2018.06.05
Bunnie Huangが動画処理用開発ボードを訴訟込みでローンチ
常にイノベーションし続けるBunnie Huangが、今度は訴訟付きの(と言うか、訴訟がハードウェアにくっついた)プロジェクトを発表した。「NetTV2」は、オープンソースのFPGA開発プラットフォームだ。Bunnieはこれを、暗号化されていない動画規格を処理するために作り出した。現在このボードは、Crowd Supplyでクラウドファンディングを行っているのだが、これには訴訟が連動している。Bunnieは、電子フロンティア財団(EFF)の力を借りて提訴を行ったのだ。Bunnieはこう書いている。
現在、デジタル動画に関するイノベーションは、デジタルミレニアム著作権法(DMCA)1201条によって法的に強く妨害されています。NeTV2は、オープンなデジタル動画アプリケーションのためのFPGAベースの開発ボードです。他の開発ボードと同じく、NeTV2のアクセス能力は、法律によって制限されています。そこで、EFFの力を借りて、私はアメリカ政府に対して、我々のイノベーションの権利と、あらゆる形でのデジタル動画の表現の権利を取り戻すための訴訟を起こしました。このキャンペーンのバッカーは、この素晴らしいFPGA開発ボードを入手できるだけでなく、イノベーションとデジタル動画の表現の自由を現実に求めている人がいることを示す助けになるのです。
でははぜ、動画のリアルタイムの出力をテキスト化するといった動画アプリを作ろうとするのが違法なのか。スマートフォンなどでは許されているのに。Bunnieが「Boing Boing」に書いた記事で、彼はこう説明している。
これは、DCMAの「ねじれ」に原因があります。ほとんどの市民は、暗号化を迂回すると違法になります。自己表現やイノベーションのための合法的な言論の自由擁護活動のためであってもです。
アメリカ建国当時から、著作権のある作品をコピーすることは違法であり、厳重に禁止されてきました。著作権法に違反すると、今でもかなりのペナルティーがあり、海賊行為や盗作行為の十分な抑止力になっていると私は思っています。
ところが、1998年、ロビイストの団体は、デジタルミレニアム著作権法は著作権者に存在の危機をもたらすので、暗号化を迂回するなどの単純な行為にも、理由の如何に関わらず、より厳しい罰則を設けるべきだとアメリカ連邦議会を説得しました。そしてこの罰則は、著作権法に書かれている既存の罰則に付け加えられました。この法律が成立したことで、アメリカ連邦議会は、事実上、暗号化の迂回は「プリクライム」(これから起きる犯罪)の形となり、相手が何を目的としていたかに関係なく、著作権者たちは、独断で裁判官となり、陪審員となり、死刑執行人となれる道を拓いてしまいました。そのため、動画を処理して文字を翻訳するような、まったく合法的な処理のためだけに暗号化を迂回したとしても、著作権者たちは、彼らの暗号化技術を迂回することで可能になるという理由で、「プリクライム」として起訴することができるのです。こうしてDMCAの1201条は、事実上、企業に、暗号化が伴う自己表現を、いつ、どのように行うかをライセンスする権利を与えたのです。
2016年の訴訟の内容はここで見られる。Bunnieは、社会やメディアからNeTV2が注目されて、クラウドファンディングも手伝って、DMCAの卑劣なもつれと、それがイノベーションと動画の世界にどのような影響を与えるかについて関心が集まり、支援者が増えることを望んでいる。
[原文]