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2016.09.12

全米のメイカースペースと米国政府をより強く結びつけるための会議がホワイトハウスで開催される

Text by Ian ColeTranslated by kanai

メイカースペースについて、メイカースペースの主催者たちに定期的に聴き取りが行われている。だが相手はホワイトハウスではない。

数週間前、アメリカ国内のメイカースペースにアメリカ合衆国政府から電子メールが届くようになった。送り主は、シニアアドバイザー・オブ・メイキングのAndrew Coyという、科学技術政策室の人間だ。何回か話をして(さらにこれが本物かどうかを確かめるために数人に意見を聞いたりして)わかったのは、これが、ネイション・オブ・メイカーズ・プログラムの一環としての、メイカースペース主催者の会合への招待状だったということだ。私たちはこのイベントで、この先ホワイトハウスからの電子メールに返信するための新しい規則を決められるのではないかとジョークを言い合った。

ネイション・オブ・メイカーズ・イニシアチブ

この夏のはじめ、ワシントンD.C.のNational Maker Faireが開かれる前に、ホワイトハウスは「ネイション・オブ・メイカーズ」ミーティングを開催した。46の州から集まったMakerの代表者たちは、そこでMakerコミュニティの協調性と多様性、Makerへの国からの補助金の可能性、Makerムーブメントの次なるステップといったトピックについて話し合った。Dan Schneidermanがその内容をうまくまとめているのでぜひ読んで欲しい。

これに続き、8月25日、アメリカ国内の175人を超えるメイカースペースの主催者がホワイトハウスに集められた。

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幸運にも私は、フロリダ州オーランドのMakerFX Makerspace @ DeltaMakerの代表としてこれに参加することができた。MakerFXは新しいメイカースペース・プログラムで、Makerエフェクト財団が、地元の3DプリンターメーカーのDeltaMakerと協賛して今年立ち上げたものだ。私は、オーランドのハッカースペース、FamiLABの元会計係(で会員)だったのだが、現在のFamiLABの会計係である(さらにNASAのソフトウェアエンジニアでもある)Jamie SzafranとワシントンD.C.へ向かった。

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1日間のミーティングの内容は、午前中にメイカースペース主催者と政府関係者によるプレゼンと、午後は個別のセッションとなった。私は、下の2つの講演に参加した。その内容はすべてインターネットで聞ける

NYC ResistorのKari Love

米最高技術責任者のMegan Smith

個別セッションには、NASA、全米科学財団、米経済開発局、米労働省、全米芸術基金、米特許商標局といった政府機関も参加した。また、メイカースペース同士の知識の交換方法や、市民科学とオープンイノベーション、頭痛をもたらす予期しない小さな問題、メイカースペースのハードウェアとソフトウェアのソリューションなどといったテーマで語り合うセッションもあった。最後に、各地のメイカースペースの主催者たちがつながりを持つためのセッションがあり、みんなで共に次のステップに進もうという話になった。このとき開かれたセッションの内容は、この記事の最後に列挙する。

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どんな会議でもそうだが、正式なテーマは本質のほんの一部にすぎない。私は中央フロリダから来た人たちとつながりを持てた。

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そして、インターネットでしか話したことがなかった人たちと、直々に会うことができた。

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感想

イベントに参加したメイカースペースの主催者たちからは、称賛の声しか聞かなかった。参加者全員が地元のコミュニティに大きく関わっていて、スケジュールも満杯だ。それでもなんとか時間を作ってホワイトハウスに集まって話し合いができた。また、政府機関の人たちとも直接話すことができて、みんな喜んでいた。また私は、「Andrewはわれわれの仲間だ」という強い気持ちも感じた。彼は私たちの言葉を話し、適切な議題を組み立て、資金、協調性と多様性、行政とのやりとりといった現実的な問題を一緒に考えてくれた。個人的には、あともう1日あって、すべての情報が吸収できたらよかったと思う。そして、それを実行可能な次なるステップとして認識し、その問題に立ち向かうための共闘を組みたかった。カンファレンスのない2日目があればパーフェクトだった。こうした会合はまたあるだろう。そのときは、それを実現できるよう努力したい。

Makerは作る

私たちは、話すだけで終わらず、何かをするために話し合うグループの一員であった。こうしたグループは、情熱的で、積極的で、今すぐにでも何かを作り始める。Facebookグループ、Slackチャンネル、ウェブサイト、メーリングリストなどが、ワシントンD.C.を離れるまでにいくつも作られた。会合から24時間後、私はみんなの話に追いつけなくなって困ってしまった。幸いにも、Andrew Coyが計画を立て、私たちに次なるステップのための助言をくれた。大きな問題の記録を私たちが協力してつけられるようにして、可能な解決方法を探るための連合を組織し、その解決方法を試し、成功までのイテレーションを持続するための戦略的なプロセスを提案してくれたのだ。

私は、彼の補足の助言に特に感謝している。「共通のゴールに到達し、支援インフラを構築するには、ひとりひとりがはっきりと戦略的になり、積極的に協調性を発揮しなければならない」

