Electronics

2008.10.01

よりよい世界をMakeするために……

Text by kanai

みんな聞いてくれ。今は最良の時代であり最悪の時代だと言われている。ボクはウォール街から数ブロック離れたところにある安アパートに住んでるけど、今こうしている間も、解体されようとしている。皮肉な破片がそこらじゅうで山になっているよ。電子機器やらMakeやら道具やらを箱に詰めていると、ボクたちは今、よりよい物を作れる歴史的な好機に遭遇しているんだという実感が湧いてくる。今すぐ必要なものではなく、将来に役に立つものをね。みんな同じようにインフレによる経済的なプレッシャーを感じていると思う。ドルはもう以前のように強くはならないだろう。だから、今こそ我々の興味や趣味を呼び戻す必要がある。ボクは、より多くの人たちが自分で物を作るようになって、DIYが今よりずっとビッグなものになると確信している。作りたいから作るという人も増えるだろうし、作る以外にやることがないから作るという人も増えるだろう。
子供のころは、時間はありあまっていたが、お金がなかった。だから、遊んだり、物をいじったり、探検したりしていた。今また、それができる状況になったんだ。ボクたちが作る物、使う道具、買ってきた本や資料は、もっと酷使して、役立てるべきだ。ボクたちがそこから学ぶというだけでなく、それを、子供たちも含む他の人たちに伝えていくべきだ。会合(Make、Dorkbot など)や、ハッカースペースや工具店(NYCRなど)といった場所を利用して、もっと多くの人と交流して、自分たちの情報を蓄積しようじゃないか。電子工作、木工、そしてDIY全般にいたるまで、我々の趣味は投資すれば返ってくるんだ。これからいちばん求められるものは、物を作ったり直したりする能力だと思う。頼れるのは自分だけだ。誰もが、必要なときに、独力で対処できるようになることが大切なんだ。
これからチャレンジすべきことが山ほどある。ボクはアメリカ人だ。最大の苦境に直面したときに、いちばんがんばれる。こんなに面白いことは他にない。ボクたち全員が抱えている問題として、エネルギー問題がある。教育問題も解決しなければならない。あなたにもしお子さんがいたなら、その問題解決に尽力できる最良の立場にいるわけだ。子供たちは何に触発されて能力を開花させるかわからない。だから、できるだけ多くの物を見せてやろう。ボクにはまだ子供はいないが、何年間かMaker Faireをやってきて、たくさんの親たちと意見を交わしたことで、電子工作は子供たちの情熱をかきたてるものだということがわかってきた。よりよい世界を作るには何をしたらいいか、はっきりとは分からないけど、科学者や技術者を育てる必要があることは確かだ。
もうすぐ2008年も終わるけど、ボクたちは、Makeを通して、新しい物語を紡いでいく現在の世代、そして次の世代の才能を開花させるために、できるかぎりたくさんのことをしていきたいと考えている。そのひとつが、間もなく開催される Maker Faire Austin(10月18日-19日)。何千、何万という人たちが集まって、物作りのすばらしさを称え合うイベントだよ。また、残りわずかだけど、今月いっぱいは Maker Shed 全製品 10% オフセールをやっています。また、25ドル以上お買い上げの方全員に Maker’s Notebook をプレゼントしています。チェックアウトの際にディスカウントコード”CRZYDAN”をタイプしてね。(日本語版編集部から:ごめんなさい。このキャンペーンは9月末で終わってしまいました)電子工作を始めたいけど、どうしようかと迷っていたあなたは、今こそチャンス。soldering set(はんだセット)とArduinoなどのキットを買えば、今すぐ始められる。ボクは、電子工作を初めてからほんの数ヶ月で、新しい道を見つけたという人を何十人も知っているよ。電子工作をきっかけに事業を興してしまった人もいます。
自分の時間とお金を使ってできることは山ほどあるけれど、そのなかでも、ボクたちのサイトを見に来てくれて、ビデオを見てくれて、本は雑誌を買ってくれて、Maker Faire に来てくれて、Makeを支援してくださるみなさんには、本当に感謝します。ボクたちは、世の中をもっと良くしようと努力している巨大なコミュニティーの中の、ほんの小さなグループに過ぎない。単なる物作りが好きなMakerの集まりだ。これだって、ボクたちが立ち上げたわけではなく、昔から、そしてこれからもずーっと存在している人たちの集まりだ。ボクたちは、今のこの動きを歓迎して、みんなに刺激を提供していきたいと考えています。もっとできることがあるというアイデアを持っている人がいたら、ぜひボクたちの仲間になって、いっしょに頑張ってほしい。
– Phillip Torrone
原文