2009.12.08
CrunchPadの最期 – ハードウェアはハードだね
ポピュラーメカニクス誌の今年のもっとも輝かしい10製品にも選ばれたCrunchPad。しかし、それが発売されることはなかった。TechCrunchのMikeの記事より。
この製品は、強欲と嫉妬とコミュニケーション不足によって破壊されてしまった。私は激高し、当惑し、そして何より、悲しい。
この話には、もっと裏があるような気がしてならない。ハードウェアを作っているLadyadaの考えを聞いてみよう。
ちょっと違うように思うかもしれないけど、この製品がポシャった大きな原因に、価格の問題があると思う。なぜかって? たとえば、ハードウェアや工業デザインの経験がない人が、自分の製品をXドルで売りたいと言えば、「利益幅はどれほどか?」という話になる。その利益幅が小さいほど、作った人と売る人の双方は、儲けがないならダメもとでとハッタリをかけ合うようになる。ハードウェアには、この問題がつきまとう。私はそんな場面を何度も見てきた。作る側は価格を低く抑えたがる。せいぜい、部品コストの30パーセント上乗せ程度。しかし、研究開発費や膨大な運送費や下請けコストやなにやらで、価格は軽く2倍に跳ね上がってしまう。そこで話が行き詰まる。出資者も、下請け製造業者も、開発者も、お客さんも、みんな高価格は嫌いだ。そうして、話が流れてしまう。だから、どうかどうかどうか、ハードウェアを売ろうと考えているなら、自分で決めた価格に、あと40パーセント乗せてちょうだい。そんなにいらないというなら、あとでいくらでも値下げできるから。 🙂
CrunchPadの噂が飛び交っていたころ、多くのガジェット愛好家から質問を受けた。オープンソースなのか、オープンソースハードウェアのタブレットなのかと。ボクは懐疑的だった。価格も高いし、利益幅は小さいし、ハードウェアは簡単じゃない。ウェブでは多くの評論家たちがこう話していた。「液晶画面を買ってきて、Linuxをロードしてブラウザーを立ち上げるだけで簡単に作れる。週末の工作程度のものだ」と。しかし、実際にハードウェアを売るとなると、デモ用のハードを作るのとはワケが違ってくる。
ボクはまた、CrunchPadのマーケティング担当者の言葉も気になっていた。イメージアップと支持を取り付けるためにオープンソースという言葉を利用しているように聞こえたからだ。よくあることだけど。
こんな風に言われていた。
2008年7月21日の設立宣言の中で、「私たちは非常にシンプルなウェブタブレットを200ドルで販売しようと考えています。その開発を手伝ってください」とある。Michael Arringtonはこう書いている。「いっしょに開発しよう。何台か作ったら仕様をオープンソースにして、誰でも作れるようにしたい」「すべてがうまくいったら、私たちは設計とソフトウェアをオープンソースにする。そうすれば、誰もが好きなように作れる」
The End Of The CrunchPadという記事で、Mikeはこう書いている。(日本語訳は悲しいお知らせ:CrunchPadは始まる前に終わってしまった…)
あともう少しだった。CrunchPadの一般公開の2週間前だ。デバイスは安定していてデモができる状態だった。何時間もクラッシュしないで動き続けていた。いろんな人に使ってもらったりもしていた。インターフェースは大変に直感的で、説明を受けなくても、みんなすぐに使いこなせるようになった。わずかではあったが外部の人々の純粋に楽しそうな顔を見て、1年半の努力は無駄じゃなかったと感じた」
設計を公開するというのは、よさそうに聞こえるよね。そこでボクは、本当にその方針を貫くのかと質問してみた。ボクは、それに関して、彼らからの何らかの発表があると期待していた。
これは、ボクがTechCrunchに書いた質問状だ。
mike – Make Magazineのphilです。あなたは、これはオープンソースプロジェクトだと言ってきましたね(ハードもソフトも)。では、ファイルはどこにありますか? 回路図、ソースコード、プリント基板ファイルなどは? Fusion Garage社は、ソースをなにも公開しないまま、これをオープンソース (ソフトとハード)プロジェクトだと主張し続けるのでしょうか。だとすれば、あなたも、実体がないまま、オープンソースという言葉をイメージアップと宣伝のためだけに使っていると思えてしまいます。
TechCrunchを通してメールも出した。(12/1/2009 – いまだ返事なし)
みんなの意見を聞かせてくれ!
– Phillip Torrone
[原文]