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2012.08.01

Makey Awards 2012 ノミネート 04:Harbor Freightの解説書

Text by kanai




ロサンゼルスのビジネスマン、Allan Smidtが1968年に創設したHarbor Freight Salvage Companyは、もともとは輸送中に傷ついた品物の下取りを行う会社だった。彼は直接建設業者を回り、トラックの荷台を店がわりにツールを販売するという商売を開始。それから数十年、電話による通販、深夜テレビのコマーシャル、メールオーダー、店舗のチェーン展開、オンラインショッピングと、ビジネスは着実に拡大していった。2010年には、Harbor Freight Toolsは全米で330店舗を構えるようになり、年間売り上げは15億ドルにものぼる。
Harbor Freightは、Makerの間では好き嫌いが大きく分かれる。私は長年、どちらでもない立場であったが、ついついお買い得商品に釣られてしまう。これまでに、オースティンの店舗とオンラインショップで数千ドルは使っているだろう。全体的に見て、私の経験上、彼らの製品や店舗は、悪いところよりも、良いところのほうがずっと多いと言える。この点においては、私は完全な信者だ。もちろん、あの安物のプラスティックの片手クランプはもう二度と買わないが、金属板の折り曲げ機やドリルプレスや金属用丸鋸には大満足だ。とくに値段が安いこと、性能がいいこと、そして壊れても簡単に修理できることが素晴らしい。
MAKEではとくに、Harbor Freightの取り扱い説明書が気に入っている。ツール自体もそうだが、Harbor Freightの説明書は一般的に実用的で虚飾がない。ただの白い紙数枚に黒い文字で印刷されている。折りたたまれていたり、ホチキスで束ねられたりして製品の箱に入ってくる。しかし、その数枚の説明書の中には、パーツリスト、トラブルシューティングのチャート、諸元表、回路図、取り付け用型紙、分解図など、私たちMakerが本当に欲しいと思う情報が詰め込まれている。
さらに、それとまったく同じ説明書を、Harbor Freightのウェブサイトで、誰でも見ることができて、ダウンロードもできる。何が有りがたいって、A) 購入前に完全な説明書で確認できる。B) オリジナルの紙の説明書を大切に保管しておく必要がない。製品番号の付け方もシンプルでわかりやすいので、検索も簡単だ。販売を終了している製品の説明書も(Harbor Freightのサイトからは検索できないが)、とてもわかりやすいディレクトリ構造でサーバにアーカイブされている。たとえば、販売を終了している130AMP TIG / 90AMP ARC溶接機は、製品番号が91811なので、http://manuals.harborfreight.com/manuals/91000-91999/91811.pdfとアーカイブされている。
わかりやすく、技術的に詳しく、自由にアクセスできる説明書は、オープンでハックや修理が可能というMakerカルチャー産の製品を作る上でも大変に重要な鍵となる。そんな手本を示してくれたHarbor Freight Toolsに敬意を示し、2012 Makey awardsにノミネートしたいと思う。
– Sean Ragan
原文