金属の工作はすばらしい。頑丈で、汎用性があって、見た目もいい。金属を使ったプロジェクトを始めるとき、最初のステップはどのタイプの金属がいちばん目的に合っているかを探すことだ。たいていは、鉄、ステンレス、アルミ、それに銅といったあたりが無難な範囲だろう。どこにでも売られているし、価格も手ごろだ。しかし、このほかにもいろいろな金属や合金がある(チタン、ブロンズ、錫など)。これらは特別な用途に使われる。初心者なら、まずは合金のグループから選択するのがよい。
金属の形状と構造的形態
プロジェクトにどのタイプの金属を使うかは、非常に重要な鍵となる。材の形状も構造的な意味に置いて重要だ。形状にはいくつかよく使われる決まった形があり、それぞれに長短がある。
フラットバー
平面方向にだけ強いが、縦方向には簡単に曲がる。ボルト留めが簡単。
Cチャンネル
フラットバーと同じくボルト留めが簡単で、しかも構造的にどの方向にも強い。
アングル鋼
おもに平らな板の縁どりに使われる。
角パイプ/丸パイプ
構造的に最高の形状。4つの面を持ち、どの方向にも強い。
Iビーム
縦に加重に強く、素材を節約した形。構造物 (建物、橋、動かない構造物) の重量に対するねじり加重には限界がある。
金属の4つの特性
延性/成形性
金属を引っ張ると針金になったり、違う形になる能力だ。金属を曲げる工具は、成形性を利用している。これらは、金属が固くなるほど難しくなり、成形性が低下する。
溶接性
溶接のしやすさだ。溶接のしやすい金属は、溶接のための準備も少なくて済む。また、溶接の経験も少なくて済む。溶接が困難な金属は、高度な溶接技術を必要とし、気体の除去や、加熱や、特別なガスを使うなど、準備にも手間がかかる。
機械加工性
ノコギリでの切りやすさだ。機械加工性の高い金属は、高速で切断ができ、バンドソー、フライス盤、ドリルなどの刃は高価なものが必要ない。摩擦を利用した切削ツールには、機械加工性が関係ない(かならず火花が散る。グラインダーなどはイヤな音がする)。そうしたツールは機械加工性が低い金属に使用する。
引張強度
金属のちぎるときに必要な強さです。初心者は「強い」金属を探そうとしますが、それはつまり引張強度が高いもの、という意味です。
金属の評価
鉄
+ もっとも安価な金属
+ あらゆる特性が中ぐらい
+ 構造形状で売られているものが多い
– 錆びが出やすいので保護が必要
– アルミよりも切りにくい。木材用の工具は使えない。
ステンレス
+ もっとも保護性の高い金属。— クロムはニッケルを含んでいるため酸に触れなければ錆びない — 透明な酸化層を作る
– 重い
– 錆びない状態を保ちつつ加工するのが難しい。— 他の金属が腐食防止効果に影響を与える
– 溶接で歪みやすく、モリブデンが飛ばされて錆びやすくなる
アルミニウム
+ 軽くてもっとも使いやすい金属
+ 他の金属に阻害されない限り、酸化層が錆びから守ってくれる
+ 機械加工がとてもしやすい
+ 構造形状で売られていることが多い
– 初心者には溶接は難しい
– 価格が高く、板材を切断できるCNC機械が少ない
銅
+ 風格があり年代とともに美しくなる
+ 多くの金属に対して不活性
+/– 加工しやすいが、すぐに固くなる — トーチで熱してハンマーで叩く必要がある
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