自分が着る服を自宅で3Dプリントする時代に一歩近づいた。そんなファッション革命の先陣を切るのが、ファッションデザイナーのDanit Pelegだ。
私たちは、ニューヨークのWorld Maker Faireで、完全に3Dプリントで作られた服のコレクションを披露していた彼女に初めて会うことができた。
このコレクションは、すべて家庭用の3Dプリンターでプリントされている。コレクションは全部で5点。使用したのはWitboxプリンターとFilaFlexフィラメントだ。
コレクション全体をプリントするのに2,000時間以上かかった。1着あたり400時間の計算だ。驚いたことに、このプロジェクトを開始した当初、Danitは3Dプリントの知識をほどんど持ち合わせていなかった。しかし、そこで引き下がる彼女ではない。テルアビブの3Dプリント・コミュニティの力を借りて、そのアイデアを育てていったのだ。
それから2年ほど経過した2016年、彼女がデザインした服がリオのパラリンピック開会式で発表されると、世界のファッション業界に衝撃が走った。そして彼女は世界で初めて、3Dプリントした衣服の販売をインターネットで開始した。
注文生産の3Dプリント・ジャケットを買えるだけの財力はまだ私にはないが、3Dプリントがファッション業界に変革をもたらす実力を示し始めたことを知り、これが日常のファッションとして利用されるようになる日を想像するのは楽しい。「自宅で自分の服をプリントする」というDaintの夢は確実に近づいている。
このジャケットは、Daintのウェブサイトでカスタマイズしてオーダーできるもの。スカイブルーで背中にMAKERの文字を入れたジャケットをデザインしてみた。
先日、私たちはDaintに話を聞くことができた。そこで彼女に、どのようにしてこのプロジェクトを開始したのか、また、ファッション業界に進出したい人たちへのアドバイスを聞いた。
このコレクションをデザインし始めたときは、3Dプリンターのことをよく知らなかったそうですが、それが実現すると自信を持たせてくれたのはなんですか?
3Dプリントのことをほとんど知らない状態で、このアイデアをなんとしても実現させたいと考えていたので、いろいろ苦労しました。まずは、近くで手伝ってくれる人を探すところから始めました。そして、テルアビブの小さなメイカースペース、XLNを訪れました。そこの人たちは、大変にオープンに寛大に、時間や知識を分け与えてくれました。最初は知らない人たちでしたが、プロジェクトを進めるうちに仲良くなり、実現するまで私を応援し続けてくれました。
技術とファッションを融合させたいと考えるデザイナーやMakerにアドバイスはありますか?
リスクを負う覚悟が必要です。新しいことに挑戦すること。恐れないこと。なぜなら、その勇気が新しいアイデアを生み出し、実現に導いてくれるからです。あなたは、助けてくれる人たちのコミュニティに囲まれています。そして、一歩進んだら、そこで得た知識や時間をコミュニティに還元することです。ファッションはまだまだアナログな世界なので、技術が変革できる余地がたくさんあります。技術とファッションを融合させられる機会は無限にあります。
あなたの3Dファッションを完成させる過程で、世界のコミュニティはどう役立ちましたか?
服をプリントするための方法を探っていた2015年には、イスラエルにいる文字通りすべての3Dプリントのエキスパートに会いました。みんな、オープンな気持ちで快く受け入れてくれました。私の助けになれない人でも、助けてくれるかも知れない別の人を紹介してくれました。そうやって、私のコレクションを完成させるために、無償で時間を割いてくれる人と出会ったのです。こうした寛大さがMakerコミュニティの屋台骨なのだと思います。結局のところ、それが私の夢を実現させてくれたのです。
ありがとう、Danit。次の作品を楽しみにしています!
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