2013.10.21
子どもの自尊心を持ち上げる99セントの名前ゲーム
数年前、私の友人の娘さん、Kathyは、気分が落ち込んで自分に自信を失っているという話を聞いた。その当時、Kathyはまだ10歳だったのに、わけもわからず、自分自身に疑いを持つようになっていた。母親は、彼女に心を開かせることは難しいと感じていた。小さな子どもには重い問題だ。その辛さには私も共感できる。
私がティーンエイジャーだったころ、そしてティーンの間ずっと、いろいろな理由から、自尊心を失い、気分が落ち込み、生きる目的を見失っていた。しかしあるとき、私は青春の苦悩から、創造性によって抜け出すことができた。アーティスティックになって自分で漫画本を描いたり、ボードゲームのプロトタイプを作ることで、目標が見えてきたのだ。それまで気がつかなかった自分の才能に気づき、学校や家族や、自分にはどうすることもできないと思い込んでいた人生の問題にもうまく対処できるようになった。ほんの少しのクリエイティブな思考にも、若者の人生を変える力がある。Kathyにもそんな機会があれば、自分に秘められた可能性を見つけられると私は信じる。
子どもにその特別な才能を気づかせるためには、それを信じて、サポートすることだ。すると子どもは力を付けるようになり、自信と意欲を見せ始める。それが私の信念であり、ずっとそうしてきている。
Kathyのお母さんから、彼女はゲームが好きだと聞いたとき、私は彼女だけのパーソナルなボードゲームを作るという提案をすることにした。ここで言う「パーソナル」とは、彼女のために店から買ってきた既製品のゲームという意味ではない。ぜんぜん違う。私が彼女に提供したのは99セント相当のものだ。しかしその本当の価値は金には換算できない。私は彼女に、安価で、楽しくて、なにより人間としての彼女を反映してカスタマイズができる方法で「彼女自身」を贈ろうと考えたのだ。
私が作ったゲームボードには、彼女の名前、K-A-T-H-Yをかたどったマスが並んでいて、それぞれのマスの中に彼女のことを知るための指示が書かれているというものだ。ゲームにはKathyに関する質問カードがあり、友だちや家族が互いにクイズを出し合って、彼女がいかに素晴らしい友だちであるかがわかるようになっている。つまり、サイコロを振ってカードをめくるごとに、彼女の自尊心が持ち上げられるわけだ。この特別な女の子のことを、周囲の人に、Kathyの言葉で知ってもらうということだ。
Kathyと彼女のお母さん、そして私のYouTubeの購読者に見てもらうために、このゲームの作り方と、さらに創造力を活かして発展させる方法をビデオにまとめた。ゲームを郵便で送ると、彼女が厚紙のゲームボードを大いに気に入り、友だちと遊んだり、さらに新しい要素を加えたりしていると教えてもらった。私は、ゲームデザインを通して彼女の未来を見せることができたか、それはわからない。どちらにせよ、彼女は気分が楽になった。それは自信を付ける方向へ進むための大きな成果だ。
シンプルなボードゲームで、子どもたちは楽しみながら自分自身を発見することができると、私は前向きな感触を得た。このように、本当にシンプルでローテクなアイデアが、子どもの創造性を引き出したいと願う親たちに奇跡を起こせるのだと確信できた。
何もかもが速くてハイテクで、子どもたちへの周囲からの強烈な圧力と狂ったような学歴競争の世の中で、私たち子を持つ親は、若き戦士たちが、我々が「素朴」だった時代に経験したのと同じ、不安と混乱と揺れ動く自分自身の評価とに悩んでいることを忘れがちだ。昔と違って、今は気晴らし方法がたくさんある。自分が何者であるかを常に探っている5歳から18歳の子どもたちは、彼らは私たちの知らないものに囲まれている。家の外に出れば道を踏み外しかねない。だから、親がしっかりと関わることが大切だ。放って置いても子どもたちは自然に成長するなどと思ってはいけない。
今これを読まれているお父さん、お母さんへ、ひとりの父親として私はこう助言したい。子どもの気分に変化があったら、関わってほしい。金曜日の夜、ハイテクな遊び道具のスイッチを切る時間を設けて、昔ながらのマーカーや鉛筆やクレヨンを使って、厚紙に楽しいボードゲームを描く。私を信頼してほしい。一生残る方法で、互いに心を通わせ、語り、知り合い、学ぶことができるのだ。親になれてよかった! ではまた次回まで。
– Homemade Game Guru
[原文]