Electronics

2013.06.24

[NUC HACK]MCT2013でNUCを使ったアーティスト作品展示

Text by pr

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2013年6月15日に開催されたMaker Conference Tokyo 2013(MCT2013)では、Makerたちのものづくりを支援するインテルが、「NUC HACK」と題して、手のひらサイズで驚異的なビジュアルと高性能を実現するPC、インテル(R) NUC を使ったアーティストたちのバラエティー豊かな作品を公開しました。本ブログ記事では、Makerたちの創造力をかきたてるアーティストたちがつくった作品を紹介していきます。[登場アーティスト]Rhizomatiks/高橋隆雄/岩崎修/森翔太

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もっと多くの人に「つくる楽しさ」を――そんなテーマで議論するイベント、Maker Conference Tokyo 2013(MCT2013)が6月15日に開催された。会場となった日本科学未来館には国内外のMakerが集まり、講演、セッション、プレゼンテーション、作品やデモの展示に熱い一日を過ごした。

Makerの集いの場

メイン会場のみらいCANホールでは、招待講演者の基調講演やパネルセッションが続く。1970年代から今にいたるMakerムーブメントの流れを語る、マーク・フラウエンフェルダー(米国「Make」誌編集長)。巨大なデジタル製品製造拠点となった深圳で、Makerたちのアイデアをプロダクトに育てる会社を立ち上げたエリック・パン(Seed Studioファウンダー/CEO)。

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セッションでは、大企業からの注文を待つ「『待ち』の工場」から、自ら市場をつくり出す「『町』の工場」になろうとする中小企業の話、基板の回路図を公開したことがユーザーの改造熱を呼んで自社の製品の盛り上がりにつながった楽器メーカーの話があった。いずれも、これまであまり知られていなかった話題ではないだろうか。「Makerのための新しい教科書を作る」という最終セッションでは、工業高校の生徒向け教科書(電気基礎)を学生時代に自作、教科書検定を通過させて発行した山下明さんの話が自身より語られ、会場を驚かせた。他にも、Maker向けのコミュニティづくり、イベント運営についてのセッションなどが繰り広げられた。

トークやセッションの合間には、広い会場のあちらこちらで参加者が思いおもいに立ち話をしている。日頃は会う機会のない人と情報を交換したり、旧知のMakerと親交をあたためるのも、このイベントに参加する楽しみのひとつなのだ。

MCT2013のスポンサーなどが出展する展示会場の一角も、そんな場所のひとつである。会場には、3Dプリンターやレーザーカッターなどの工作機器、電子工作パーツ、ANTモジュール、はたまた廃棄物のマテリアル(プレス機で押し固められた廃棄自転車を見たことがあるだろうか?)、関連書籍が並び、参加者が手に取って見たり、製品の説明を聞いたりしている。

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手のひらサイズのPC・インテル(R) NUCも、展示に仲間入り。ケースに入っている製品、サードパーティ製のアルミケースと並んで展示されているマザーボードが人目をひく。PC DIYファンが目ざとく見つけ、「CPUのチップはどこですか?」と手を伸ばす(CPUはマザーボード底面のファンの下にある)。

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 特別展示されたNUC HACK作品

今回お披露目されたNUC HACK作品は、展示会場で作者自身によってデモンストレーションされた。ハックのアイデアとDIYの仕上がりぶりに、通りかかった人々が足を止めて見入っていく。

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電動人形劇場『森のオルゴール』(岩崎修+*maho)は、会場に運ばれて舞台セットや小道具がさらに可愛らしく仕上げられた。スポットライトを浴びながら音楽に合わせて自動で踊る動物たちの姿に、来場者がひきつけられていく。イベントの性質上、作者の想定観客である子供がいないのは残念だったが、機構の作り込みとNUCの存在に着目したMakerが、作者と熱い工作談義をする姿がしばしば見られた。

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「仕込みiPhone」作者の新作『Makerムーブメントムービー』(森翔太)は、街頭パフォーマンスに使用したNUC利用の立て看板とともに、会場で披露された。パフォーマーの作者にとっては、展示会場もパフォーマンス場。来場者は、作者の生の語りとともにムービーを面白がって観て、作者のオリジナル「仕込みiPhone」を触っていく。

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『つぶやきの樹』(高橋隆雄)は、作者がこだわり技術を集めた作品。電話で話した言葉が音声認識を経てディスプレイに表示される。「東京特許許可局」「たけやぶ焼けた」……来場者が受話器を取り上げ、思いついた言葉をつぶやく。アナウンサーだという来場者が、「僕が話す言葉はいつも消えていくんです。こうして目に見えるようになってうれしい」と話していた。これは、作者の苦心が報われる最高の言葉だったかもしれない。

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NUC HACKのなかでも最も大がかりな作品となった『laser drawing』(Rhizomatiks)は、樹脂製の小さなボールをワイヤーで等間隔に吊るしてマトリックスを作り、そこに人のモーション画像から抽出した色をレーザープロジェクションするインタラクティブアートだ。高速に広い範囲を走査するレーザー光が、数百個のボールの中央を捉えてきれいに照射されるようにするのは、地道で根気のいる作業だ。ぎりぎりまで調整が続けられての公開となった。公開後は来場者が次々とKinectの前に立ち、モーションがボールに映る面白さを楽しんだ。

会場ではこのほか、編み機の制御ユニットを取り外してつなぎ替えたPCから模様のデータを送り込んで作品を作るグリッチニット、ローコストなモーションキャプチャーシステム、電子回路利用のハンドメイド楽器など、NUC HACK作品以外のデモも行われた。

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