私は、Andrew Coyの助言に従って戦略的計画が進展してゆく中で、メイカースペース主催者のコミュニティの進歩の様子を記録していきたいと考えている。私の次の記事は、その戦略的プロセスの各ステップをタイムラインに書き起こしたものとなるだろう。

参加しよう

「積極的な協調性」の精神にのっとって、もしあなたがメイカースペースの主催者で、このプロセスをリアルタイムで追いかけたいと思うなら、その第一歩として、新しく立ち上げられた Makerspace Organizers Facebookグループを見てほしい。ここはメイカースペース主催者が情報を提供し合っている。そこには、このイベントや、それに関連して開かれた集まりの写真もたくさん貼られている。

グループに写真を提供してくれたMilwaukee MakerspaceのCarl Stevensに感謝したい。

Makerspace Organizers ミーティングの個別セッションの議題

セッション1

知的財産:米特許商標局(USPTO)と、この問題への理解を深めたいと思っているメイカースペースとをつなぐことで、知的財産の世界をいかにして効率的にナビゲートするかを学ぶ。(進行役:USPTO局長 Vikrum Aiyer)

地方行政と州政府:メイカースペースを地方行政か州政府か、どちらの下に置くとよいかを話し合う。すでに行政と協力している人たちと、これからその道を探ろうという人たちをつなぐ。(進行役:ホワイトハウス科学技術室上級政策顧問 Aden Van Noppen)

全米科学基金からの資金:全米科学基金(NSF)は、科学、健康、繁栄、福祉、防衛の推進を目標としている。その使命は、1万2000件を超える賞と、およそ750万ドルの資金で達成されている。そこから、大規模、小規模の資金の調達方法を考える。(進行役:NSFプログラム主任 Bob Russell、プログラム担当官 Ben Schrag、プログラムスペシャリスト Katie Schreyer)

明日の人材に今日投資する:地元の行政や人材開発システムと密接な関係を持ち、就労訓練、雇用、労働市場情報、収入の管理サービスを提供することで将来の人材に貢献してくれる米労働省(DOL)とのつながり、機会、資金提供を探る。(進行役:DOLの従業員雇用・訓練事業団特別補佐官 Gina Wells)

NASAにおけるスモールビジネスのイノベーション研究資金と技術移転:NASAは地球上のことから火星に人を送る計画まで、つねに最先端技術の開発に携わっている。そのためNASAでは、小さな企業、発明家、起業家などと積極的に関係を持つことが大変に重要になっている。そこで、スモールビジネス・イノベーション・リサーチ(SBIR)プログラムと、スモールビジネス・テクノロジー・トランスファー(STTR)プログラムがMakerとつながりを保つ方法を学ぶ。(進行役:NASA SBIR/STTRのプログラム・エグゼクティブ Jenn Gusteticおよびプログラム主任 Gynelle Steele)

セッション2

国立研究所とつながる:米エネルギー省(DOE)は、10の国立研究所を束ねている。これらの研究所は、その多くがメイカースペースと協力し合っている。もし、あなたのコミュニティがまだつながっていないのなら、すぐにつながるべきだ。国立研究所で働く無数の研究者の中には、あなたの活動の仲間になったり、パトロンになったり、コミュニティのまとめ役をやってくれたり、行政とのつながりを作ってくれる人もいる。そんな国立研究所とのつながりの作り方を学ぶ。研究所のある場所は、エイムズ(アイオア州)、アルゴンヌ(イリノイ州)、アプトン(ニューヨーク州)。バタビア(イリノイ州)、バークレー(カリフォルニア州)、オークリッジ(テネシー州)、リッチランド(ワシントン州)、プリンストン(ニュージャージー州)、スタンフォード(カリフォルニア州)、ニューポートニューズ(バージニア州)、ロスアラモス(ニューメキシコ州)、ドページ(イリノイ州)、アルバカーキー(ニューメキシコ州)、アイダホフォールズ(アイダホ州)、ゴールデン(コロラド州)。(進行役:ホワイトハウス OSTPクリーンエネルギーおよび輸送アシスタントディレクター Austin Brown)

起業家のエコシステムを作る:Makerは、より革新的な経済をアメリカにもたらす。米経済開発局(EDA)もまた同じ目標を持ってそれに加わっている。ここは、イノベーション・起業室を通して、草の根のイノベーションへの投資を行っている。そうした仕組みを育て、新しいアイデアを製品化しようとしている個人や企業、雇用を増やし競争力を高める経済を発展させる技術を支援している。あなたの組織とEDAとが手を結び、地元のMakerの活動を支援し、スタートアップ、発明家、Makerを直接支援する地域に根ざした運動に投資するという私たちのプログラムに参加することで経済を発展させることができる。(進行役:EDAイノベーション・起業室(OIE)副ディレクター Craig BuerstatteおよびEDA OIE上級政策顧問 Eric Smith)

