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2018.03.02

ゴミや廃棄された電気部品から生まれた素晴らしいメカたち —「手を使うことはデジタルのスカルプトよりもずっと楽しい」

Text by Gareth Branwyn
Translated by kanai

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インターネットでは、MarshMellopという名前で知られるデザイナーでコンセプシャル・アーティストのSteve Marshalは、素晴らしい作品の数々を「Make: project」に投稿してくれた。今は薬物乱用防止のための仕事をしているが、ロボットやメカやキャラクターのフィギュアを作るプロの作家になるのが夢だ。その才能は十分にある。彼は、空いている時間を使って、ロボットやメカをゴミや廃棄された電気部品やプラスチックの欠片から生み出している。

Stevenの話を紹介しよう。

「昨年一年をかけて、私は、ジャンクや拾ってきたパーツや不要になった電気製品などを材料にしてロボットを作ってきた。私はこの手法を「ジャンク・バッシング」と呼んでいる。子どものころからの夢だったのだ。私はゲーム開発の仕事をしていたことがあり、ZBrushと3DS MaxやMayaを使って、おもにキャラクターデザインをしていた。私は、そのときに培ったモデリングのスキルを、デジタルの世界から大きく発展させて、現実のものにしたかった。手を使うことが大好きなのだ。デジタルのスカルプトよりもずっと楽しい」

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「私は、ゲーム、本、映画など、いろいろなところからヒントを得るが、おもな情報源はLuca Zamprioloや横山宏「師匠」のようなアーティストだ。「タイタンフォール」のデザイナー、Joel Emslieにも大きな影響を受けた。彼は、ゲームキャラクターの3Dモデリングをする人たちのために、実際のフィギュアを作って見せている。そんな姿勢が、私の実体への愛情に火を点けた。初めて彼の作品を見たとき、ワオ、これこそ私が何年間も追い求めて来たものだと感じた」

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「インターネットで調べたり学んだりした事柄から、完璧な物を作り出せるようになるには何十年もかかる。あらゆる分野のスキルを駆使し、あらゆる種類の道具を操り、修練を重ねなければならない。そこがたまらない魅力でもある。いつもかならず、初めて知ることがあり、初めての道具に出会う。ほとんどが試行錯誤の繰り返しで、それがまた楽しい。お金もかからないし、誰にでもすぐに簡単に始められる」

「1つを作るのにかかる時間は1週間から5週間だ。それは、どこまで細部に凝るかによって決まる。基本的な形は数時間で作れるが、細かい部分をきっちり仕上げるのに、そこから数週間を要する。私は、電気製品などを壊してしまった人には、中を開けて部品を見て、それらをつなぎ合わせてみなよ、と声をかけている。私にとって、これは本当に純粋な創造活動だ。ポリゴン数とか、コンピューターの負荷とか、アニメーションのためのリギングとか、テクスチャリングやスキニングなんてことは一切気にせず、プラスチックや金属や布を自由に貼り付けてゆく。私自身がコンピューターであり、制約になるものは私自身しかない。しかし、こうした素材に触れてると、まったく制約を感じることがない。もっとも、家にある一部のツールの限界はあるけど……」

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「私は現在、ジュエリー用のヤスリとドリル、ドレメル、Millput製のエポキシ、熱融解プラスティック、ホットグルー、紙ヤスリがけと彫刻、プラ板工作、スクライビング、関節継ぎ手の構造化、重量のバランス調整、使用した素材の寿命、下塗り、塗装、細部の細工とウェザリング、土台作りなどなど、数をあげればきりがないほど、多くの技術や知識に長けてきた。これのどこがいかって? ジャンク・バッシングを始めるまで、私はこれらについてひとつも知らなかったことだ。新しいスキルの習得にあたって大変に世話になったのが、Lincoln Wrightだ。彼についても、ぜひチェックして欲しい」

この他のSteveの作品は、彼のFacebookページまたは彼のウェブサイトで見ることができる。

原文