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2018.07.29

道具選びから失敗した時の対応策まで、一人ではじめるハンダづけの不安を取り除く本『ハンダづけをはじめよう』は8/10発売! Maker Faire会場でお買い求めの方にはテクノ手芸部オリジナルキットをプレゼント!

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書籍紹介

本書は、エレクトロニクス(電子工作)初心者のためのハンダづけ入門書です。独学で電子工作を学ぶ読者を対象に、さまざまなハンダづけの手法の紹介に始まり、ハンダごてやハンダなど必要な道具の選び方、そして実際のハンダづけの手順、失敗した際の対処法まで、詳しく解説を行い、初めてのハンダづけへの不安を取り除きます。さらに上級者のためには、表面実装部品のハンダづけ方法も解説。日本語版ではテクノ手芸部によるオリジナル作例(紙箱で作るハンダの煙吸い取り器、暗くなるとほんのり光る小さなライト)を追加しました。

書籍概要
Marc de Vinck 著、テクノ手芸部 監訳、鈴木 英倫子 訳
2018年08月10日 発売予定
156ページ (オールカラー)
ISBN978-4-87311-852-9
定価1,512円

●全国の有名書店、Amazon.co.jpにて予約受付中です。
●目次など詳しい情報は、O’Reilly Japan – ハンダづけをはじめようを参照してください。
Maker Faire Tokyo 2018の会場で本書をお買い求めいただいた方には、監訳のテクノ手芸部による「オリジナルハンダづけキット」(協力:Seeed Technology Co., Ltd)をプレゼント! さらにこのキットを使った「テクノ手芸部の『ハンダづけをはじめよう』ワークショップ」も開催予定です。ぜひ、ご来場ください!

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監訳者あとがき

 こんにちは。テクノ手芸部のかすやきょうこです。本書の監訳をテクノ手芸部のよしだともふみとともに担当しました。テクノ手芸部というのはものづくりユニットです。手芸とテクノロジーを組み合わせた作品を発表したり、ワークショップでみなさんと一緒に、作る楽しさを体験する機会を作っています。手芸と電子工作を組み合わせた作品では、電子回路を作るときにハンダづけをせずに、電気が通る糸を使って縫って回路を作ることもあります。

 難しそうなハンダづけをせずにすむ方法があるならそちらのほうがよさそうだと思う方もいるかもしれません。しかし、やはり糸ならではのテクニックが必要だったり、もちろん、使う場所によって向き不向きがあるのです。

 テクノ手芸に限らずハンダづけができるようになると、作れるものの幅が広がり、ものづくりが楽しくなると思います。 LEDで自分の部屋にぴったりの照明を作ったり、センサーで何かを測ってものを動かしたり、作りたいもののアイデアを形にする1つの方法として、ぜひハンダづけをマスターしてください。

 日本の読者で、久しぶりにハンダづけをしようとする人は中学校の授業のとき以来でしょうか。私も中学校での体験からしばらく経って、再びハンダづけをするようになりました。しかしよく調べずに何となくハンダづけをしていたので危険な目にあったり、ハンダづけすることに自分は向いていないのではと思うこともありました。本書を先に読んでいたら、そんな目に合わずに済んだかもしれませんね。

 みなさんにより安全に配慮する重要性を知ってもらうために、私がどのような危険な目にあったのか、少々恥ずかしいですが紹介しましょう。それは間違った場所に部品をハンダづけしてしまったのを外そうとしたときでした。ハンダを熱しながら部品を外すために動かしているときに、ふいに外れた部品とともにハンダが飛びました。幸い、頬をかすめただけだったので大した火傷にはなりませんでした。しかし、防護メガネを(その重要性を知らずに)着用していなかったので、本当に冷や汗をかきました。本書にあるように防護メガネをかけ、ハンダをきれいに取り除いてから部品を外せば危険性が減っていたことでしょう。それ以降、危ないなと感じる機会は少なくなりましたが、これまでの実感として、危険を感じる瞬間は順調にハンダづけをしているときよりも、うまくいかなかったり修正しようとしているときが多かったように思います。失敗に焦り、つい自己流で何とかしようとしてしまったりすることも理由の1つかもしれませんね。そういったときこそ、本書で紹介する修正方法を参考にしながら、落ち着いて正しい手順でハンダづけをすることをお勧めします。

 安全に配慮するという点についてもう1つ。ワークショップや授業でハンダづけを教える人は特にしっかりと安全について知る必要があり、教える必要があるということです。本書で「ハンダづけで最も重要なのはハンダごてよりも安全」と書かれている通りですね。本書で挙げられている気をつけるべき点に加えて、ワークショップや授業特有の危険もあります。たとえば、作業している人の近くで歩き回ってぶつかって火傷をさせてしまったり、ワークショップに付き添って近くで見ている人にまで、ハンダや切ったリード線が飛んでしまったり……。シチュエーションに合わせてどんな危険があるかを常に考えて、ワークショップや授業を構成してください。

 ハンダごてについてですが、私も本書に登場するようなステーション型のハンダごてを使っています。やはりこれまで使っていた価格の安いものよりも使い勝手がよく、気に入っています。これ以外にもUSB給電のハンダごても使っています。使い勝手はステーション型に比べてやはり劣りますが、出先やコンセントから離れた場所での作業にはもってこいです。最近も新しいUSB給電のハンダごてが発売されたので試してみているところです。

 このように、ハンダごての仕組みはシンプルに思えますが、細かな使い勝手や機能がアップデートされて現在も新しい機種が次々と登場しています。お気に入りのハンダごてをすでに持っている人もぜひ、最近の新しいハンダごてにどんなものがあるかチェックしてみてください。

 ハンダづけは、すごく細かな表面実装部品でないかぎり、一度マスターすれば決して難しいものではありません。最初のとっかかりや道具を揃えることは少々難しく感じるかもしれませんが、ぜひハンダづけをマスターしてものづくりを楽しんでください。

2018年7月 テクノ手芸部 かすやきょうこ