2012.09.05
Makey Awards 2012 ノミネート 07:Raspberry Pi – もっともハックしやすいガジェット
ケンブリッジ大学のComputer Laboratoryで生まれたRaspberry Piは、技術の世界に嵐を巻き起こした。今年の初めに発売されて以来、この35ドルのクレジットカードサイズのLinuxコンピュータは品薄が続いていた。注文したMakerは何週間も待たされた(何ヶ月ということもあった)。価格もさることながら、ボード好きな人々がそこまで忍耐強く待つことができた理由が、Raspberry Piのどこにあるのだろう? それを考える前に、Raspberry Piの対象ターゲットを見てみよう。
ケンブリッジ大学のEben Uptonと彼の同僚たちは、あることに気がついた。それは、今日の学生たちは、1990年代の学生が持っていたようなスキルを持たないまま、コンピュータサイエンスを学びたがっているということだ。その原因はいろいろあるが、とりわけ「前世代の人々が プログラムの勉強をしたAmigaやBBCマイクロズやスペクトラム ZXやコモドール64に取って代わって、ホームPCやゲームコンソールが登場したからだろう」と推測している。今やコンピュータは家族全員にとって大切なものになっているので、家族からそれを取り上げてひとりでいじくりまわすということが難しくなってしまったのだ。しかし、携帯電話やタブレット端末が安価になると当時にパワフルになってきたので、そのものすごく安いがちゃんと使えるコンピュータボード、Raspberry Piが飛び出る道が拓かれた。Linuxの創始者、Linus TorvaldsはBBCニュースのインタビューでこう言っている。Raspberry Piは「許される失敗」を可能にしてくれたと。
それだけでなく、Maker、ティンカラー、ハッカーたちも、その価格と性能でRaspberry Piに引き寄せられている。これには巨大なLinuxコミュニティのサポートもついてくるので、新しいボードに取り組むときの苦労は最小化される。これが発売されてから、私たちはRaspberry Piを創造的に革新的に利用した素晴らしいプロジェクトが洪水のように現れた。しかもこれは、まだ始まったばかりだ。そんなわけで私たちは、35ドルのLinuxコンピュータ、Raspberry Piを、Makeyの「もっともハックしやすいガジェット部門」にノミネートすることに決めた。
– Matt Richardson
[原文]