Terence R. McCainは、街から自宅まで日用品を引いて帰れる自転車を作ろうと調査を重ねてきたが、ある日、電動カーゴバイク(たくさんの荷物が運べる自転車)に目を付けた。そして、精力的なご隠居であるMcCainは、「異なるモデルのカーゴバイクの販売と、後付システムによる電動化の経験が豊富な店」を探して全国を跳び回った。そんな彼が、1月に完成予定の特注電動カーゴバイクの設計に関する体験談を我々に送ってくれた。
アメリカ人の多くがそうであるように、私も子供の頃から自転車に乗っている。今でも自転車が大好きだ。地元の買い物には好んで自転車を使う。食料品店はウチから2マイル以内だし、ウォルマートも5マイル程度のところにある。バージニア州の繁華街であるウォレントンは、3マイルも離れていない。これらの場所に行くのに、わざわざバンを使う必要は、まったくない。たったひとつのちょっとした場合を除いてはね。
私の自転車(18段変速のマウンテンバイク)にはトランクがない。何十キロもの日用品を積載できる装備がないのだ。もし無理矢理載せたとしても、坂道が多いために体力が続かない。私はもう若くない。
電動自転車なら、問題解決となるだろうか?
最近では、数多くの電動自転車が販売されるようになってきた。とてもいいことだ。しかし、すべてに共通する問題点がある。トランクがないことだ。人を1人運ぶには十分なパワーがあるが、それだけだ。1人の運転者を時速30キロ程度で長時間走らせるだけの性能があるが、低速ではほとんどトルクが出ない。そのため、重い荷物を引っ張るのには向いていないのだ。また私は、ペダルを漕ぐ方式か全自動かに関わらず、自転車でリアカーを引っ張るツモリはない。
私のプロジェクトの主眼は、こうした問題を克服することにあった。まとまった荷物の運搬に便利で、ウチのまわりの坂道をスイスイと上れる自転車だ。バンを使うことなく、近所の用事がほとんど済んでしまう自転車だ。
アメリカの市場では、そんな自転車は売られていない。しかし、部品なら売られている。そこでこの夏、ノースカロライナ州にある、小さいが先進的な自転車ショップ(Cycle 9)と一緒に、私の構想を現実化する方法を探り始めたのだ。そしてこれが、その結果だ。フレーム
Surly製Big Dummy:荷物を搭載できるようにフレームが延長されている。アメリカ製だ。Surlyはまだこのフレームを大量生産していないため、注文してから数ヶ月は待つことになる。このフレームなら、体重90キロの運転者と90キロ以上の荷物を載せることができる(写真はサーリーのサイトより)。パニア
Xtracycle製、FreeLoaders:大量の荷物を搭載できるよう荷台を備えた特大のアメリカ製パニア。Big Dummyフレームは、Xtracycleの大きなパニアに合わせて作られたものなのだ(写真はXtracycleのサイトより)。バッテリー
LifeBattの20AH、48V、LiFePO4バッテリー。台湾製の非常に大きなバッテリーだ(18キロ近くある)。これはFreeloaderの荷台に載せることで、パニアの積載量を確保する。
推進装置
BMC製の400Wのハブモーター2基。内蔵ギアによって、通常のハブモーターよりも高い低速トルクを発する。2つのモーターはひとつのグリップスロットルで制御する。インド製。
トレーラー
Cycletote製のアルミの軽量トレーラー。Freeloaderのリアステイに接続できるよう、特注のマウント用金具が付いている。アメリカ製で67キロほどの荷物を積むことができて、自転車のフレームにかかる負荷はそのほんの一部に抑えることができる。一般的な自転車用トレーラーと違い、これは自転車の重心に接続するようになっているので、自転車が横に流されることがない(写真はCycletoteのサイトより。ラバーメイドのコンテナは別売り)。補足
もちろん細かい注意点は山ほどある。たとえば、Big Dummyはフレームのみ販売なので、このほかの部品を世界中からかき集めて、自分で自転車を組み立てなければならない。
注意:一部のメーカーはワケのわからないところがあるので注意が必要だ。BMCにはウェブサイトがない。北アメリカの業務はたった1人のスタッフが担当している。バッテリーを買った台湾の業者は英語で注文を受けて世界中に配送してくれるが、海外向けウェブサイトはチンプンカンプンだ。自分が何を買おうとしているのか、ハッキリと決めておいて彼らに伝えてやる必要がある。
私のバイクを作ってくれているノースカロライナのCycle 9は、以前から電動自転車を売っているが、それらは荷物の運搬を目的として、山坂道に適した低速トルクのある自転車というわけではなかった。部品の調査や技術的問題に膨大な人件費を費やしてくれた。それはこの自転車を1台売ったぐらいでは、とうてい回収できないコストだ。どこに”落とし穴”があるかを熟知した彼らが、こうした自転車をもっとたくさん作ってくれるようになることを願っている。
この自転車は1月に完成して届けられることになっている。走行距離や、どれだけの荷物を積んで坂を上れるかは、まだ未知数だが、すぐにわかるだろう。
自転車の電動化は、自動車を電気自動車に改造するよりはずっと簡単にできる。また、電動自転車の走行距離を短くして、そのぶん重い荷物を運べるように設定を調整しるという考え方は理に適っていると私は思う。私たちには、荷物は自動車で運ぶものという習慣が身についているが、こうした自転車があれば、近所のお遣いなら十分に自動車の代わりになる。電動カーゴバイクには、広く普及する可能性がある。
さらに、これが私たちの生活様式を大きく変えることにも繋がると思う。推進力が小さいぶん、運動量が多くなり、快感も得られる。アメリカ人にとって、これはとてもいいことだと思う。
Terence が実際にこの自転車の運用を開始したら、追加情報を載せようと思っています。
私たちの生活に変化をもたらすプロジェクトがあったら、dale [at] oreilly.comまでご一報ください。Remakeで紹介したいと思います。
– Dale Dougherty
訳者から:電動カーゴバイクは日本にこそピッタリだと思うけど、店や地域の駐輪場をもっと大きくしないといけない。子供を2人乗せて安全に走れる電動自転車もだね。駐輪場や法律上の問題は、麻生ちゃんの仕事かな。
[原文]