Electronics

2013.05.20

DIY宇宙旅行が飛び立つ

Text by kanai

Lynx_suborbital_ascent

私は今週、シリコンバレーにあるHacker Dojo主催のCitizen Astronaut and Space Hacker Workshop(市民宇宙飛行士とスペースハッカーのワークショップ)を訪ね、DIY宇宙計画の進捗状況を見てきた。初日にハッキリしたのはこういうことだ。「前にそこを探検したことがなければ、今こそ中間圏(さらにその先)へ新しい試みを送り込むのだ」

古い技術にしがみついてきた既存の技術者たちとNASAは、予算カットと格闘している。思うに、宇宙探検の進歩は普通の人たちの間から生まれるようになるのではないだろうか。200ドル程度の市販の部品を使って宇宙実験ができるぐらいだ。ハードルは以前に比べてぐっと低い。宇宙に実験機材を(または自分自身を)飛ばしたいと考えるなら、Space Hacker Workshopのメンバーに聞くといい。彼らは何をすべきか、どうすべきかを知っている。

刺激がほしければCitizens in SpaceのHigh Altitude Astrobiology Challenge(高高度宇宙生物学チャレンジ)がお勧めだ。優れた生命回収プロジェクトには最高1万ドルの現金が贈られる。

Gumstix™ モジュール。写真提供:Advanced Materials Applications, LLC

マイクロコントローラーを打ち上げるというのはどうだろう? Advanced Materials Applicationsでは、Gumstixという開発ボードを打ち上げて、大気のない状態(PDF)で評価を行う予定だ。宇宙でコンピューターを動作させるということは、そこへ行くだけでなく、そこでいろいろ試せるということだ。

ビデオゲーム、ビデオカメラ、ビデオフォンなど、面白そうなものをなんでも打ち上げられる。こうしたイベントを計画している人たちは、彼らの計画を話したがっているだけでなく、みんなからも広くアイデアを聞きたがっている。彼らはそのアイデアの実現のために力を貸してくれる。

そのための手段のひとつと期待されているのがArduLabだ。Infinity Aerospaceは「宇宙区間での人の長期滞在の主要なプレイヤーになる」ことを目指している。世界中の子供たちが空を見上げてそこに可能性を感じられるよう宇宙をオープンにしたいと考えている。そのために、彼らは、Arduino Megaをベースにした、宇宙ステーション公認の安価でオープンソースの実験装置、ArduLabを開発した。Arduinoを使っているということは、すでに無数のリソースがあるということ。ただし一般のUnoと違い、宇宙ステーション公認ということで、NASAの仕様に合わせて、意識せずに使えるようにした。彼らは宇宙をエキサイティングなものにしたいと思っている。共同創設者のひとり、Manu Sharmaの目標は、「Angry Birds」を宇宙で実際にやることだ。彼は今年のMaker Faire Bay Areaに出展する。


無重力育成モジュール

Mark S. Hoerber Jr.は、素晴らしいプロジェクトを開発した。無重力環境でRNAの変化を研究するためのオープンソースのバイオリアクターだ。彼はその命題のためにこれをデザインし製作した。これを披露するために、卒業式の翌日から飛び回った。彼は、微少重力下での免疫システムの問題の解決と、より強力な薬の開発を目指している。Arduinoベースでオープンソースだ。今はCNCツールは使っていない。カンファレンスに出席するために56時間寝ずにがんばる元気な男だ。

プロジェクトを打ち上げる手段を探しているなら、放物線飛行はどうだろう。大気圏内で低重力実験ができる(ベストとは言えないが、屋根から機材を落とすよりはましだ)。1回のフライトで40回ほど放物線飛行をする。一度の放物線飛行で30秒程度の無重力が体験できる。

分刻みで時間を計りたい場合は、Citizens in Spaceを見てみよう。そのサイトにこう書かれている。「私たちの目標は、一般の人を市民宇宙飛行士(市民宇宙探検家)として宇宙に送ることです。市民科学者を宇宙で実験できるようにすることです」彼らは、XCOR Lynx宇宙船に100のプロジェクトと10人のオペレーターのためのスペースを購入している。宇宙船はまだ開発中だが、素晴らしいことだ。

まだまだたくさんある。ひとつ注目したいのは、Made in Spaceだ。世界初の宇宙用3Dプリンターを開発している。現在売られている熱融解積層型のプリンターは、どれも重力に依存している。だが彼らは、独自の装置を研究しているのだ。Jason Dunnは、今までに400回以上の放物線飛行を行い、無重力下で2時間以上のプリントを行っている。でもまだ吐いてない。

宇宙探検は現実だ。そのチャレンジの規模を見て圧倒されてしまうこともあるだろう。Citizen AstronautやSpace Hacker Workshopは未来への希望を持たせてくれる。

これは驚きの現象だ。もっとたくさん現れるだろう。#makersinspaceをフォローしよう。

– Sam Freeman

原文