2016.02.16
3Dプリントしたトゥールビヨン付きの時計
この、トゥールビヨン付きの3Dプリントした時計を見てほしい。スイスの時計職人、Christoph Laimerの作品だ。時計用語に詳しくない人のために説明すると、トゥールビヨンとは「時計の脱進機に追加されたメカニズム……つまり、脱進機とてん輪を回転するケージの中に収めることで重力による影響を相殺して、時計(つまり脱進機)が特定の場所で止まってしまわないようにするための装置だ。てん輪全体(脱進機)を常に低速(通常は1分間に1回転)で回すことで、位置的誤差が平均化される……もともとは精度を高めるためのものだが、トゥールビヨンは現在でも腕時計などに差別化をはかるため、そして時計職人の高い技術を誇示するために使われている。そうしたメカニズムは、文字盤を透かして見えるように作られていることが多い」(Wikipedia)
Christophは、現代の一般向け3Dプリンターの限界をテストするために、このトゥールビヨン付き時計を作った。Autodesk Fusion 360でデザインし、Ultimaker 2でプリントしている。柔軟性(耐衝撃性)が必要か、強度(耐久性)が必要かで、フィラメントはPETGとPLAを使い分けた。Thingiverseのこのプロジェクトのページで、彼はこう書いている。
これは、3Dプリントしたぜんまいで駆動するトゥールビヨン付きの時計です。この時計にはスイスレバー脱進機が使われています。香箱の中のぜんまいで、約30分間動きます。精度は、おおよそ1分間に1秒の狂いがあります(部品の設定によって変わります)。このプロジェクトは、3Dプリント技術の向上を示すものです。初期のころのプリンターに比べて、より安定的に、正確に動くようにできました。ただし、これは大変に高度なプロジェクトであるため、不正確にプリントされた部品は、手で削るなどして修正しなければ時計は動かず、これには時計職人の技術が必要です。
これは部品の組み合わせと動く仕組みを表したアニメーションだ。
プリント用のファイルはここで入手できるので自分で組み立てることが可能だが、Christophは自身のウェブサイトで完成品の販売も行っている。
[原文]