私は、大人なら習得しておきたいスキルを詳しく解説した記事が好きだ。先日「Popular Mechanics」誌に「100 Skills Everyone Should Know(みんなが知っておくべき100のスキル)」という記事が掲載された。そこから、Makerなら知っておきたいスキル10個を紹介しよう。
木の倒し方
まず、木を倒す方向を決める(どこに倒せばいいかわからないときはプロに頼もう。真っ直ぐ垂直に伸びている木を倒すときはロープを使って倒す方向へ引っ張る)。腰のあたりの高さで、木を倒す側に水平に切れ目を入れる。切る長さは木の幅の3分の1程度。その切れ目に斜め上から切れ目を追加してくさび型の切れ込みにする。この切れ込みの方向に木は倒れる。反対側に切れ目を入れる前に、45度後方に逃げるルートを確保しておく。切れ込みのちょっと上あたりを狙って反対側から切れ目を入れる。木が倒れ始めたら、すぐにノコギリを引き抜いて避難する。「たーおれーるぞー!」と叫ぶのは、あくまでオプション。
トレーラーのつなぎ方
ヒッチがしっかりとボールにつながっていることを確認する。トレーラーのトングジャッキで車の後方を5センチほど上げる。セーフティーチェーンは地面につかないように、トングの下側でクロスさせてつなぐ。ライトが点いているかを確認しに何度も後ろへ足を運ばなくてもよいように、ここでランニングライトと4方向フラッシュを同時に点灯しておく。
ハシゴの安全なかけ方
ハシゴに足をかける前に、ハシゴが適正な角度(75〜78度)で設置されているかを確かめる。靴のつま先をハシゴの足を合わせて立ち、腕を真っ直ぐ前に伸ばす。その状態でハシゴの段を握ることができれば、角度は適正だ。
ミシンの使い方
家の中でもっともエレガントなメカニカルデバイスであるミシンがあれば、キャンプ用のギヤやタープや凧などいろいろなものが作れる。まずはミシンにボビンと糸をセットする(糸の通し方はミシンによって異なるので説明書をよく読むこと)。針に糸が通り、ボビンの糸も下から出てきたら、もう縫える状態になっている。右側の「はずみ車」を回して針をいちばん高いところまで上げる。「押さえ」(細長い穴が開いている金属部品)を上げて、その下に縫い合わせたい布を重ねて入れる。針を布のすぐ上まで下げ、押さえを降ろして布を押さえる。縫い合わせる布は、まち針を打ってずれないようにしておくこと。その際、「ミシンの縫い目とは直交するように打つ」と、ワードローブデザイナーのMarc Bordersは言っている。「そうすれば針をあまり折らずに済む」ということだ。では、フットペダルをやさしく踏んで、ゆっくりスタートさせよう。針が上下して、布の下の「送り歯」が布を引っ張っていく。ペダルを踏み込むと、このプロセスが加速する。布には片手を軽く添えて、縫う方向をガイドしてやる。布を押したり引いたりしてはいけない。動きは送り歯に任せること。標準的な4分の1インチの縫い代を残したいときは、押さえの端に布の端を揃えるとよい。
データの守り方
古いハードディスクは、個人情報を欲しがる悪いヤツらにとっては宝の箱だ。普通にファイルを削除したりフォーマットをかけても、本当の意味でプラッターをまっさらにしたことにはならない。「フォーマットは単にハードディスクの中身を整理するにすぎません。ハードディスクに詳しい人間なら、アンフォーマットをかけて、元の状態に戻すことができます」とGlobal Network Security Consultantsの情報セキュリティーアナリスト、Art Costiganは言う。そこで、完全に情報を守る方法を2つ紹介しよう。ひとつは慈善的方法。Evidence EliminatorやcyberCideといったディスククリーニングソフトウェアを使うことだ。これらは、すべてのビットにゼロを書き込んでいく。そのため、ハードディスクは再使用が可能だ。これを使えば、ハードディスクはゴミにならずに済み、欲しい人にゆずることができる。National Cristina Foundationでは、学校や公的施設に古いハードディスクを寄付している。もうひとつは心配性の人のための方法。物理的に壊してしまうのがいちばん。政府機関にはハードディスク用のシュレッダーが置かれているが、12ミリのドリルビットを使えば、それに近い結果が得られる。このドリルで、プラッターに少なくとも4カ所穴を開ける。これでハードディスクはおしまいだ(英語版編集者注:穴はひとつでも十分)。
アーク溶接
「アーク溶接は、もっとも簡単で安価な溶接方法です」とToccoは言う(なんでも屋の中には、手早いという理由でMIG溶接よりもアーク溶接を選ぶ人がいる)。アーク溶接の第1ステップは、溶接棒のサイズと金属の厚さから電流を調整することだ。アークを飛ばすには、溶接する場所にマッチをするような要領で溶接棒を擦りつける。溶接部分の中央にあてた溶接棒を45度の角度に保ち、進行方向に15度から20度ほど倒して進ませる。Toccoによれば、アークは3ミリ以下に保ち、ゆっくり動かすことが重要だという。そうすれば、溶接棒の先にできる溶けた金属が均一に両方の素材に融合する。
スペードビットの使い方
速いけど荒い。この種のビットは、木材を突き抜けるときに割れが生じやすい。美しい穴を開けるためには、ビットが材の裏側に達したところでいったん止め、材を裏返して反対側から穴を開ける。オマケ:割れを防ぐもうひとつの方法は、材の板に廃材を重ねてクランプで固定し、上から穴を貫通させる。
ノミの使い方
縦のほぞ穴を開けるには、(1) 線から3ミリ内側にノミの平らな部分を外側に向けて当て、やや内側に向けて切れ目を入れる。このとき、木槌を使ってしっかりと打ち込むこと(ノミの金属の「かつら」部分を金槌で叩いてもよい)。ほぞ穴を彫るには、(2) ノミの平らな方を上に向けて持ち、縦に彫った溝に向けて材を削っていく。仕上げは (3) ノミを短剣のように持って、縦の面を線のところまで彫る。オマケ:一回で仕上げようとせず、浅い溝で何度にも分けて彫るとよい。
金ノコの使い方
力を加えてもあまり効果はない。軽いストロークで切ること。材の表面が滑らかで固いときは、カーバイドのスクライバーで傷を付ける。(1) またはヤスリで傷をつける。親指の爪をガイドにして (2) 切り始める。下向きに力を加えるのは歯を押すときだけ。(3) 歯を戻すときは浮かせるようにする。18〜24tpi(ピッチ)のものがいちばん使いやすく、用途も広い。柔らかくて厚い金属(アルミ、真鍮、銅の丸棒など)には14ピッチ。18から24ピッチは鉄のチャンネルやパイプに、28〜32ピッチは薄い皮膜で覆われた電気ケーブルやメタルシートに使用する。
トルクレンチの使い方
パーツは清掃し、乾燥または軽く注油しておく(注油した場合はトルクを低めに設定する)。複数のボルトを締めるときは、ランダムなパターンで締めていく。順番に締めると座りが悪くなる。注意:クリッカースタイルのレンチの場合は、最初のクリックで止めて、それ以上は回さないこと。
この他の90のスキルは「Popular Mechanics」の記事のを見てほしい。非常に重要なスキルもあれば、そうでもなさそうなものもある。他にもあるだろうか。
[原文]