2013.04.30
安価な3Dスキャナー「Photon」がIndiegogoで善戦
Photonの共同開発者、Adam Brandejs(左)とDrew Cox(右)
Photonプロジェクトが始まった。共同開発者のAdam Brandejsがそう認めた。なぜなら「ボクはそんなに待てないから」とのこと。
Brandejsは、マイクロ測定やCADファイルの作業を重ねるよりも早く、3Dプロジェクトを立ち上げたかった。そこで1年と少し前、彼と彼のもう少し忍耐力のある友人で協力者のDrew Coxとで、安価な3Dスキャナーをトロントの小さな工房で作り始めた。それがIndiegogoキャンペーンに挑戦した。
彼ら自身が驚いたことには、それはあと2週間を残した現在、集まったお金は、すでに8万ドルの目標金額の4倍にも達している。大変に満足な結果となり、Photonには、もともとターゲットとしていた「Makerホビイスト」の市場を超えた、さまざまな利用法が矢のように提案されている。
Photonスキャナーは1台の高解像度カメラと2本のレーザーを使って、ほんの3分で3Dスキャンを行う。Photonでスキャンできるオブジェクトは、最大で190mm×190mm×250mm。スキャンしたデータは標準的な形式(STL、OBJ、ポイントクラウドのPLY) で出力される。これを3Dプリンターや3Dモデリングソフトウェアに読み込んで使う。また、Photonはポータブルだ。使わないときは折りたたんで仕舞っておくことができる。
Brandejs(31歳)とCox(30歳)は、どちらもプログラマー時代が長く、ハードウェアと彫刻に強い興味を持つハッカーだった。彼らはトロントの広告代理店で出会った。Photonは彼らが創設した会社、Matterformの初めての製品だ。
MAKEがBrandejsとCoxに話を聞いたとき、彼らはまだ、Photonのハードウェアとソフトウェアを、もっと魅力的なものにするためにいじっていると言っていた。キャンペーンの成功によって、彼らは製造計画も変更することにした。押し出し成形と基板の組み立てを、自分たちでやらずに北アメリカの工場に外注することにした。また、最初の従業員も雇った。
「200台なら自分たちで作れても、700台となると無理だ」とBrandejs。よく知れ渡ったライバルに負けることなく、Photonは成功した。
3月、BrandejsとCoxがIndiegogoキャンペーンを計画していたころ、イギリスのグループ、CADScanは、Kick starterでおよそ15万ドルを獲得した。また同じ3月、MakerBotのCEO、Bre Pettisは、同社の3Dプリンターラインを補完するDigitizerのプロトタイプを発表した。
この競争では、彼らの製品の財政的な勢いは衰えなかった。それどころか、広く注目されることによって、より多くの人が3Dスキャナーの可能性を考えるようになった。そのレーザーで実験してみたいと考えるアーティスト、子供の粘土細工をPhoton でコピーしたいと考えるお父さん、BrandejsとCoxにもさっぱり理解不能な数学的概念の物理的な実体を作るのに使いたいと考える数学者などが現れた。
「同じものを作る会社が増えることを期待していますよ」とBrandejs。「さらに興味を膨らませてくれるから。人がもっと3Dスキャンや3Dプリントを使うようになれば、もっと多くの人が入ってきます」
Coxはこう付け加えた。「3Dスキャンのアイデアが世界でもっと注目されるようになれば、さらに面白いアイデアが戻ってくるはずです」
– D.C. Denison
[原文]