Fabrication

2017.11.07

スマートフォンを光源とする99ドルの光造形3Dプリンター、Onoの実働デモを見た

Text by kanai

Maker Faireのいいところは、誰よりも早く新しい技術が見られる点にある。2015年、ニューヨークのWorld Maker Faireで、Olo Printerというデバイスのコンセプトが発表されて話題を呼んだ。スマホの画面の光を使ってレジンで3Dプリントをするというアイデアだ。その翌年、その企業がKickstarterキャンペーンを立ち上げ、99ドルで発売予定のそのプリンターに、16,000人のバッカーから230万ドルの資金を集めることに成功した。そしてその名称をOloからOnoに変更した。

特に3Dプリンター関連のKickstarterキャンペーンは、詳細がわからないものや出荷が遅れるものが多く、評判があまり良くない。Onoにも同様の問題があり、出荷時期が変更になったり、資金調達を繰り返すといった様子から、その技術はまやかしではないかとの疑いの声も上がっていた。

そうした疑念を抱いた我々は、ニューヨークのMaker Faireに再び出展した彼らに詳しい話を聞くことにした。金曜日、Maker Faire前夜に彼らのブースを訪ねると、Onoの共同創設者、Pietro GabrieleとジェネラルマネージャーのGiacomo Fornasiniは、約束通りの製品を見せてくれた。2人は嬉々として私たちにOnoのスマホアプリとプリンター、レジン(特別なQRコードのラベルが付いていて、特性、鮮度、使った量がわかるようになっている)の説明をした。そして、前夜祭のディナーの間に1層だけのプリントを実演するので、その図柄を自分のスマホで選んで欲しいと言われた。スマホでレジンが硬化するところを見せてくれるという。

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いい知らせだ。それは本当だった。白いドクロに、複数の階調のグレーの背景という、プリントにはあまり相応しくない画像だったが、わずか15分で完成した。オレンジの柔らかいレジンで1層のプリントができたのだ。

PietroとGiacomoは、その後の土曜日と日曜日に格子型をプリントする様子を、私たちの GoProでタイムラプス撮影してくれた。ときどき進行状況がわかるように、遮光板をどかしてくれたりもした。

彼らは画面の割れたAndroidのスマホを使って、細かい格子型をプリントした。Onoの動画を見て不安を感じていた人たちのコメントに答えるならば、アプリにモデルを読み込ませ、レジンを流し込み、リザーバーの中でプレートが動いていたのを私たちは確認した。しかも、カメラとプリンターを必要に応じて移動させても大丈夫だった。

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Maker Faireの屋外会場は、照りつける日差しと32度という気温のため、3Dプリントに適した環境ではなかった(熱溶解積層法プリンターですら調子を崩していた)。Onoも、プリンターの前に置かれた遮光板を通して光がレジンの硬化槽の中に漏れてしまう兆候を見せていた(もちろん、撮影のためにときどき遮光板を外していたのだが)。しかし、これはそんなに大きな問題ではない。

まだまだ疑問は山ほどある。電子系統の問題で出荷時期がまた遅れてしまったし、他のモデルのプリントも見てみたい。そんな中でもOnoは予約を受け付けている。この手のクラウドファンディングプロジェクトには油断はならないが、Onoが機能しているところが見られたのは喜びだ。このまま順調に製造に入り、できるだけ早く出荷されることを願う。

原文