私が最初に所有した車にはエアコンがなかった。当時はむしろ、エアコン付きの車のほうが珍しかった。その代わりに、換気用の小さな三角窓があった(図A)。三角窓は外側に開くことで、外の新鮮な空気を強制的に車内に送り込む仕掛けになっている。それで汗が蒸発して体が涼しくなった。みんなが想像するより、ずっと気持ちがいいものだった。涼しいだけではなく、刈りたての牧草や庭の芝生、花や落ち葉の香りも楽しめた。また、谷の日陰に入ったり、ニューイングランド地方の山に登ったときの気温の変化も感じられた。すべてが懐かしい。
今の自動車は、過保護なまでに空気を濾過し温度を調整してくれるエアコンを装備するなどして、私たちを外の世界から隔離してしまっている。穏やかな春や秋の日、または気持ちのいい夏の夕方に窓を開けたとしても、あまり風は入ってこない。
そんな過ぎ去った日の風を浴びて走りたいと思ったら、エアスクープ(空気取り入れ口)を自作しよう。都合のいいことに、今のほとんどの車には、サイドミラーと窓ガラスの前方にある三角形のプラスティックの部分との間に、スクープを取り付けるのにちょうどいい隙間がある。車種によってこのスペースには違いがあるので、スクープの形状は、各自で調整してほしい。
スペースを測る
まずは、大まかに測る。高さ、幅、長さ、そして窓の角度だ(私のスクープでは、空気の出口のサイズは約5x7.5センチだった)。
ダンボールでプロトタイプを作る
だいたいのサイズのスクープの部材をダンボールからカッターで切り出し、マスキングテープで貼り合わせる(図B)。ちょうどいいモックアップができるまで、恐らく何度か作り直す必要があるだろう。
スクープを作って取り付ける
ちょうどいいモックアップが完成したら、それを分解して、型紙として使い、ホームセンターで売っている合板を切り出す(図C)。そして、速乾性エポキシ接着剤で組み立てる(図D)。
隙間が開いてしまったら木材用パテで埋める。紙ヤスリをかけ、下地材を塗り、細目の紙ヤスリで磨いて、コーティング剤を塗布する。私は、目立たないようにツヤ消しの黒を塗った(図E)。裏がシールになった面ファスナーを使って、スクープを車に取り付ける。こうしておけば、天候が悪いときは簡単に取り外せるし、天気の良いときには簡単に取り付けられる。空気の流量を変えたいときは、窓を使って調整できる(図F)。
さあ、これで昔懐かしいモータリストの素朴な喜びを感じよう。
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