Electronics

2008.08.08

"爆発物様のもの"なんかじゃない!

Text by kanai

Scot Peele
本当に腹が立つ。運輸保安局は彼らのサイトで鬼の首を取ったような言い様だ。 – とは言っても、彼らは悪いことを企んでいたヤツを捕まえたのではない。我々はみな等しく危険な状態にある。彼らは、DVDプレイヤー用に自作したバッテリーパックを発見しただけなのだ。Schneier on security より。

爆弾査定官、Timothy D. Smithがそれを発見し乗客と言葉を交わすと、即座に手荷物検査所が閉鎖された。それは、金属製の空のボトルと、28本の充電池と数本の抵抗が2段重ねになってシリコンの粘着テープで固定された自作のバッテリーパックだった。

どこでも売っているバッテリーパックのように聞こえるが、これはある技術者が自作したものだ。爆弾の専門家なら、ほんの数秒で安全な代物だと判断できるはずだ。
その”金属製”の筒も、飲料水用のボトルであることは一目瞭然だ。液体が入ったボトルの持ち込むことが禁止されているため、みんな空のボトルを持ち込み、手荷物検査を通過したあとに水を入れて使っている。運輸保安局は、それがあたかもブルース・ウィリスが土壇場で時限装置を解除する爆弾の小道具のように見せかけて、やらせの写真を撮っている。

その乗客は技術者で、ハワイまでの長時間のフライトでDVDプレイヤーを使えるよう、自分で作ったバッテリーパックであると説明している。彼は、他の乗客が見たら危険物と勘違いしかねないことを認め、運輸保安官、Raiford Pattersonによる没収に合意したことで、やっと搭乗が許された。

他の乗客は運輸保安局ではない。バッテリーパックは危険物ではないし、我々は爆弾の専門家ではない。運輸保安局は、これが危険物でないとわかったならすぐに対処し、勝利の物語を取り下げるべきだ。バッテリーと配線の持ち込みを禁止する新しい決まりが出来たのなら、それを公表し、いたるところにポスターを貼って知らせるべきだ(ボクはノートパソコンのバッテリーに関する決まりは知っているので、いつもビニール袋に入れて携帯している)。

「疑わしい物はすべて同等に扱い、許される範囲のあらゆる手段を使って最終決断を下します」と連邦保安局責任者のDavid Wynnは語っている。「手続きには正当な理由に基づいて行われました。これは我々の活躍を誇示する事例であります」

ボクに言わせたら反対だ。彼らは映画に出てくるような物に見せかけて、話をでっちあげたんだ。本当に危険なものは、DVDプレイヤーの予備バッテリーみたいな形はしていない。ボクも自作の電子機器を機内に持ち込むけど、今までトラブルになったことはない。運輸保安局のスタッフは、大抵は非常に優秀で、物事をよくわかっている人たちだ。本当に危険なものは見つけ出さなければならないし、公表することは大切だ。たしかに、このエンジニアのバッテリーパックは作りがちょっとお粗末だった(ゴメンね)けど、今回のような対処法が彼らのやり方だとすれば、運輸保安局のサイトの有用性は疑わしい。
– Phillip Torrone
訳者から:杓子定規な役人の対応には腹が立つね。でも、運輸保安局(TSA)のサイトには、スタッフによる謝罪文が掲載された。本人に対する謝罪の言葉はないが、明らかに間違った対応だったと認めている。でも、バッテリーパックがテロリストが使っているものに似ていたから、仕方なかったとの弁明もある。いずれにせよ、市民の声に対する速やかな対処は、さすがにアメリカって感じだな。
原文