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2010.07.21

How-To: インクジェットプリンターで布に印刷する方法

Text by kanai

How-To: インクジェットプリンターで布に印刷する方法

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Andrew Lewis

テキスタイル関係のプロジェクトでいいアイデアを思いついても、生地屋さんで布を探し続けなければならないのかと思うと、気持ちが萎えてしまう。また、賢明な値段交渉の末に、必要な分の3倍も生地を買わされるハメになるんだろう、なんて心配もする。

そこで、インクジェットプリンターで好きな柄を印刷してしまおうと考えた。そして結果は予想を上回るものだった。この技がもたらす恩恵はすごく大きい。もう値段交渉で汗をかく必要はない。

自分のデザインで、好みの品質で、しかも普通に買うのに比べてコストは数分の1。唯一の欠点は、みんなからしつこくプリントしてくれと頼まれてしまうことだ。

インクについて

布に印刷すると言っても、それほど難しいことではない。特別な材料もいらない。成功の秘訣はただひとつ。適切なインクを使うことだ。安価なプリンターのカートリッジや詰め替えインクは、染料系のインクを使っていることが多いが、これを布に使うと色が思い通りに出ない。水で洗っただけで完全に落ちてしまうこともある。

高級なインクカートリッジには顔料系インクが使われている。顔料系インクはどんな素材に使っても色落ちがない。また、顔料のほうが布に乗りやすい。

問題は、染料系なのか顔料系なのか、簡単に見分けがつかないことだ。まずはプリンターの説明書を見てみよう。 それでも不安なら、実際にテストしてみるといい。インクカートリッジを交換するときに、黄色カートリッジのインクをガラスの上に垂らす。顔料系なら不透明で非常に鮮やかな黄色に見える。染料系なら透明で、やや茶色っぽく見える。

ご注意: どのプリンターでも布に印刷できるわけではありません。布を通すとプリンターが故障してしまうこともあります。これはあくまで実験的な試みです。プリンターを破損するリスクを承知の上で行ってください。

使うもの

明るい色の生地
顔料インク対応のプリンター
ハサミ
厚紙
両面テープ

やり方

Fabric Printing Step1

Step 1:
明るい色で表面が滑らかな布を、プリンターで印刷できる最大サイズの幅に切る。私はエプソンR1800を使っているので、A3よりやや大きめの印刷ができる。ロール紙を使うプリンターなら、好きなだけ長い布に印刷できる。普通紙用ならば、用紙の大きさに布を切り揃える。長い布に印刷する場合は、紙の筒に布を巻いておくと扱いやすい。

Fabric Printing Step2

Step 2: 布と同じ幅の厚紙を用意し、厚紙の縁に両面テープを貼って布を貼り付ける。厚紙はリーダーの役目を果たす。つまり、印刷の開始時に布をプリンターの中へ引きずり込むための先導役だ。私は長さ25センチの厚紙を使った。厚紙の先頭から5センチほど引っ込んだあたりに布を貼り付ける。厚紙がプリンターに入れば、あとはその重さで布がスムースに送り込まれる。

Step 3:プリンターに厚紙を入れる。エプソンR1800の場合は、ロール紙給紙モードを使った。そのほうが紙が浅い角度で入るし、バーナーモードで無制限に長い印刷ができるからだ。

Fabric Printing Step4

Step 4: コンピューターでデザインを作り、印刷する。印刷中は、布にシワが寄ったり、詰まったりしないようにプリンターから目を離さないこと。問題が起きたら、すぐに電源を切って、布を丁寧に抜き取ってから再び電源を入れる。印刷中に布を引っ張ったり動かしたりしないこと。ちょっとでも布のテンションが変わると絵が歪む恐れがあるからだ。引っ張るとシワも入りやすくなる。

Fabric Printing Step5

Step 5: デザインが思った通りに印刷されないときは、プリンターの明るさや色合いの調整が必要だ。布によって発色が違うので、よい結果を得るためには、いろいろ実験を重ねて経験を積むことだ。

Step 6: 印刷が終わったら、布をそのまま1時間ほど放置して乾燥させる。それでも触ると指にインクが付くこともあるが、これは普通のことなので心配はいらない。ぬるま湯で布を洗って余分な顔料を落とし、干しておこう。

Fabric Printing End

Step 7:布が乾いたら、裏から低温のアイロンをあてる。ここから先は、店で買った生地とまったく同じに扱える。色落ちを防ぐには、洗濯は水洗い、アイロンは裏からを心がけよう。

著者紹介:
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Andrew Lewis(アンドリュー・ルイス)。ジャーナリスト、Maker、料理好き、www.upcraft.it blog の創設者。現在は、考古年代測定と3D スキャニングの博士号取得のためにウルヴァーハンプトン大学に通っている。

[原文]