Crafts

2011.10.31

クラフター、ハッカー、そしてハッカースペース

Text by kanai

Emily Smithは、カナダはバンクーバー出身のブロガーでMakerでコミュニティ管理者。彼女は素晴らしいDIYサイト Blue Mollusc を運営していて、今年開かれたVancouver Mini Maker Faireを先導してくれた。その彼女が、うれしいことに、ハッカースペース系ライター集団の一員としてMakeに参加してくれることになった。彼女はCraftにも原稿を書いてくれることになっている。- Gareth

クラフトと聞くと、グルーガンや木の棒や布や機織りを連想するのと同じように、ハッキングと聞くと、ハンダごてやマイクロプロセッサやソフトウェアを思い浮かべる。実際、ハッキングとクラフトとの間には共通点が多い。この2つのMakerグループが会話をすれば、もっと多くの共通点がみつかる。どちらも、物を作るために必要だと思っているものは同じだ。いつでも使える道具、作業スペース、それに、プロジェクトやアイデアを話し合って育て合うことができる同好の仲間だ。
熱烈なクラフターである私は、初めてハッカースペースを訪ねたとき、とっさに、そこに自分のプロジェクトを持ち込みたいと感じた。足を踏み入れた瞬間、私はそこにいくつものクラフトのヒントを発見したのだが、その場所を占有していたのは、ほとんどがハッキング用のハードやソフトだった。まったくの異世界に感じる人もいるがろうが、私は、これまで試したことがなかった新しい媒体を学ぶ絶好のチャンスだと思った。そして、ハッキングに柔らかい側面を持ち込めるとも感じた。冷たいものに毛糸をまとわせるのだ!
2回目に訪れたときは、ハンダ付けと電子回路の基礎を習い、レーザーを使ってスピログラフを描いた。そして、ELワイヤの素晴らしい世界を教えられた。私のハッカースペースでは、ほとんどがクラフトを基本としたプロジェクトを行っているが、ハッカーたちが築いてくれた基礎の上にハッカースペースを作ることができて、それをクラフトのコミュニティに広めることができたのは、本当にラッキーだったと思っている。ハッカースペースは、クラフトナイトを開くのにもって来いの場所だ。共有スペースだから掃除をする必要もないし、メーリングリストやWikiやウェブサイトで参加者を集める手間もない。物作りが大好きで楽しくて優秀な人たちが簡単に集まる。もうひとつ気づいたことは、たとえば、ニットナイトや縫い物ナイトというように、活動を限定すると、ユニークな経歴や技能を持つ人たちが集まってきて、いろいろ教え合ってくれる。そして、夢中になっているうちに、気がつけば多くのことを学んでいる。これは、どのハッカースペースでも目標としていることだろう。
ひとつだけ、まだよくわからないことがある。それは、どうしてもっと多くのクラフターたちがこうした機会に飛びつかないのだろう? という点だ。どのハッカースペースでも、クラフトナイトを開催している。しかし私の経験からすると、それに喜んで参加するクラフターはとても少ない。ハッカースペースは世界中のたくさんの街にあって(hackerspaces.orgで近くのハッカースペースを調べられる)、幅広く奥深く物作りを楽しむコミュニティを作っている。
これを読まれているクラフターのみなさん、お近くのハッカースペースやクラフタースペースをぜひ訪ねてみてください。友達を誘ってね。いろいろな人と話をして、新しいことを教えたり教わったり、周囲の人にプロジェクトを持ち込むよう促してください。
ハッカーのみなさんへ:あなたのハッカースペースにクラフターがやって来たら、温かく迎えて、そこが素晴らしい場所であることを教えてあげてください。あなたたちには、たくさんの共通点があるのです。
– emilysmith
原文