Electronics

2014.04.08

家庭用インクジェットプリンタで印刷できる導電性インク

Text by kanai

日本のスタートアップ、AgICが、普通の家庭用インクジェットプリンターで使える新しい導電性インクで電子回路のプロトタイピングを変えようとしている。このインクには、いくつかの面白い特性がある。

ブレッドボードで回路を組むのはわずらわしいものだ。それが終わっても、まだプリント基板の設計という仕事が残ってる。基板ができたら、ちゃんと動くかどうかを確認しなければならない。

だが、AgICのインクを使えば、一気にプリント基盤が作れてしまう。Eagleや123D Circuitなどの設計ソフトで回路をレイアウトして(Illustratorでも大丈夫)、プリントして、パーツを取り付けてテストするだけ。変更も数分でできてしまう。

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Kickstarterキャンペーンに成功したこのシステムは、ブラザーのインクジェットプリンターと詰め替え用のインクカートリッジを使う。用紙には光沢写真用紙か透明プラスティックシートを使う。パーツは導電性接着剤か導電性テープで取り付ける。私たちはハンダを試してみたのだが、ちゃんとくっついたから驚いた。ただし、通常の使用に耐えるというものではない。プリントして厚紙に貼り付ければ、プラスティックのプリント基板のようにしっかりとする。

しかし、ふにゃふにゃのままでも、いろいろな可能性がある。このインクには驚くほどの柔軟性があり、曲げたり折ったりが自由にできるのだ。だから、ウェアラブル用の基板も簡単に作れる。紙飛行機に回路を組み込むといったクリエイティブな使い道もいろいろ考えられる。

さらに、このインクに抵抗を持たせたり、これで紙のアンテナを作ったりと、さまざまな電子的な応用も可能だ。

AGiCでは、Kickstarterで大成功を収めた CircuitScribeと同じように、このインクをペンの形で提供もしている。しかし、インクジェットでプリントできるというところに、私たちのクリエイティブ心がくすぐられる。これを手に入れた人は、どんなふうに使ったかをぜひ教えてほしい。

– Mike Senese

原文