2011.02.25
オープンソースハードウェア定義 1.0公開!
ビッグニュースだ。オープンソースハードウェアに関わるすべての人たちが、自分のウェブサイトで、または基板の上に、これがオープンソースハードウェアだ! と公言できる定義が完成した。どうかこのページを読んで承認してほしい![Ayahより]
ついにこの日が来ました。ここにOpen Source Hardware Definition(オープンソースハードウェア定義 1.0を発表できることをうれしく思います。
この定義に至るまでには、草案のフィードバックを何度も繰り返しました。インターネット、フォーラム、オープンソースハードウェアサミット、関係業者のサイト、電子メールなどを通して集められたフィードバックは、ここに掲示され、閲覧できるようにしてきました。次第にフィードバックはまとまりを見せるようになり、定義の成立を支える力となっていきました。
定義草案において積極的に尽力し、論議に参加してくださったみなさんに、心より感謝いたします。
さらに前進させるためのお願い:
- 定義を承認してください。バージョン 1.0 に対するあなたのフィードバックをフォーラムまたはメーリングリストに書き込んでください。数週間後あるいは数カ月後のバージョン1.1に役立ちます。
- ロゴを見てください。これは私たちがオープンソースハードウェアに使いたいと考えているものです。あなたもデザインを考えてフォーラムのLOGOスレッドに投稿してください。
- あなたの会社やプロジェクトやウェブサイトで、OSHW定義への支持を表明してください。
リンク元に定義 1.0の完全な文書があります。
Open Source Hardware (OSHW) Statement of Principles 1.0(オープンソースハードウェア(OSHW)原則書 1.0)
オープンソースハードウェアとは、その設計または、その設計に基づくハードウェアを、誰もが研究、改良、配布、製作、販売できるハードウェアです。ハードウェアの原型、その製作に使用された設計は、それを改良する場合に適切な形式で公開されます。また、個人による製作および使用の機会を最大限に広げるよう、オープンソースハードウェアには、一般に入手可能な部品と素材、標準的な製造法、オープンな社会基盤、オープンソースの開発ツールを使用することが理想です。オープンソースハードウェアは、私たちのテクノロジーを自分たちで管理する自由を保証し、設計のオープンな交流を通じて、知識を共有し商用利用を奨励するものです。
オープンソースハードウェア(OSHW)定義 1.0
OSHW定義草案 1.0は、オープンソースソフトウェアのオープンソース定義と、OSHW定義草案 0.5をもとに作成されました。この定義は、Bruce PerensとDebianフリーソフトウェアガイドラインに従うDebian開発者によって作られたオープンソース定義に由来しています。この定義作成の発端となったOpening Hardwareワークショップのビデオと資料はここで見られます。みなさんも、ここで、この定義に関する議論に参加してください。
はじめに
オープンソースハードウェア(OSHW)とは、すべての人が製造、改造、配布、使用できるよう、設計が一般に公開される有形の実体(機械や装置などの製造物)を指します。本定義は、オープンソースハードウェアのためのライセンスの開発および評価の指針となることを目標にしています。
留意すべきは、実体のある物を作るためには、かならず物理的な資源を取り込む必要のある点において、ハードウェアとソフトウェアと異なるということです。そのため、OSHWライセンスの下で実体(製品)を作る人や企業は、その製品の製造、販売、保証、その他の許諾行為をオリジナルの開発者が行うかのように思わせる表示をしないという責任を負います。また、オリジナル開発者が所有するいかなる商標も、使わないように気をつけなければなりません。
オープンソース・ハードウェアの配布条件は、以下の基準に準拠しなければなりません。
1. 文書
ハードウェアを配布する際には、設計ファイルを含む文書を添付してください。また、この設計ファイルの改変と配布も自由に行える必要があります。製品に文書を添付できないときは、ごく一般的な方法により、相応な複製費用で、望ましくはインターネットから無料ダウンロードで、資料を入手できる態勢を整えておく必要があります。この資料には、ハードウェア開発者が設計を変更できるよう、設計ファイルを含めてください。設計ファイルの内容を故意に分かりづらくすることは認められません。また、コンパイルされたコンピューターコードに類似する中間的形態(たとえば、CADプログラムの印刷用プリント基板パターンのファイルなど)を代用にすることも認められません。
2. 範囲
ハードウェアのための文書は、本ライセンスのもとで公開されるのがその一部であるときは、設計のどの部分に関する資料であるかを明記しなければなりません。
3. 必要なソフトウェア
