Fabrication

2012.04.13

Makerslide ─ 3Dツールの試作がずっと簡単に

Text by kanai


MakerslideがInventables から販売されるようになった
これが大いに助かるという人と、ぜんぜん関係ない人がいると思う。私たちが使っているパーソナル製造機器は、三次元空間に素材を追加したり削ったりするものが多い。木を削るCNCフライスマシンも、プラスティックを重ねていく3Dプリンタも、コンピュータがトラック上のヘッドを正確に動かして作業を行う仕組みになっている。こうした3Dツールを開発している人にとっては、Makerslideが入手できるようになったのはグッドニュースだろう。
では、Makerslideのどこが特別なんだろう? まず、これは直線運動をガイドするシステムだ。抽出レールの上に可動子が載っている。可動子にはV字型の溝のある車輪がついていて、V字型レールにはまるようになっている。きっちり動いてくれそうだ。それに、なんと言っても安い。普通にアルミフレームを買うぐらいの価格で、システム全体が買えてしまうのだ。
Makerslideの売りは、それだけではない。
3Dツールの開発者は、ツールのフレーム、つまり構造体の設計で頭を悩ませている。直線移動システムとフレームは、通常、別々の問題だ。両方を作らなければならないので、二重の手間とコストがかかる。だが、Makerslideを使えば、フレームと直線移動システムが同時にできあがる。
頑丈なT字型スロットフレームには、レールが一体化されている。たとえば、X軸のレールをZ軸のレールに接続するだけで、可動子用のレールとフレームが完成する。これを使えば、頭の中のアイデアを即座にプロトタイピングできる。開発に必要な機能がいくつも備わっているので、Bart DringのORD Bot 3Dプリンタなど、アイデアを思いついてプロトタイプを作るまでわずか7時間しかかからなかった。

Makerslideで作られたORD Bot 3Dプリンタ
そんなわけで、Makerslideは長い間、Makerたちに待ち望まれていたものなのだ。開発者のBart Dringは、フルタイムの仕事を持つ家庭的な男だ。Makerslideの販売にかけられる時間はあまりない。この9カ月間は、毎日の生活の中でどれだけの製品が準備できるかを毎週計算していた。そして、ウェブサイトに在庫を示すのだが、いつも4時間以内に売り切れてしまう。このやり方でBartは、Makerslideを1マイル以上売った計算になるが、それでも日常的に売り切れの状態が続いている。
どうしても生産が需要に追いつかない。ORD Botプリンタの生産は100ユニットに限定しなければならなかった。これも非常に期待が高いオープンソースのレーザーカッターは後回しにしなければならない。彼の発明とBuildLog.netコミュニティとの付き合いもスローダウンした。Bartは作ることが大好きだ。素晴らしい工房を持ち、10年以上も自作のCNCマシンを使っている。Makerslideが成功したおかげで、彼は一番好きなことがどんどんできなくなっている。それは、設計開発だ。

Makerslideの発明者、Bart Dringの父親としての一面
そんな状況を改善するために、Bartは、注文と販売を担当するパートナーを探すことにした。誰でもいいわけではない。彼は、自分の製品に相応しい相手を見つけることは、自分の責任であると考えていた。いくつもの企業が提携を申し込んできたが、最終的に彼が選んだのは、過去によい関係で仕事をしたことのあるInventablesだった。
タイミングがよかった。InventablesのCEO、Zach Kaplanも相手を探していたのだ。彼は「基礎技術」を取り扱い製品に加えたいと考えていた。新しいプラットフォームを簡単に構築できる工学部品、レゴのように組み立てられるMaker向けの製品を欲しがっていた。そして、直線移動機能と構造体としての機能を併せ持つMakerslideに、彼は可能性を感じた。Makerslideを使えば、新しい3Dツールを開発する人間は、アイデアからプロトタイプへの時間を大幅に短縮できる。
BartとZachは、互いに求めるもの合致してパートナーとなった。どの結果、大変に需要が大きいがなかなか手に入らなかった製品が、Inventablesから買えるようになったというわけだ。
– TravisGood
原文