Electronics

2017.03.21

Nvidia TX2は2台の4Kカメラによる物体検知をリアルタイムで実現

Text by Mike Senese
Translated by kanai

機械学習は複雑だが、プロの世界でもMakerのコミュニティでも同様にその研究が進んでいる。それをリードしてきたのは、NvidiaのTK1とTX1モジュールだ。しかし今回発表されたJetson TX2によって、そのAI能力は2倍になった。

サンフランシスコの記者発表で公開されたこの新しいハードウェアは、TX1と同じフォームファクター(ほぼクレジットカードサイズ)を維持している。つまり、そのままTX1と置き換えられるのだ。GPUはMawellからPascalに変更され、ストレージとメモリーは2倍になった。動画の録画とデコード能力も向上している。これをもってNvidiaは、TX1の2倍の性能(2台の4Kカメラを同時に使った物体検出と追跡に対応)、または、同じ設定でのTX1の2倍の動作効率があるとしている。

GPUに空前のパワーを詰め込んだこのNvidiaボードを手にしたDIY自動運転車の愛好家は、1/10スケールの入門用ロボットカーから実物の自動車に移行した。しかし、実際にはこれはプロ向けの製品だ。Nvidiaは「最先端のAI」のための高性能、省電力ボードと位置づけている。クラウドベースのスーパーコンピューターにデータを送るのではなく、製品に直接AI能力を持たせるためのものだ。TX1の発表会では、Nvidiaはそのアプローチを利用して、2020年までに100億台の監視カメラの画像処理、消費者のプライバシーの向上、クラウドの利用に必要なブロードバンドのない地域でもAIの能力が使えるようにすることなどを実現するという。

TX2と共に、Nvidiaはソフトウェアの更新も行った。Jetpack 3.0だ。システム能力は2倍だという。

この発表会では、さまざまなグループによるTXアーキテクチャーを使ったデモが18種類公開された。その中には、ステージ上で実演されたCiscoの新しいSparkボードのコラボレーションツールがあった。大型のフラットスクリーンのディスプレイで、Ciscoの代表と、ノルウェーのCiscoの社員とをつないでいた。そこで彼は、Sparkボード用の新しいカメラ装置を取り出した。するとそれは、自動的に会議室の社員たちのネームプレートを読み取り認識した。そして、がらんとした会議室の映像が、きちんと美しく区切られた、遠隔会議に適したレイアウトに自動的に切り替わった。バンド帯域による細かい途切れはあったものの、ディスプレイもカメラもうまく機能し、実用性的なツールであることを示していた。

その他のデモには、MITのEnRoute、TealのArtec 3Dスキャナー、トヨタとFellow Robotsの介助ロボット、Live PlanetのライブVRストリーミング用4Kテレスコープ360度カメラなどがあった。

TX2は業務用ということで、価格は決して安くない。開発キットは599ドルだ。TX1も499ドルで同時に販売が続けられる。

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