Kids

2015.05.20

盛り上がる子どものMakerムーブメント

Text by Erica Iannotti
Translated by kanai

Maker Faireに何度か行ったことのある人なら、嬉々として参加する、Maker ムーブメントの担い手になるであろう子どもたちの数が増えてることに気がついているだろう。初めてLEDを点灯させたときに子どもたちがかならず見せる「アハ」と喜ぶ顔は、伝染する。Maker Faireは可能性の刺激を受け、子どもたちに教えてやりたいと願う大人たちが集まる場所だ。

「Make:」、Instructables、SparkFun、Servo、「Wired」など、Makerたちの情報源へ行き、子どものMakerムーブメントが盛り上がっているという話題を提供すれば、みんなが食いついてくるはずだ。インターネットを見れば、子どもたちのプロジェクトであふれている。しかし、すべての家庭に工具があるわけではなく、安全教育を受けたわけでもなく、クールなプロジェクトに自信満々で挑戦しているというわけではない。大人向けのメイカースペースは世界に2000カ所もあるが、子ども専用のスペースも、Makerムーブメントに子どもたちをおいて行ってはいけないとばかりに、その数をどんどん増やしている。

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Photo Credit: MakerKids

Parts and Craftsハッカースペースは、5年前にサマーキャンプとして始まった。創設者のWill MacFarlane は、次第に放課後プログラムや、土曜日のオープンラボを組み入れ、3年前には、ホームスクーリングを行っている子どもたちを対象にしたオルタナティブ・スクールデイも開設した。子どもたちは、手を使った学習を通して、現実社会の問題解決に挑戦する。Parts and Craftsは、マサチューセッツ州ソマービルにあるあの有名なArtisan’s Asylumと親しい協力関係にある。Parts and Craftsモデルにはさまざまな財政的な援助があり、自己申告した所得に応じて利用料金が低減される制度もある。

MakerKidsは、トロントの子ども向けメイカースペースだ。ArduinoのMassimo Banziといった優れた人物が役員を務めている。Minecraftのコードを学んだり、ロボットを作るといった幅広いプログラムを提供している。3Dプリント誕生会を開いたりもしている。MakerKidsのCEOは、マーケティング界の大御所、Jennifer Turliukだ。彼女の「結果よりも過程」を重視した、子どもたちの興味を引き出すプログラムが、このスペースに成功をもたらしている。MakerKidsに関する詳細は、Make英語版 Vol. 40のこの記事を読んでほしい。

SparkTruckは、スタンフォード大学 d.schookで、Eugene Korsunskiy、Aaron Peck、Prat Ganapathyが修士論文のために行っているプロジェクトで、世界初の移動型子ども向けメイカースペースだ。フードトラックを改造して、ハンドツールやレーザーカッターや3Dプリンターを装備し、夏休みの間、学校や博物館や駐車場などで子どもたちに開放し、同時に教育者たちにはMaker的な考え方を教えている。SparkTruckチームでは、Lasercut StampsVibrobotsといったシンプルなプログラムを提供し、子どもたちに、消費者になるよりMakerになったほうが楽しいということを教えている。

Evolve ProjectのBrian Pichmanは図書館にメイカースペースを併設させる活動を行っている。彼はこんな比喩を使っている。「かつて図書館は食料品店のようであったが、今はキッチンになるべきだ」と。LA Makerspaceはオープンな子ども向けメイカースペースで、ロサンゼルスの図書館システムに併設されている。資金は2回のKickstarter キャンペーンで5万ドルを集めた。どこでも簡単に情報が手に入るようになった今、アメリカ中の図書館が社会の中での存在価値を失うまいとしている。そこにMakerムーブメントは足場を作っている。

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写真:THINQubator

パイプライン

私が住む街にも、THINQubatorという子ども向けメイカースペースがある。ニューヨーク州北部にあるTHINQubatorは、大人向けメイカースペース、Tech Valley Center of Gravityのプロジェクトで、子ども用の設備を揃えるための資金をIndieGoGoで集めている。目標額は3万5000ドル。今はまだ前半戦だ。ハイテクな機材とローテクな素材を組み合わせ、一流の学者、科学者、エンジニア、プログラマー、アーティストの話も聞けて、子どもたちが障害なく興味を追求しティンカリングできる場を提供している。

STEAMLabsもトロントのスペースだが、Kickstarterで1万6000ドルの目標を達成しようとしている。これを使って、彼らは子ども向けのスペースを、大人や家族にも対応できるようにして、異世代間の創造的な交配を起こして、さらに盛り上がろうと考えている。

子どものMakerムーブメントを調べているうちに、成功している子ども向けメイカースペースは、すでに大人向けまたは子ども向けスペースが成功している地域にあるということがわかってきた。Makerムーブメントのパワーを知らない両親にとって、すでにそうしたスペースがあれば、子どものメイカースペースとは何かを説明しやすい。私の経験からすると、Makerムーブメントに熱心な大人のコミュニティがあるところでは、子どものメイカースペースを作ろうという大きなプロジェクトに何らかのかたちで協力してくれる人や、自分の子どもをそこに入れようと考える人も多い。

みなさんが住んでいる街に大人向けのメイカースペースがあるなら、子ども向けのスペースを作ることを考えてみてほしい。場所や工具のない家族、または「Make:」に掲載されている素晴らしいプロジェクトを安全に行う自信のない家族は、きっとみなさんに感謝することだろう。

原文