教育機会をよりメイキングに近づける:メイカースペースでは一般的になっている非公式学習には、改善、破壊、公式な学校教育を革新するパワーがある。教育をもっとメイキングに近づける活動に興味を持つ人たちとつながり、さらに、米教育省の教育科学研究所(IES)や就職・技術・聖人教育室(OCTAE)と協力して国全体の機会に参加できる機会を探り、国または地方の教育機関と協力する道を考える。(進行役:EDのIES SBIRプログラムマネージャー、Edward MetzおよびOCTAE教育プログラムスペシャリスト Albert Palacios)

アートと創造性のための資金(Lakita Edwards):メイキングは技術とアートが混ざり合ったものとよく言われるが、人々の興味は技術のほうに傾きがちだ。ここでは全米芸術基金(NEA)からの資金やプログラムを利用してパブリックアートを作る方法を探る。NEAの資金を得た人たちとつながりを作り、どうやってそれを実現させるかを学ぶ。(進行役:NEAアート教育スペシャリスト Lakita Edwards)

市民科学とオープンイノベーションで世界をよりよい場所にする:自分のMakerとしてのスキルを、オープンサイエンスやイノベーションプロジェクトでどのように活用するかを、専門家と学ぶ。急速に発展するIoTを活用してツールが作られ、またその他の技術発展により、一般の人々はこれまでには不可能だった科学研究への参入が可能になった。質問をしたり、観察したり、実験に参加したり、データを集めたり、低予算の技術やオープンソースのコードを開発したりしている。そうしてプロの科学者も一般の市民科学者も同じに使える次世代の安価で高性能な装置を生み出し、科学知識を深めて社会に恩恵をもたらすために、Makerは欠かせない存在となっている。(進行役:ホワイトハウスOSTPオープンイノベーション・アシスタントディレクター Christofer Nelsonおよび、NASA SBIR/STTR プログラムエグゼクティブ Jenn Gustetic)

セッション3

予期しない小さな問題:メイカースペースを運営していると、予期しない小さな問題が無数に起きる。保険のこと、役割、区画割り、場所の選択など、メイキングとは関係ないが、それがなけれがメイキングができない問題だ。いろいろな人たちと知識を教え合う方法を探り、そうした問題を、誰にとっても簡単に解決できるようにする。このような共通の問題に対処するためのクラウドソースを利用し、多くの人の頭痛を軽減する。

過激なニューモデル:メイカースペースを、今よりももっと違う雰囲気にしたいと思わないか? 何が可能かをみんなで話し合おう。どんな考えが飛び出すかは予測不能。

ハードウェアとソフトウェア:メイカースペースにどのようなツールやリソースを備えるかは、熟考するというより偶発的なものだったりする。何をメインにするかによらず、自分とメンバーにとってどのハードウェアまたはソフトウェアが適切なのかを判断することが、スペースの主催者にとって非常に重要だ。共通の知識と経験が活かされているところを探ることで、それぞれに適したツールを見つける手助けになる。

メンバーのトレーニング:どのスペースも異なるが、どこでも同様に行わなければならないのが、ツールの操作の基本や安全基準をメンバーに教えることだ。この分野に詳しい人、またはほかのスペースではどうしているのかを学びたい人、ここで話し合おう。

影響力の研究:メイカースペースが、個人のスキル、コミュニティーの健康、国の経済成長などにどれほど影響を与えているかについて、専門的な知識を持つ人や知りたい人がつながりを持つ。

セッション4

喧嘩の仲裁:メンバー同士の喧嘩を望む人はいないだろうが、もし起こったならば、スペース主催者は中立を保つよう努力するだろう。ここでは、メンバーを落ち着かせ、和ませ、問題を解決する方法を学ぶ。

高等教育機関でメイキング:大学のキャンパスは、いろいろな方法でメイキングを受け入れている。コミュニティに向けたメイカースペースの設置から、メイキングに集中した授業や、支援組織などが揃っている。そのような大学に関わっている人、高等教育とコミュニティをつなぎたいと考えている人は、ここで話し合おう。

ひとつのスペースからより多くのスペースへと成長する:どのスペースも数を増やしたいと考えているわけではないが、ひとつ、さらにもっと多くのスペースを開きたいと考えるなら、それを実現した人たちと、ここで話し合おう。

メイカースペースのマーケティング:自分のメイカースペースで起きている素晴らしいことを、どのように宣伝しているか。その実例を示したり、アイデア、失敗、助言などを語り合う。誰もが成功できるための情報を集めて、互いに学び合おう。

国際協調のためのデザインによる公平性:創造性はこの国中に、すべての国民に、均等に広がっている。しかし、機会は均等ではない。歴史的な理由から、あまりにも多くの人がその機会に恵まれずにいる。世界に対して協調的であるための方法を語り合い、すべての人の才能と頭脳をコミュニティに誘おう。

セッション5

地理的ゴールの設定:地域ごとにゴールを定め、つながり協力し合う。
・北東部
・中部
・中西部 / 山岳東部
・南部 / 南西部
・西部

原文