Crafts

2013.09.11

Behind the Build:革をShopBotで裁断するバキュームテーブル

Text by kanai

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革の裁断準備ができた自家製バキュームテーブル。

私のボスは世界一クールな人だ。私は物を作るのが大好きだが、ボスは私に好きな物を作らせてくれて、それで給料を払ってくれる。そのボスには、革を使ったクラフトの趣味がある。

彼が会社のラボにあるShopBotに革を裁断するためのドラッグナイフ(Donek ToolのDrag Knife)をセットしたとき、革のシートをずれないように固定するバキュームテーブルを作れないかと私に聞いてきた。私は2つ返事で引き受けた。さっそく私は、真空圧で革を固定するための方法を調べた。精密な金属加工用に使われるバキュームテーブルは、ゴムのリング状ガスケットがぴったりはまる溝が掘られたもので、高性能な真空ポンプを使用する。これはあまりに高度で、値段も高すぎる。次に私は、CNCルーターで使用されているものに注目した。テーブル表面には特殊な穴開き素材が使われていて、これもまた業務用の大きくて強力な真空ポンプを必要とする。必要以上に複雑で高価すぎる。

解決策を探す

いい方法がなかなか見つからずヤキモキしていたとき、私はドラッグナイフを買ったhttp://www.donektools.comのサイトを見てみることにした。そこには、ShopBotでドラッグナイフを使っているところのビデオが何本か紹介されていた。その映像をよく見ると、表面に小さな穴がたくさん開いている、ごくシンプルな木の箱に見えるものが使われていた。音から察するに、普通の業務用の掃除機を使っているようだ。これなら大丈夫だ。簡単に作れそうだし、それ用の真空装置もラボに1台ある。

まず、ShopBotのサイズを詳しく測った。するとすぐに、ShopBotの作業台の上にバキュームテーブルの箱を載せると、マシンのZ軸の可動範囲を超えてしまうことがわかった。そこで、アルミの作業台を取り外し、ShopBotのフレームに直接載せるようにした。これにより、Z軸方向に十分な可動域ができた。また、オリジナルの取り付け位置の制約がなくなったので、フレームへの取り付けが楽になった。

次は、掃除機のホースをどうやって箱につなげるかだ。ShopBotはガントリー型をしているので、横や背面にホースをつなぐことができない。下面に取り付ければ、X軸とY軸方向の動きを邪魔してしまう。そうなると、正面からつなぐしかない。さらに、Z軸方向の動きを阻害しないために、ShopBotのフレームの外までマニホールドを伸ばすことを考えた。これにより、マシンの動きをまったく邪魔しない位置で、マニホールドの下側にホースをつなぐことができる。

製作開始

以上のように設計が固まったところで、ようやく製作を開始した。最初に箱の側板を作った。テーブルソーの高さを設定して、木材をまとめて切り出した。こうすることで側板の幅を正確に揃えることができ、歪みなく天板を取り付けられる。設計どおりにすべてのネジ穴の位置に印をつけ、下穴を開けて、皿穴を開けた。木材が割れたり、膨れあがったりするのを避けたかった。また、すべてのネジの頭が天板と平らに揃うようにしたかったのだ。

ShopBotVacTable_01
バキュームテーブルの全体像。

各部品は、ネジ留めと同時に接合部に少量の木工用接着剤を塗って空気が漏れないようにした。次にホースのアダプターとマニホールドを作った。これも、ネジ穴を開けて、すべてに皿穴を開けた。マニホールドは本体にきっちり、真っ直ぐにはまるように手で調整した。少しだけ詰め物をして、紙ヤスリをかけて、完璧に仕上げた。

あとは、箱の天板と底板だ。底板は接着剤で貼り付けたが、天板はいつか交換することもあろうと考えて、接着はしなかった。天板の皿穴を開けたあと、取り付けボルト用の座ぐり穴を開け、箱を貫通するボルト穴を開けた。そして、箱をShopBotに取り付けた。

天板の穴は手で開けてもよかったのだが、かなり面倒な作業になると思ったので、ShopBotにやらせることにした。CAMプログラムですべての穴を指定し、マシンを動かした。30分後、すべての穴が完璧に、きれいに開けられた。これでバキュームテーブルは完成だ。あとはテストをするのみ。

すごい吸引力

試しに、小さな木片をテーブルに載せて掃除機のスイッチを入れてみた。だがなんの効果もない。木片は簡単に動いてしまう。次に、テーブル全体を覆うほどの板を載せてみた。掃除機が止まりそうになったが、低い回転数で動き続ける。載せた板を動かそうとしたが、何をどうしてもびくともしない。成功と言っていいだろう。次に革で試してみた。

ボスが、テーブルよりやや大きめの革を持ってきた。それを、すべての穴が隠れるようにテーブルに載せた。このときも掃除機が止まりそうになり、革はしっかりとくっついて動かない。しかし、端を少し持ち上げると、簡単にテーブルから剥がせることがわかった。

以上で、このバキュームテーブルは大成功ということに決定。さて、次のプロジェクトにかかろう!

原文