックを記念したロンドン2012フェスティバルのためのインタラクティブなインスタレーションを作りました。私はYESYESNOを共同制作するグループに入りました。そこではZach LiebermanとMolmol Kuoも一緒でした。このプロジェクトは、何百個もの気象風船をハドリアヌスの長城に沿って並べるというもので、私は物理パーツの製作を担当しました。
私は2つの部品をデザインしてMakerbot Replicatorでプリントしました。ひとつはポールの先端と風船の中に電子機器を保持するためのもので、もうひとつは、風船をポールにつないでおくためのロープのガイドとなるものです。デザインの中心はこちらの部品にありました。ボランティアが400個近い風船を2時間ほどで組み立てなければならないため、素早く作業できるようにデザインしました。
それほど複雑なものではありませんが、いろいろなバージョンのプロトタイプをスタジオで作れるので、3Dプリンターはとても便利でした。こうしたホーム・デジタル・ファブリケーション・マシンは、とくに、自分でも見たことがないようなものを作りたいとき、市販品では間に合わないものを作りたいときに活躍するでしょう。
3Dプリンターがもっと一般的になったとき、建築の世界はどうなるでしょう?
もっと簡単で便利になったら、頭で考えることすらできないような形状や、手では作れない形状を、もっとたくさん試せるようになります。建築家にとって、こうしたマシンやコンピューターを使ったデザインの可能性は、現在、先入観のないデザインをするためのすべてのものを忘れさせる可能性があります。美的に納得するデザインを作るためのものだけでなく、建築デザインの最適化を行うものも含めてです。
– Michael Colombo
原文