リンカーンの顔のレンダリング。画像提供:スミソニアン研究所
先週のSunshine Weekの間、ホワイトハウスの科学技術政策室は、連邦政府機関に対して、科学に関する情報を公開するための計画を6カ月以内に作るよう要請する覚書を発表した。これは、そのままでも素晴らしい取り組みだ。アメリカの連邦政府機関は、アメリカ国民のためにさまざまな面白い情報を集めている。それをできるだけ簡単に閲覧できるようにすることは、とても大切だ。具体的には、政府関連のすべての3Dスキャンデータを集めた博物館作りのための第一歩となる。政府にはスキャンしておくべきものがたくさんあるのだ。
Laser Cowboysとクジラの化石
まず、覚書は、スミソニアン研究所で物理的な収蔵物のデジタル化を行っている“laser cowboys”の先駆的な活動を紹介している。この数年間で、スミソニアン研究所は数多くの収蔵物の精細な3Dスキャンを行い、そのデータを公開して、閲覧やダウンロードが自由に行えるようにしてきた。これまでに彼らが苦労して公開してきたものを見ると、もしアメリカ政府がすべての所蔵品のデータを公開したらどうなるかを想像して期待が膨らむ。しかしこれは、スミソニアンの収蔵品(1億3700万点)のほんの氷山の一角(正確に言うならばクジラの化石のほんの先端)だ。さらに、スミソニアンの収蔵品は、アメリカ政府全体が所有するコレクションのほんの一部に過ぎない。
仏像をスキャンしているところ。写真提供:スミソニアン研究所
Section 3(D)
これが覚書の他のすべての部分に大きな意味を与えている。セクション3(D)(わかるかな?)では、すべての政府機関に対して、法律によって規制されているものを除く「3Dファイルを含む、またはそれに限らず、あらゆるデジタルファイルを可能な限りの最大精度と解像度で、一般市民が自由に簡単に閲覧できるようにすること」を要求している。言い換えれば、ある行政機関が3Dモデルを持っていたとしたら(たとえばNASA とか)、それが法律によって規制されていない限り、その行政機関はそのデータを一般公開しなければならないということだ。
アンクルサムのための3Dスキャン
とは言え、これは近い将来、政府が提供する3Dプリント可能なモデルが溢れかえるということを意味するものではない。公開するためには、公開される3Dモデルのデータがなければならないからだ。スミソニアンの収蔵品をデジタルスキャンするという取り組みも、ようやく始まったばかりだ。だが、この覚書は、行政機関にそれを行うための計画を立て、さらに重要なことに、それを始めるための予算も確保せよと求めているのだ。
だから、アメリカ連邦政府が提供する無料モデルが次から次へと現れるようになっても、驚いてはいけない。もともとそれらのモデルは納税者のものなのだ。ほとんどの場合が、いかなる種類の著作権にも制限されないパブリックドメインとなる。だから、それをどう使おうと自由だ。完全な thingiverse.gov とまではいかないが、大きな一歩であることに間違いはない。
写真提供:スミソニアン研究所
訳者から:Sunshine Weekとは、アメリカのメディア、市民団体、図書館、非営利団体、学校などが推進する、オープンガバメントと情報の自由の重要性について議論しようという運動のこと。
– Michael Weinberg
[原文]