2016.06.03
Maker Faireでアダム・サベージが語る「メイキングは物語、自分を信じてくれる人がいない時には」
Maker Faire Bay Areaで、もう何回も行われてきたアダム・サベージのサンデー・プレゼンテーション。日曜日の朝のお説教のようなものだが、毎回大勢の聴衆を喜ばせている。今年も例外ではなかった。電子キリンのRussellの背中に乗って、アダムは作ることの大切さに関して、おかしくて、自由で、ときどき心にひびく1時間のスピーチを行った。どんなものでも作ることはメイキングだ。子どもをMakerに育つよう教えること、あらゆる人に対してメイキングのハードルを下げることの重要さが語られた。
アダムはまず、未来、自分自身にも他人にも失敗を許すこと、失敗に直面しても諦めないことを話した。そして、彼は高校時代の理科の時間を思い出し、理科の先生が知らないということを認めてくれたことが、ずっと彼を助けてくれたと話した。その途中で、彼は聴衆に向かって、彼らが出会った特別な教師のことを思い出すよう勧めた。
Adam Savage Speaks at Maker Faire
そのスピーチの中には、いくつも胸を打つ話があった。そのひとつが、子どものころに作ったペーパークラフトの建築モデルの逸話だ。彼の最初のメイキングの思い出のひとつだ。完全に集中した作業を終えたあと、とても刺激的な感覚を得た。完全に満足できる瞬間を味わったと彼は母親に話した。そこまで集中してものを作ったことのある人なら、その感覚がわかるだろう。
彼はまた、耳をこらして聞いている大勢の観客に対して、メイキングとは、3DプリントやArduinoやLEDやCNCやレーザーカットばかりではないとも念を押した。木工や金属加工だけでもない。ドローンでもない。メイキングには、料理やダンスや絵画や音楽も、コスプレも含まれる。創造的なあらゆる活動、何かをこの世の中に生まれさせる活動がメイキングなのだと。さらに、以前の日曜「説教」で語られた、物語、自己表現、アイデアや夢を語る手段としてのメイキングの重要性についても触れた。物語は根源的な人間の活動だと彼は言う。ものを作ることは、そうした話を実体化することであり、それに命を吹き込むことなのだと。
なかでももっとも感動的だったのは、Q&Aの時間になったときだ。小さな女の子が彼にこう尋ねた。「自分の努力に対して、みんなからいつも悪く言われたら、どうしたらいいですか?」
アダムは、明らかにこの質問に胸を打たれていた。キリンから下りて女の子を抱きしめ、そうしてちょっと声を詰まらせながら、自分の仲間を見つけることだと教えてやった。たった一人でもいいから、自分を信じて助けてくれる人を探すこと。それは「自分のママ」でもいい。そうした人の中に自分を置くことだと。彼はこう指摘した。たくさんのクリエイティブなコミュニティがインターネット上にある。そこへ行けば、そうした人を簡単に見つけられる。
もうひとつ、Q&Aで感動的なことがあった。伝説がウソだったとわかったことで、いちばんのものは何かと誰かが尋ねた。それはたくさんあってひとつを選ぶことができないと前置きしながら、こう答えた。「いちばんは、科学の学位を取らなければ科学者になれないという伝説だ。私は科学者だよ!」と。
いつも変わらないアダム・サベージの魅力と刺激的なところは、エンジニアであると同時にアーティストである点だ。詩人の繊細な心を持ったMakerだ。そして、素晴らしい語り部だ。彼は今日、私たちにあることを思い出させてくれた。つまるところ、すべては物語なのだと。
[原文]