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2016.10.03

メイカースペースをレイアウトするときの6つのコツ

Text by kanai

メイカースペースをデザインするとき、創造性を考慮する人がほとんどだろう。そこでどんなタイプのプロジェクトが行われるか、どれくらいの人数が同時に使うのか、どうしても必要な機材と、あればうれしい機材のリストを考えておく必要がある。

しかし、見落とされがちな要素がいくつかある。

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スペースの利用 – デザイン、製造、またはその両方?

スペースの利用者が、どこでデザイン(設計)を行って、どこで製造するかを考えておくことは重要だ。すべて同じ場所でやるのか、デザイン専用の場所を確保するのか? デザイン用のパソコンはノート型かデスクトップか?

デザインスペースは、製造スペースとできるだけ近くに用意する。そうすれば、行ったり来たりが楽になる。それが不可能ならば、製造スペースに持ち込んですぐにデータの編集ができるように、ノートパソコンを用意しておく。

教育者の場合は、デザインスペース、または製造スペース内で教えることを考慮しなければならない。メイカースペースで講義を行うならば、スペースを利用する他のクラスとの間でスケジュールの調整が必要だ。また、機械などの騒音の対策もしておく。

重要な知恵:スペースの使い方を決めることで、動線が決まる。

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ダーティーかクリーンか

どのメイカースペースにも、2つの種類の機材がある。ダーティー(切り屑などを大量に出すもの)と比較的クリーンなものだ。「ダーティー」な機材には、ドリルプレス、テーブルソー、その他の手動工具、CNC旋盤、フライス盤、ルーターなどが含まれる。「クリーン」な機材には、3Dプリンター、3Dスキャナー、レーザーカッター、ビニールカッター、真空成形機、射出成形モデラー、コンピューターなどがある。

理想的には、少なくとも移動可能な仮設の壁でダーティーな機材群とクリーンな機材群とを分けたいところだ。仕切りがないと、レーザーシステムの中のレーザー管や3Dプリンターの電子装置などに切り屑などのゴミが付く恐れがある。

仕切りを置くのが不可能な場合は、別のタイプの機材を考える。たとえば、小型で蓋の閉まるタイプのCNCマシンなら、より大きなテーブル型のCNCルーターよりもゴミが散らかる率が少ない。

重要な知恵:可能ならば「ダーティー」な機材と「クリーン」な機材を分ける。不可能ならば、別の機材を考える。

騒音対策

もうひとつ、スペースを仕切る理由に、騒音対策がある。コンピューターによるデザインと指導を同じスペースで行では、共通した問題だ。おそらく、スペースの中でもっともやかましいのがCNCシステムだろう。大型のCNCシステムからは3つの騒音が出る。スピンドル、バキュームテーブル、ダストコレクターだ。購入する前に、どれだけの騒音が出るかを実際に確かめておこう。

騒音が大きな問題となるときは、蓋のできるシステムを選択する。蓋のできるシステムならば騒音レベルが軽減でき、利用者はデザインに集中できる。

スペースが建物の中のどのあたりにあるかも重要だ。近くに教室や工房があるときは、スペース内のレイアウトにも気を遣う必要がある。そのような場合は、音の大きなマシンをできる限り外壁に面したところに配置する。

重要な知恵:あらかじめ計画を立てておくことで、騒音は最低限に抑えられる。

電源

メイカースペースを作る際のもっとも多い間違いは、すべての機器が標準の120ボルト(米国の場合)で駆動すると思い込んでしまうことだ。

たとえば、大型のルーターなどは、高速スピンドルや真空ポンプに三層の240ボルト電源を必要とする。必要な電源に関しては、製品のデータシートに書かれているので、それをよく読んでおこう。

特殊な電源が必要な場合は、それを設置するために必要なコストを電気工事担当者に聞く。最終的なレイアウトを決めるときも、必ず電気工事担当者と打ち合わせをしておく。あとで変更しようとすると、大変な予算がかかるからだ。

標準の120ボルトしか使えないスペースの場合は、設置する機材を慎重に選ぼう。製品が届いてから慌てないように。

重要な知恵:機材のデータシートをよく読んで、必要な電源を調べておく。最終的なレイアウトは電気工事担当者といっしょに決める。

什器

通常、作業台は収納などは、あまり意識されない。工作機械のようにエキサイティングなものではないからだ。しかし、それはスペース全体の使い勝手を左右する。

什器に関しては、自分で作ったり、余っているものを流用するといった方法で節約するものではない。それを行うと、最適でない什器でスペースが埋まってしまうこともある。利用者は小さなテーブルで背中を丸めて作業しなければならなくなったり、高価な機材をその重量に耐えられない台の上に載せることになりかねない。

収納も大切だ。スペースを整理整頓されていれば、作業がしやすいばかりでなく安全でもある。収納するべきものは何か、どれだけの収納が必要かを、その都度、考えるべきだ。

什器に関して、もうひとつ犯しやすい過ちは、機能性よりも美観を優先させてしまうことだ。誰だって、モダンで魅力的なスペースにしたいと思うが、判断の基準は耐久性に置かなければいけない。

什器を選ぶ際には、スペースでどのような作業を行うかを考慮する。作業台の上でハンドツールを使うだろうか? 電子部品のハンダ付けを行うだろうか? 作業は座って行うのか、立って行うのか? 長い目で見て、その作業台は、そうした作業にどれだけ耐えられるか? 中には、見栄えがいいが、作業に向いていないものもある。そんな作業台は、すぐに最初の輝きを失うし、何より、使いづらいことがすぐにわかる。

どのような什器が必要であるかを決めるには、計画しているものと同じような機材を揃えたメイカースペースを見学することが一番だ。そこで、機材と什器を記録して、スペースの管理者に、どのようなものを、どうして選んだのかを聞く。

重要な知恵:必要に応じた収納のある頑丈な什器を選ぶこと。

移動性のデザイン

移動性はメイカースペースの流行にもなっている。それはよくわかる。

什器に移動できる機能があるかを確かめよう。作業台にキャスターを付ければ、配置換えも楽にできる。作業台をつなげて大人数での作業を可能にしたり、バラバラにして個人の作業を可能にしたりできれば、スペースに柔軟性が備わり、いろいろな利用者に対応できるようになる。

移動性は什器だけのものではない。機材も移動できる。たとえば、3Dプリンターやレーザーシステムは、移動用のカートがオプションで用意されていることがある。それを使えば、スペースの柔軟性がより高まる。

重要な知恵:什器や機材を移動可能にしておくことで、スペースのカスタマイズのレベルが上がる。

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