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2010.06.21

LEDディスプレイ「のり子さん」の壮絶な開発裏話

Text by kanai

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アホ汁666(ピョコタン著、三才ブックス)
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フジテレビのホームページ内にある週刊タケシで「西日暮里ブルース」を連載中の、このごろ漫画以外で話題の多い漫画家ピョコタンが、じつはお馬鹿Makerであったことは Make: Online英語版でも紹介されて世界的(?)に知られているが、5月に発売された単行本「アホ汁666」に、その開発裏話が克明に記されている。
楽して儲けようとしてピョコタンが開発した「のり子さん」だが、じつは愛のある社会的発想に基づいたものだった。「のり子さん」は、LEDディスプレイ付きのアイマスク。電車の席に座って居眠りをするとき、これに「西日暮里で降ります」と表示させておけば、親切な人が教えてくれる「はず」というシステムだが、これは単に自分だけが楽をするものではない。座っている人みんなが「のり子さん」を装着していれば、誰がどこで降りるかがわかるので、座りたい人は、寝ている人を起こしてあげて席に座れるという、座っている人も立っている人も得をする画期的なシステムだったのだ。
「アホ汁666」には、そんなピョコタンの崇高な理念、楽して儲けようというゲスな魂胆から、慣れない電子工作での挫折、そしてその壮絶な顛末がフルカラー漫画で描かれている。涙無くしては読めないお馬鹿系Maker必読の漫画だ。