本ライセンスによって公開される設計が本来機能を適正に発揮するためにソフトウェアを使用する必要がある場合は、組み込み型か否かに関わらず、以下のいずれかの条件を満たしていなければなりません。
a) インターフェイスの解説が適切であり、ハードウェアを正しく操作でき、本来機能を十分に発揮させるためのオープンソースのソフトウェアの製作方法が、常識的に率直でわかりやすいと思われる形で説明されている。たとえば、詳細な信号同期表や、インターフェイスの処理方法を明確に示した擬似コードを添付するなど。
b) 必要なソフトウェアがOSI承認のオープンソースライセンスで公開されている。
4. 派生作品
このライセンスでは、改造および派生作品の製作が許可されます。さらに、オリジナルのハードウェアのライセンスと同一条件での配布が許可されます。さらにこのライセンスでは、製造、販売、配布、設計ファイルより製造された製品および設計ファイルそのもの、またはその派生品の使用が許可されます。
5. 再配布の自由
このライセンスでは、いかなる人や団体に対しても、販売や資料の無料配布を制限してはいけません。このライセンスでは、製品の著作権料、または販売にともなう使用料を請求してはいけません。このライセンスでは、派生製品の著作権料、または販売にともなう使用料を請求してはいけません。
6. 帰属
このライセンスでは、由来を示す資料および製品に関連する著作権表示を、設計ファイル、製造した製品、派生製品などを配布する際に添付して、ライセンス実施許諾者への帰属を明示するよう要求されることがあります。このライセンスでは、こうした情報を末端ユーザーが、一般的な方法で閲覧できるようにしておくよう要求されることがあります。この際、特定の表示形態や形式に限定してはいけません。このライセンスでは、派生製品にはオリジナル設計とは異なる名称またはバージョン番号を付けるよう要求されることがあります。
7. 人および団体を差別しない
このライセンスでは、いかなる人および団体をも差別してはいけません。
8. 目的の分野を差別しない
このライセンスでは、製品(製造されたハードウェアを含む)を使用目的の分野によって使用者に制限を加えてはいけません。たとえば、商用利用を制限したり、核開発での利用を制限するといったことはできません。
9. ライセンスの配布
このライセンスにより許諾された権利は、製品を受け取った者にも、受け手が自ら新たなライセンスの供与を請求する必要なしに、許諾されなければなりません。
10. ライセンスを特定の製品に限定しない
このライセンスによって許諾された権利は、これが別の製品の部品として使用される場合でも、その状態とは関係なく保たれなければなりません。もし、この部品が製品から取り出され、このライセンスの条件下で使用または配布された場合も、これを受け取ったすべての人に、オリジナルの製品に許諾されている権利が与えられます。
11. ライセンスは、他のハードウェアまたはソフトウェアを制限してはいけない
このライセンスでは、このライセンスのもとに作られた製品が一部に使われている物の他の部分に制限を加えることはできません。たとえば、このライセンスのもとに作られた部品を含んで販売される製品全体をオープンソースであると主張することはできません。また、オープンソースソフトウェアのみを外部的に使用している製品をオープンソースと呼ぶことはできません。
12. ライセンスは技術的に中立であること
このライセンスのいかなる条項も、個別の技術、特定の部分または部品、素材、またはインターフェイスの形式を前提としてはいけません。
後書き
このオープンソースハードウェア定義に署名した人々は、オープンソース運動が情報共有のためのひとつの手段にすぎないことを認識しています。私たちは、この定義に合う合わないを別として、あらゆる形のオープン化と共同製作を促進し、支援してまいります。
ライセンスとハードウェア
オープンなハードウェアを推進するにあたり、ライセンスが設計を管理できるかのような拡大解釈で無意図的に設計者を騙すことにならないよう注意する必要があります。アメリカ合衆国をはじめとする多くの国々では、電子回路の設計には著作権は認められていません。認められているのは特許だけです。その結果、オープンハードウェアライセンスは、一般的に、設計を管理する目的で使うことができますが、製造された製品や、オリジナル文書のコピー以外の同一設計を書き直したものでさえ管理できないことになります。この件に該当する著作権法は17.102(b)です。それにはこう書かれています。:
「いかなる場合においても、原作者によるオリジナル作品に対する著作権による保護は、その記述、解説、図示、当該製品への統合などの形式に関わらず、アイデア、手段、処理、システム、操作方法、概念、原理、発見には一切及ばない。」
訳者から:上記の日本語訳オープンソースハードウェア定義 1.0は、あくまでブログ記事の対訳です。公式な日本語版ではありませんので、参考程度に見てやってください。
[原文]