Fabrication

2016.04.04

目の不自由な子どもに3Dプリント本を作るためのオンライン3Dデザインツール

Text by Sophia Smith
Translated by kanai

素朴な絵本はいいものだ。そのカラフルなページが、子どもたちを物語りの世界に誘う。絵を見ながら、小さな子どもたちは文字を憶えながら物語をたどっていく。しかし、目に障害のある子どもは、絵本を楽しめないのだろうか? 平らでツルツルしたページからでは、そうした目の不自由な子どもたちには物語が伝わらない。

コロラド大学のコンピューター科学科准教授、Tom Yehは、2014年、同僚や学生からなるグループで、触覚的絵本プロジェクトを立ち上げた。3D Hubsを利用して、Yehと彼の学生たちは、子どもたちに人気のNoah’s Ark(ノアの箱舟)などの絵本を3Dカードに「翻訳」した。これには、点字と単純化した図形を使われている。

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Yehと彼のチームは、CraftMLというオンラインエディター、テンプレート、チュートリアルを備えた3Dデザインツールを開発し、親や教師が自分で絵本を作ったり、必要に応じてカスタマイズできるようにした。HTMLに似た言語を使って、ページの属性をいろいろ変更できる。ページが出来上がると、STLファイルとしてダウンロードでき、それをプリントすれば、小さな読者たちの手に渡すことができる。

この下に、ひとつの絵本カードのサンプルファイルを掲載した。モデルをドラッグしたり回転させたりできるが、注目してほしいのは、テキスト入力フィールドに文字を入れると、リアルタイムで点字に変換されるところだ。さらに驚くべきは、「STL」ボタンをクリックすると、編集したモデルのファイルを実際にダウンロードできる点だ。

Yehによると、このCraftMLには子どもの本を作りたい人だけでなく、別のユーザーもいるという。これが、缶切りの補助器具や、手で触れてわかるグラフや、フラクタルアートといったものを作るプラットフォームにもなっているのだ。

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「今日の3Dモデルを共有するエコシステムに大きく欠けているのは、カスタマイズ性だと思います」とYehは言う。「実質的に、インターネット上で見られるすべてのモデルは、そのままSTL形式でダウンロードできるだけです。私は、CraftMLで、もっとずっとオープンなエコシステムを作りたいと考えています。100パーセントカスタマイズ可能な3Dモデルの製作と共有です」

原文