2015.08.17
MFT2015レポート ― ノートPCにもメカニカルキーボードの心地よさを! リレーを使って打鍵音を再現するSilriumの「USB KeyBoard RELAY」
メカニカルキーボードの心地よさは、押したとわかる物理的な感触と、「カチカチ」というスイッチ特有の音にある。しかし、ノートPCが主流となった今では音のしないキーボードが主流。音のするキーボードを使いたいなら、外付けのキーボードとして購入するしかない状況だ。
昔ながらの打鍵音を聞きながらキー入力がしたい……そんなささやかな望みを叶えてくれるのが、電子工作グループ、Silriumの「USB KeyBoard RELAY」。キーを押すとカチカチ鳴る “だけ” のUSBガジェットなのだが、その音を出す方法があまりにも独創的だったため、ひと目見るなり魅了されてしまった。
さりげなくノートPCに接続されていた謎のUSBガジェット。カチカチという音を出す以外の機能はないという潔い仕様だ
音だけでなくわずかな振動まで再現
リレーは電磁石で接点を動かし、小さな電気信号で大きな電力のものをオン/オフするときに使う電子部品。このリレーを動かす時に出るカチカチという音を、キーボードの打鍵音の替わりに鳴らすようにしたのが、「USB KeyBoard RELAY」だ。
単純に音を出すだけならソフトだけでも実現できるが、あえてリレーを使うことで、音だけでなくわずかな振動も発生し、よりリアルなメカニカル風のタッチが楽しめるという。ちなみにこれは狙っていたわけではなく、作ってみたら振動もあるということに気付いたのだそうだ。
キットには5Vのリレーが含まれているが、基板上には昇圧回路が搭載されているため、最大24Vまでのリレーに対応している。より大きなリレーをのせることで、音や振動を大きくできるのが面白い。
1500円で販売されていたキット。より大きな音を楽しみたい人向けに、24Vのリレーも販売されていた
なお、実は2つのデバイスまで制御できるようになっているので、改造すれば通常のキーでリレーを鳴らし、Enterキーだけはソレノイドでベルを叩く、といったこともできるとのこと。
ハンダ付け体験ができるスペースも併設
もうひとつ販売されていたキットが、60個のLEDをぐるっと一周ハンダ付けすることで時計を自作できる「60th LED CLOCK」。ハンダ付けしなくてはならないパーツ数は多いものの、表示が美しいだけに完成したときの達成感はひとしおだ。
「60th LED CLOCK」のキット。右下のがハンダ付けを終えた完成基板。完成品が欲しいという声はたまにあるそうだが、ハンダ付けから楽しんで欲しいとのことでキットのみの販売にしているそうだ
アクリル板を使って時計らしく組み上げた例。基板の組み立てだけでなく、外装を自分好みに作れるのもキットの魅力だろう
以前のMaker Faireではワークショップでの体験製作もしていた。その時はハンダ付けが初めてだという人もいたものの、3時間くらいかけて参加者全員が完成できたとのこと。今回のMaker Faireでも、家に道具がない、自分ひとりで作るのは不安だ、この場で作って帰りたいという人向けに、ハンダ付けができるスペースが設けられていた。
ハンダごてやニッパー、ピンセット、ルーペなど、ひと通りの工具が揃ったハンダ付けスペース。ここで組み立てて持って帰る人も多い
この他、キット化はしていないものの、72個もの7セグメントLEDを搭載したArduino互換基板や、横長のLED表示基板など、ユニークなものが多数展示されていた。今後もさらに面白いキットや基板の開発に期待したい。
72個の7セグメントLEDを搭載した基板。下部がArduino互換となっているので、この基板だけで時計などの開発ができる
─ 宮里 圭介