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2017.08.16

Maker Faire Tokyo 2017レポート:アイロンビーズをどう並べる? 同じテーマに取り組んだ2つのブース

Text by Yusuke Imamura

Maker Faire Tokyoには多彩な自作ガジェットが出展される。その中には偶然にも同じ目的のものが見つかることがある。しかし考え方や初期条件の違いで設計は変わり、同じものにはならない。ここではそんな展示を紹介しよう。

アイロンビーズは円筒形でさまざまな色の樹脂のビーズを並べ、アイロンで加熱すると互いにくっつくというもの。ゲームのドット絵を描く感覚でカラフルなアクセサリを作れる。アイロンビーズを細かく配置していくのも楽しみの1つだが、そこを省力化したいと考えて、ビーズを自動で並べる機械を作った人々がいた。

ヘンテコガング」は「アイロンビーズプロッター」を展示していた。特徴的な円筒部は拳銃のリボルバーのように回転し、供給するビーズの色を変えることができる。リボルバーを大きくしていけば、さらに多くの色を扱えるようになるという。

より詳しく:「アイロンビーズプロッター」でプロ生ちゃんアイロンビーズを作ってみたい – 想七日 ~ そーなのかー

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「アイロンビーズプロッター」はリボルバー型の供給部を回転させて出力するビーズの色を選ぶ

一方、「えれくら!」が展示していたのは「アイロンビーズセッター」。

アイロンビーズに使うビーズは、色分けされていないパック製品のほうが単価が安い。しかしビーズを並べるにあたって目的の色を探すのが大変だ。そこでビーズの色を判定し、必要な色だったら目的の場所に配置する機構を作った。アイロンビーズを1つずつ取り出し、光ファイバーとセンサでその色を識別する。ビーズの配置を指定するウェブアプリケーションも作成した。

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「アイロンビーズセッター」は色ごとに分けられていないビーズを通していく。手前がビーズの色の判定部、右は色判定したビーズを配置する機構

面白いのは色判定されたビーズをいったん持ち上げるしくみで、ここはシャープペンシルの芯の送り出し機構を流用している。

シャープペンシルの先端パーツを外してお尻をノックすると、芯を把持している2つのパーツが広がる。この動きを使った。円筒型のビーズの穴部に、先端パーツを除いたシャープペンシルを差し込みノックすると、ビーズを内側からロックできる。そのままビーズを持ち上げて目的の場所へ移動し、シャープペンシルのノックを解除すればビーズが開放される。これを考えたメンバーは「中学のころ、シャープペンシルのこの動きをなにかに使えないかと思った」そうで、時を経て活用方法が見つかったことになる。

アイロンビーズを配置するこれら2つの機械は、ビーズが色分けされているかどうかの初期条件が異なる。そのため必然的に実装方法も変わってくるという例になっていた。

今回はいずれも製作途中の展示だった。これらで作ったアイロンビーズを見られる日を楽しみにしたい。