Crafts

2008.07.24

Scott Draves(Spot)の『Dreams in High Fidelity』- Makerインタビュー

Text by kanai

ボクの大好きなアーティストがニューヨーク市で開かれた3LD(Three legged dog)のオープニングを飾った。- Scott Draves(通称:Spot)は、1日6万件の参加者を誇り、常に進化する抽象アニメーション、Electric Sheepの創設者として知られている。
Dreams in High Fidelityは変化する絵画だ。製作とレンダリングは、6万台のコンピューターと人々が介在するサイボーグ頭脳、Electric Sheepで行われた。ボクの知る限りでは、”クラウドソーシング”の数少ない成功例だと思う。:)
物理的には、高解像度ディスプレイを小さなコンピューターが駆動している。コンピューターは、常に変化する、繰り返しのない抽象アニメーションを生成する。これにはダウンロード可能なソフトウェアを使ったものではなく、巨大なデータベースを持つ独自設定のコンピューターが使用されている。
アニメーションはElectric Sheepでレンダリングされるが、解像度は3倍に高められ、動きもより安定化させられる。大きな画面で見ると、その画質の高さに圧倒される。これを生成し表示するためには、通常の高画質 “Sheep” の20倍の演算が必要になる。

彼は好きなSheepをアーカイブとパブリックフロックから選択し、高品位画像にレンダリングし直した。電子ヒツジの天国だ。この新しくなったフロックはサイズが100GBにもなる。最初から最後までプレイすると18時間に及ぶ大作で、1台のパソコンでレンダリングすれば200年はかかる計算になる。
このDreams in High Fidelityのバージョンは、7月11日から26日までの間に3LDで見ることができる。近くにいる人は、ぜひとも見に行ってほしい。それだけの価値はある(とくに夜がお勧め)。
Scottの作品は”オープンソース”なので、ツールとソフトウェアは誰でもダウンロードできる。そして、製作された”Creatures”は、クリエイティブコモンズで公開される。Scottがビジネスとして販売しているオープンソースのハードウェアや物理版の作品やインスタレーションもそうだが、そこにボクは大きな期待を持っている。これからのデジタルアーティストに何がもたらされるかが、ちょっと見えたような気がする。
上のビデオはボクが行ったSpotへのインタビューだ。VimeoでHD版も見られるよQuicktime(M4V)版はこちら
– Phillip Torrone
原文