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2018.11.19

新刊『デザイニング・ボイスユーザーインターフェース』は12/1発売!

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Amazon Echo、Google Homeをはじめとするスマートスピーカーは、ますます身近なものになってきています。そうしたスマートスピーカー向けのアプリケーションをはじめ、「音声」で操作するアプリケーション開発に携わる人がすべて知っておくべき知識を1冊にまとめた本が発売されます。


●書籍概要
『デザイニング・ボイスユーザーインターフェース ―音声で対話するサービスのためのデザイン原則』
Cathy Pearl 著
川本 大功 監訳
高橋 信夫 訳
2018年12月1日 発売予定
A5判/304ページ(オールカラー)
ISBN978-4-87311-858-1
定価3,456円

◎全国の有名書店、Amazon.co.jpにて予約受付中です。

●書籍紹介

ボイスユーザーインターフェース(VUI)とはその名の通り、音声によってコンピュータや端末をコントロールして情報のやりとりを行うインターフェースのことを指します。近年、続々とVUIで制御するスマートスピーカーが発売され、日本でも一般家庭に普及しはじめています。VUIは、スマートスピーカーのほか、自動車への搭載をはじめとして今後さまざまなデバイスに適用されていく見込みです。本書は、音声による対話インターフェースであるVUIのデザインについて解説します。ユーザーの音声への確認やエラー時の対応などの基本的原則から、現在の音声認識テクノロジーや、より高度なユーザーとの対話、さらにユーザーテスト、実際に製品をリリースする際に必要になる情報などを取り上げます。本書は、VUIデザインに関する本邦初の本格的な解説書として、音声UXのスキルとテクノロジーに関心のある多くのデザイナー、エンジニア、新規事業担当者にとって注目の一冊です。


監訳者の川本さんが言及(後述)されているように、日々進化しつづけているVUIの世界においては、個別の開発手法のチュートリアルよりも、どんなVUIアプリケーションをデザインするうえでも必要となる「原理原則」を押さえておくことが肝要であり、本書はそのようなニーズにこたえるものです。

日本版だけに収録された特別寄稿にも注目です。実は日本には、スマートスピーカーが上陸する数年前から、Pepper向けのアプリ開発者たちが音声を用いたアプリ開発を行っており、現在のVUI開発にも通じる知見の蓄積がありました。こうした、黎明期に試行錯誤してきた開発者たちが実践で得てきた知見を、インタビューを通してお届けしています。そのほか、サービスデザインの観点から考えるVUIデザインなど、実践に役立つ内容が盛り込まれています。


●監訳者あとがきより

「Any sufficiently advanced technology is indistinguishable from magic.(十分に発達した科学技術は、魔法と見分けがつかない)」というのはSF作家アーサー・C・クラークの言葉だが、VUIはまさに魔法のように感じられるUIだ。1952年ベル研究所による数字認識装置から半世紀以上が経ち、1968年公開の映画『2001年宇宙の旅』で描かれた音声によるコンピューターと人とのインタラクションがようやく現実のものとなりつつある。

本書籍の原著は、2016年12月に出版されたCathy Pearl著『Designing Voice User Interfaces: Principles of Conversational Experiences』(O’Reilly Media刊)である。Cathy Pearlは2018年11月現在、GoogleでHead of Conversational Design Outreachとして活動している、VUIデザインの第一人者だ。

本書はPearlの豊富な経験から導かれた、VUIデザインを行ううえで重要なデザインの「原則」に関する書籍である。そのため、チュートリアルのような非常に具体的な開発方法は述べられていない。しかし、VUIによるアプリケーション開発は現在過渡期にある。だからこそ、個別具体的な開発手法ではなく、VUIをデザインするうえでの基礎となるデザイン原則を学ぶことが、優れたVUIやVUIを活用したサービスを開発するうえでの近道となるだろう。

また日本語版では原著の翻訳に加えて、日本語版独自の特別寄稿を収録することとした。本書に収録されている特別寄稿は、多摩美術大学 吉橋昭夫准教授と、ロボットスタート株式会社 北構武憲氏に執筆いただいたものである。吉橋准教授にはサービスデザインの観点から、VUIを用いたアプリを通じてユーザーに「サービス」を提供する場合に検討すべき事柄を解説いただいた。北構氏には日本におけるVUIの全体像を概観するとともに、VUIを用いたコミュニケーションロボットのアプリ開発者にインタビューを行っていただいた。(中略)

どちらの特別寄稿も単純な「付録」ではなく、読者が今後VUIデザインを極めていく際の足がかりとなるよう、執筆者と議論を重ねたものである。ぜひご一読いただきたい。本書が読者のVUIデザインを支える1冊になることができれば、幸いである。

2018年11月 川本大功

●目次

はじめに

1章 イントロダクション
VUIの歴史
VUI第2の時代
なぜVUIなのか?
会話型ユーザーインターフェース
Alexaをインタビューする
VUIデザイナーとは何か?
チャットボット
結論

2章 VUIデザイン原理の基本
モバイルデバイス向けVUIデザインとIVRシステム向けVUIデザイン
会話型デザイン
ユーザーに期待している行動を促す
デザインツール
確認
コマンド制御型vs会話型
会話マーカー
エラーハンドリング
ユーザーを責めるな
ユーザーの習熟度
コンテキストを維持する
ヘルプおよびその他のユニバーサルコマンド
遅延
曖昧さの回避
デザイン・ドキュメント
アクセシビリティー
結論

3章 ペルソナとビジュアルVUI
ペルソナ
VUIは姿を見せるべきか?
アバターを使ううえでやってはいけないこと
アバター(またはビデオ)を使ううえですべきこと
VUIでいつビデオを使うべきか
ビジュアルVUIのベストプラクティス
アバターを使わないビジュアルフィードバック
声を選ぶ
アバターの利点
アバターの欠点
結論

4章 音声認識技術
音声認識エンジンの選択
バージイン
N-Bestリスト
音声認識の課題
データプライバシー
結論

5章 高度なVUIデザイン
音声入力に応じた分岐
曖昧さ
否定の扱い
意図と目的を捉える
ダイアログマネジメント
ユーザーを宙ぶらりんにしない
VUIは認識したことを表示すべきか?
感情分析と感情検出
音声合成vs事前録音
話者認証
ウェイクワード
コンテキスト
高度なマルチモーダル
データセットを一から構築する
高度な自然言語理解
結論

6章 VUIのユーザーテスト
VUI固有の注意点
ユーザーとユースケースの背景調査
実際のユーザーと一緒にテストを計画する
初期段階でのユーザーテスト
ユーザビリティーテスト
測定基準
次のステップ
車載、デバイス、ロボットのVUIシステムをテストする
結論

7章 VUI完成後にすべきこと
リリース前のテスト
性能を測定する
ログを残す
文字起こし
段階的リリース
アンケート
分析
ツール
結論

8章 音声対応デバイスと自動車
デバイス
自動車と自動運転車
結論

エピローグ
付録 本書で取り上げた製品

日本版特別寄稿1 サービスから考えるVUIのデザイン
執筆:吉橋昭夫(多摩美術大学情報デザイン学科准教授)、川本大功

日本版特別寄稿2 コミュニケーションロボットから学ぶVUI/UX
執筆:北構武憲(ロボットスタート株式会社取締役副社長)

監訳者あとがき
索引

O’Reilly Japan – デザイニング・ボイスユーザーインターフェース――音声で対話するサービスのためのデザイン原則