2012.07.11
子供工作教室の5つの心得
英語版編集者より:Make別冊「Make: School’s Out Summer Fun Guide」(夏休みお楽しみガイド)には、戦闘、クラフト、いたずら、飛行、アウトドア、雨の日、音楽、電子、怪しい科学などといった、誰にでも楽しめて勉強になるバラエティーに飛んだ夏休みの工作が詰め込まれています。また、刺激的な若きMakerの紹介や、ここに抜粋した6人の教育者による楽しい物作りのための心得トップ5など、知っておくとタメになる知識も満載です。
放課後に子供たちが手を使う実践学習の場やグループを組織する親たちが増えている。makezine.com/go/educateで紹介した7歳から10歳の子供たちにロボットを作らせるというJoe Mayerのプロジェクトの記事はとても刺激になる。こうした知恵を結集するために、私たちは、大好きな教育家たちに「子供のグループと工作プロジェクトを行う際の、いちばん大切な5つのことを教えてください」と聞いてみた。
Gever Tulley
Tinkering SchoolとBrightworks Schoolの創設者。50 Dangerous Things(gevertulley.com)(邦題『子どもが体験するべき50の危険なこと』)の著者
1. 後ろから指示するだけの人にならないこと。本当に助けが必要なときは自分でプロジェクトを進めてしまっていいが、間違った方向に進んでいると気づいても、できるだけ子供たちに任せる。失敗は、より深い理解をもたらすものだ。そして行き詰まれば、まったく新しい可能性が見えてくる。
2. プロジェクトを始める前に、子供たちをグループ分けして、作業を分担させるように計画する。たとえば、ゴーカートを作らせる場合なら、ひとつのグループは車体、別のグループは操舵装置というように、すべての子供たちに仕事を分担させる。それそれのグループで、子供たちに考えさせて、論議させて、自主的に作業させる。
3. 本物の工具と本物の材料を使わせる。いわゆる「子供用工具」を除いては、どうしても子供では適正に扱えない工具というものは、そう多くない。
4. 大きなものを作らせる。大きければ大きい方がいい。ツリーハウスを作るなら2階建てにしよう。ボートを作るなら、全員で乗れる大型船にしよう。自分よりも大きなものを作ることは、なによりの思い出になる。
5. 破滅的な失敗は予防するが、自然に起きる小さな失敗は見守る。大怪我をしてまで学べとは言わないが、軽い切り傷程度ならいい教訓になる。
Rick Schertle
中学校教師、MAKE筆者、After-school Project Build指導員
1. 安全第一。ホットグルーは熱く目は傷つきやすい。しかし、慎重になりすぎて作る楽しさを奪うのはよくない。Gever Tulleyの著書 50 Dangerous Things(子どもが体験するべき50の危険なこと)を読んでほしい。
2. 子供の仕事に手を加えない。大人の干渉なしに創造させること。
3. 教える内容を練習しておく。自分でもプロジェクトに挑戦してみること!
4. 話は最小限に、手を動かす時間を最大限に。子供たちは、自分の手で実際に行ったことをいちばんよく覚えているし、そこからもっとも多くのことを学ぶ。
5. 段取りよく進めるために、よく計画を練る。私は1クラス35名の生徒を受け持っているが、物事を効率的に進める方法をいつも考えている。
Michael ShilohとJudy Castro
エンジニアでありアーティスト。ともに教育者であり、子供のための光学と電子のワークショップ(teachmetomake.com)を運営している。
1. 子供たちに、自分でもできる、先生よりも上手にできると思わせるぐらい、簡単にしておく。完璧を目指せば、子供たちは萎縮してしまう。子供たちに見本を見せて、「これなら自分にも作れる」と思わせるようにする。
2. 必要がなくても常にLEDを用意しておく。LEDはみんな大好きだ。ほとんどあらゆるプロジェクトに追加できる。
3. 日常的なものを使う。恐怖心が薄れる。洗濯ばさみ、割り箸、アイスクリームの棒、ワインのコルクなどは、私たちのお気に入りの材料だ。
4. 機能的なものでも、単なる装飾でも、プロジェクトになにかを追加しようとする行動を奨励する。使わなくなっり壊れたオモチャの部品とか、前のプロジェクトから取り外したものとか、写真とか、なんでもかまわない。自分だけのものを作るという感覚を養うと同時に、プロジェクトに愛着が湧くようになる。
5. 分解できるものを準備しておく。私たちは、子供がプロジェクトでい行き詰まったとき、ものを分解させることにしている。何かが閃くきっかけになったり、参考になるばかりでなく、分解した部品をプロジェクトに使うこともできる。環境にもよいし、ものを大切に使う心も養える。必要ならば安全性についても指導するが、あくまで話は短めに。
Joe Mayer
教育家、親、After-school Project Build指導員
1. 最初に、何に興味があるかを子供たちに順番に聞く。子供たちの興味と経験を本人の口から聞いておくと、すでに習得して自信のある技術を土台とした新しい技術を教えやすくなる。
2. あらかじめ作業を細かいステップに分ける習慣を付けさせる。いくつものステップを同時進行できない子供もいるが、ステップを細かく区切っておけば全員が快適に作業できる。早く終わってしまった子供には、他の子供をサポートする役割を与える。
3. 時間は好きなだけかけていい。そのほうが楽しい。物作りは決められた時間内に完成させなければならない学校の授業とは違う。これは私の9歳になる息子、Nickoからのアドバイスだ。
4. 安全に関しては真剣に、そして何より重要なこととして、首尾一貫した模範を示すこと。防護メガネは必ず全員が着用!
5. 柔軟に、寛容に、そして常に忍耐強く。休憩は重要。必ずスケジュールに組み込んでおくこと。学習は楽しくできる。またそうであるべき。貪欲に知識を追求しよう。子供たちも必ずそうするようになる。
Carol Smith
特別な支援や新しい学習環境を必要とする子供との活動を専門とする教育家
1. 自分で作ったものを片付ける権利と責任は自分だけにあると教える。作っている最中に他の人が来て片付けてしまうことはないので、作ったものが壊されてしまう心配はしなくていい。そのかわり、後片付けを代わりにやってくれる人もいないので、他の人たちのことも考えて後片付けをすること。
2. 勇気を持って難しいことに挑戦するよう促す。挑戦を恐れるのではなく、好きになるようにする。ほんのちょっとだけでも難しいことでなければ、学ぶ価値はない。この基準は常に「流動的」だ。難しすぎても簡単すぎてもいけない。ちょうどいいところを探ること。
3. 教育者として、学び驚きに対して己の無知と喜びを受容する。あなたが失敗するところも子供たちに見せて、物事の理解を深めさせよう。子供たちから新たな質問が生まれるように質問を投げかけ、子供たちに答を探させる。
4. 最初によい関係を作り、保ち、尊重する。人は、周囲のもっとも心を許せる人から学ぶものだ。
5. とにかく、怪我をしないこと。「楽しみも、誰かが目を失うまで」という古い諺があるが、それはホント。子供たちにも、そこをよくわからせておく。重要なのは一貫性。
– Goli Mohammadi
[原文]