2014.01.17
MAKE編集者が選ぶCES 2014ハイライト
MAKEのスタッフはラスベガスに飛び、世界最大の家電見本市、CES 2014の取材にあたった。我々は、Makerに関係のありそうな話題や、「個人が物を作ることが主流になるか?」という問題に答えてくれそうなものを見てまわった。会場では、テレビやタブレットやカメラや電話など、定番の展示なども目に入ったが、ロボット、3Dプリンター、3Dカメラ、ドローン、さらになんと、ハードウェア開発ボードなどもあった。
CES取材を締めくくるにあたって、我々がCES 2014でいちばん気に入ったものを紹介していこうと思う。CESを見学した人、または自宅からCESに関する情報を見ていたという人で、お気に入りのアイテムがあったらコメントに書いてほしい。
間もなく普及するだろう技術:Tobii Eye-tracking Sensors
CESに出展された技術の種類は無限にも思えるが、主流になる可能性と、ハックによって革新的なものに生まれ変われる可能性を併せ持ったガジェットは、毎年、2つか3つといったところだ。Tobii iトラッキング・センサーは、そんなひとつ。CES 2014に出展されたのは、外付けタイプとディスプレイやノートパソコンやタブレットに内蔵されるタイプの2つ。ストックホルムに本社を置くTobiiは、移動性が問題だったこの技術を、一般家電の分野に堂々と持ち込んでしまった。このセンサーを使うと、マウスと使わず、視線だけでアイコンやリンクを選択したり、マップのスクロールやズームをしたり、悪者に岩を投げつけたり(そんなデモを見せていた)ができる。反応はびっくりするほど滑らかで自然だ。開発業者へ熱心に売り込みが行われていたが、数年前、ハードウェア系のハッカーたちがKinectの改造で盛り上がったように、これでもそんなことになるといいと思う。(Mike Senese)
ハックされるために生まれた、Structure Sensorは3Dスキャナーで深度測定機で物理演算プラットフォーム
Structure Sensorは、iPadで素早く3Dスキャンができる、初めてのモバイル3Dスキャナーだが、そのほかにもいろいろ機能がある。視界に入るすべての形状のサイズや密度を正確に取り込むことができるので、拡張現実アプリケーションと組み合わせれば、映像に物理的な凹凸が加えられるため、仮想オブジェクトが物の影に隠れたりといったことが可能になる。私はこれをCES 2014で初めて見たのだが、デモの速度と画質の高さにびっくりした。
Structure Sensorが、「ハックされるために生まれた」プラットフォームであるという点もうれしい。Structure SDK for iOSが用意され、OpenNI対応になっている。さらに、Windows、Android、Linuxなどのプラットフォームにも幅広く対応するオープンソースのドライバーを使って、センサーに完全にアクセスできるUSB「ハッカーケーブル」もオプションで用意されている。それだけじゃない。CADファイルがDWG、IGES、STL、STEP形式で公開されているので、ドローンやロボットなどさまざまなプロジェクトに接続できるブラケットをデザインして3Dプリントできるようにもなっている。
Occipitalのスタッフは、Kickstarterで大成功(今日までの寄付金額40位に入る)を収めたことで、忙しく注文に追われていた。2014年春に予定されている発売を前に、限定予約を受け付けている。(Anna Kaziunas France)
Alexx HenryのxxArray:ニコンとのコラボ
MAKE編集者、Mike SeneseがxxArrayでスキャン中
CES 2014のニコンのブースは、大手技術系企業が革新的なMakerとコラボしたときの可能性を見せる完璧な実例になっていた。Alexx Henry Studiosは、68台のデジタル一眼レフカメラを使って360度の写真測量ブースを作り、人間の高精細な3Dモデルを生成する実演を行っていた。撮影された画像はコンピュータープログラムでつなぎ合わされる。2時間ほどで完成した3Dモデルは、ビデオゲーム環境にインポートでき、ゲームのなかで完全に人間の動作を再現できる。走ったりジャンプしたり、なんとブレークダンスまで踊れるようになるのだ。デジタル一眼レフカメラを使って高解像度でスキャンする方法は、そのままあらゆるタイプの3Dプリントやモデリングアプリケーションにも応用できる。(Courtney Lentz)
WeMo Maker で Belkin はホームオートメーション・プラットフォームのオープン化をちょっと推進
ある意味、BelkinのWeMoホームオートメーション・プラットフォームは、すでにハッカーに対してオープンだった。iOSとAndroid用のSDK が公開され、家の中の照明や家電製品をコントロールするアプリを作ったり、WeMoの壁スイッチの状態を読み取ったりすることができた。だが今回のWeMo Makerの発表で、他のセンサーやデバイスをホームオートメーションネットワークに加えることが可能になった。これは、5つのネジ込み端子を持つ一般消費者向け製品だ。端子のうち2つは36ボルトまでの直流リレーとして機能し、あとの3つは5ボルトのアナログセンサーのデータ入力となる。読み込んだデータは家のなかのデバイスのコントロールに使え、IFTTTでインターネット上のアクションをトリガーすることもできる。
このシステムの開発は、一般家電の世界とMakerのコミュニティで非常に大きな意味を持つ。Belkinは、一般消費者とハードウェア系Makerとの間の中間層にアピールする製品を作りたいと考えているが、WeMo Makerはそれを体現するものだ。今年の夏に発売される予定だが、どれだけ使えるものか、早く試してみたい。(Matt Richardson)
– Matt Richardson、Mike Senese、Anna Kaziunas France、Courtney Lentz
[原文]