2010.02.08
オープンソースハードウェア — WIRED特集記事 「次世代工業革命、アトムが次なるビットだ」
Chris Andersonががんばっている。WIREDの記事、In the Next Industrial Revolution, Atoms Are the New Bitsだ。やったね、みんな! オープンソースで自家製でDIYな製品作りが、WIREDの特集記事にまでなった!
ガレージルネッサンスは、ガレージの外に漏れだして、Maker Faireや “ハッカースペース” の盛り上がりなどの現象を引き起こしている。ピアープロダクション、オープンソース、クラウドソーシング、ユーザー製作コンテンツといったデジタル世界での動向が、アトム(原子=物質)の世界にも広がりつつある。ウェブは、このコンセプトを実証するためのものだった。つまり、アトムが次なる “ビット” となるのだ。
私自身の話をしよう。3年前、ランニングの最中に、近ごろジャイロスコープセンサーが安く手に入るようになったことを考えていた。これを何かに使えないだろうか。まず思いついたのは、ラジコン飛行機に搭載して自律航行ができる無人機、いわゆる “ドローン”だ。調べてみると、自動操縦を可能にするユニットは製品化されて販売されていた。みな私が考えたのと同じ原理によるものだ。しかし、それらを詳しく見てみると、品質の悪さが目立ってきた。どれも非常に高価で(800ドルから5,000ドル)、使いづらく、独自仕様だ。この市場は、もっと民主的な競争を熱望しているに違いない。ここにムーアの法則が登場する。すべての部品をもっと簡単に安く作る。自動操縦用の善良なハードウェアは、適正な利益を見込んでも300ドルを超えるべきではない。残る問題は知的財産だが、これはすべてをオープンにできる時代になった感じがする。大きな利益を得るより、革新的技術を公開する方向でいこう。
このプロジェクトを実現させるために、私はDIY Dronesというコミュニティーサイトを立ち上げた。そして、出資金を出して、当時21歳だったカリフォルニア州リバーサイドに住むメキシコ出身の高卒技師、Jordi Munozを中心とする気の合う仲間たちと作業を開始した。Jordi Munozは組み込み技術と航空学を独学で習得した国際的にも一流の技術者だ。彼は私にArduinoを教えてくれた。そして私たちは自律航行風船のためのコントローラーと飛行機用の自動操縦基板を開発した。
私たちは、エレクトロニクスの愛好家が遊ぶときと同じように基板を開発していった。オンラインショップでパーツを買い、ブレッドボード上で試作回路を組んだ。ブレッドボードでうまくいったら、CadSoft Eagleで回路図を作り、そこからプリント基板を設計した。画面上でいいデザインができたら、それをプリント基板製作業者に依頼する。数週間後にはサンプルが手元に届く。そこにパーツをハンダ付けして、試運転。不具合があれば修正し、大丈夫ならさらに改良を加えて、次のバージョンを作る。
– Phillip Torrone
訳者から:上のビデオの中でWIREDの編集長 クリス・アンダーソンは、”Atoms Are the New Bits”(原子は次なるビットだ)という言葉の意味をとっても分かりやすく解説している。つまり、今やパソコンの中では、オープンソースのソフトウェアをみんなで開発して、それを使って各自が自由にコンテンツを作って公開しているけど、それが画面の外に出て、物理的な “物” も自由に作れる時代が来たということだ。パソコンの中でビット(データ) を扱うように、アトム(物理的な素材)を自由に扱って物を作るということだ。
[原文]